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【VITTORIA】しなやかさが生み出す安心感|TLRタイヤインプレッション

ワイドタイヤの走行感とはいかなるものなのか? 3ブランドから注目のチューブレスレディタイヤをピックアップ。レーサーとホビーライダーの視点から「VITTORIA CORSA PRO(ヴィットリア・コルサプロ)」をインプレッション!

コットンタイヤの性能を極限まで高めたタイヤ

ヴィットリアのレーシングタイヤの頂点に君臨するコルサ。コットンタイヤにおける究極の進化形と同社が位置づけるコルサプロは、新たに開発された加硫プロセスによりタイヤトレッドをコットンケーシングに一体化するプロセスを採用したモデルだ。これによりコルサの最大の特長ともいえる柔軟性がさらに向上するとともに空力性能も高められている。トレッドにはグラフェン+シリカコンパウンドを採用。グラフェンとは炭素原子が六角形の編み目のように結びついたシート状の素材でヴィットリアが研究を重ねてきたものであり、シリカを組み合わせることで、さらにパフォーマンスを向上させた。

VITTORIA CORSA PRO(ヴィットリア・コルサプロ)

価格:13,900円
サイズ:700×24/26/28/30/32C
TPI:コットン320
カラー:ブラック×パラ
重量:295g(28C)、320g(32C)
※上記はチューブレスレディ(チューブド兼用)仕様の価格とスペック、そのほかチューブラー仕様もあり

32C

28C

商品詳細はこちら

「ヴィットリア・コルサプロ」をインプレッション

「シルキーな乗り味であらゆる条件で速く走れる」(管)

まずは28Cから試乗したが、柔らかいトレッドが路面をつかみ、抜けも非常に軽いシルキーな走行感が持ち味のタイヤだと感じられた。自分の体重では空気圧4.5barがベスト。路面からのインフォメーションも伝わってきて、軽量でありシャープな立ち回りが可能でトータルバランスも整っている。コンパウンドの柔らかさを感じられるしなやかな乗り心地は、ストレスのない走りにつながり疲労感を大きく軽減し、その結果として速い走りに貢献してくれる。コーナリングにおいてもトレッドが変形して路面をつかむことで、安心感をもってラインをトレースすることができた。さらにコーナーからの立ち上がりのペダリングでも小気味よくトルクをかけることが可能で、クリテリウムなどの連続した加速にも対応できる。これらの性能はクライミングにも生きており、しなやかさを感じつつも力が逃げない印象でテンポを刻みながら上っていくことができる。
32Cはエアボリュームの大きさによる安定感のある走りが魅力だ。タイヤの数値的な重量は増しているものの、それを感じさせない軽い走りで、外径が大きくなったことで巡航性能も高められている。こちらの空気圧は4.0barがベストセッティングだ。スプリント的な走りでは28Cの方が反応こそ良いものの、巡航性に身をまかせるようにペダリングすれば問題なく伸びていく。コーナーの印象をあえて悪く言うならば「鈍い」となってしまうが、その反面ライダーのコントロールミスも許容してくれる寛容性の高さがある。
ほとんどのライダーはフレームのクリアランスさえ許容すれば32Cがマッチしていて、レース志向が強く攻めた走りをしたいライダーには28Cがベストな選択だろう。

管 洋介:本誌インプレッションでもおなじみのベテランライダー。スチールからカーボンまで、ロードバイクの進化を経験してきただけにタイヤに関する造詣も深い。今回は主にレーサー視点でインプレッションを担当した。体重68kg

「しなやかさは両サイズ共通、乗り手によってベストな選択をしたい」(柴山)

履いた途端にフワッと雲の上を乗っているような感覚で、シルキーな乗り味の代表格といえるのがコルサプロ。クリンチャーのコルサでも高評価だったが、チューブレスになってよりこの性能が引き立った印象といえる。タイヤの薄さによる軽さも際立つが、グリップしているときは絶妙な剛性感も感じる。このあたりには培ってきた走行性能に加えてチューブレスレディによるコシを持たせていることがプラスに働いている印象だ。
28Cと32Cを比較すると全体的な印象は共通している部分が多いが、やはり異なるのはエアボリュームと外径の違いによる性能だ。28Cが軽くしなやかな乗り味をレーシーな方向性に生かしているのに対して、32Cではエアボリュームと外径の大きさによって安定感を重視する方向に振っていると感じられた。驚いたのはタイヤが太くなっても重量の増加をまったく感じないことだ。つまりライダーごとの走行スタイルにだけフォーカスすればベストな選択肢がみつかるということ。
平地の走行では28Cが軽く路面をなでるように転がるのに対して、32Cではさらに快適性をプラスした乗り味となる。コーナリングでは28Cがレーサー向けの運動性能特化型であり、32Cは安心してバイクを倒し込める安定感重視型といえる。クライミングでは28Cが軽快さが持ち味で、ダンシングのリズムも取りやすく、丁寧に回すことでより推進力が高まる感覚。対して32Cはスピードの維持がしやすく淡々とペダリングする長い上りを得意としている。
注意したいのはどちらのタイヤもサイドが薄くしなやかな特性のため、空気圧のセッティングに敏感であること。その日走る路面状況も加味しながら複数のパターンを用意しておくと、より上質なライドを楽しむことができる。

柴山大輔:川崎市中原区のショップ「MAGNET」でメカニックを務める。ロードバイク歴も長く、現在はフルオーダーしたディスクブレーキ仕様のスチールロードに乗る。ホビーライダーとしての視点でタイヤをインプレッションした。体重52kg

問:VTJ
https://www.vittoriajapan.co.jp/

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2024年01月22日

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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。

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