「エロイカ」小さな村から始まった世界規模のムーブメント、ヴィンテージバイクの祭典
ニシヤマ
- 2024年02月15日
9月28日から10月2日にイタリアのガイオーレ・イン・キャンティで開催された「Eroica」。世界中で開催されているエロイカのオリジンといえる、本家の大会を編集部が体験! 単なるヴィンテージバイク愛好家の集まりではない、イタリアが育んだ自転車文化の本質がそこにはあった。
今年5月に伊豆で開催されるエロイカジャパン(2月15日エントリー開始です!)に先立ち、全3回に分けてその魅力をお届けする。
イタリア本家エロイカの舞台「ガイオーレ・イン・キャンティ」
イタリア中部のトスカーナ州シエナ県にあるガイオーレ・イン・キャンティという小さな村が、エロイカ発祥の地。1997年に始まったこのイベントは、ヴィンテージなロードバイクでこの地域特有のほこりっぽい未舗装路を走るのがコンセプトだ。
過疎の小さな村が起こしたムーブメント
ガイオーレは、世界遺産も数多くあるトスカーナ州にしては地味なエリア。他の田舎の例にもれず過疎化の進んでいた小さな村で、人口は2000人程度だった。
空港からも高速道路からも高速鉄道駅からも遠い。近くの有名な観光地といえば30kmほど離れたシエナとなるが、シエナからだと、クルマで峠道を1時間以上走ってようやく到着する。じつに不便な場所にあるのがガイオーレだ。
そんな遠い村の走りづらい未舗装路を、おんぼろレーサーでひた走るという脅威の逆張りイベントがエロイカだ。
始まって10年くらいは鼻で笑われる程度の小さなサイクルイベントだった。しかしスローな方向性が支持される時代に変わって注目され、火がついた。
いまやエロイカ的なイベントがイタリア全土に広がり、エロイカはイギリス、アメリカ、オランダ、スペイン、ウルグアイ、キューバ、そして日本の伊豆にまで飛び火している。ちなみに日本開催は来年で10回目にもなる。
そんなエロイカの本家だから開催時のにぎわいは大変なものだ。参加者は約9500人(半分が外国人)、来場者は5万人以上。オーバーツーリズムになってしまい、これ以上の拡大は難しいレベルにまで達している。
敷居の低さも人気の理由のひとつ
エロイカのコースは観光資源にもなっており、サイクリストが通年走りにくる。イベント開催時も含めて年間15億円もの経済効果がある。しかもエロイカ関連で200人以上の雇用が生まれたという。
自転車レース文化が根付いており、かつ物を捨てないイタリア人は、古びたロードレーサーが納屋に眠っているというケースが多い。
エロイカ的自転車は日本だとお宝のイメージがあるが、こちらでは身近なお古のようなもの。ベテランには懐かしく、若者にはお手頃。なので機材という面では、イタリアでは、じつは敷居が低い自転車イベントという特徴もある。
そして、イタリア人は懐かしい感じのクラシコ好きだから、ウールジャージでコスプレをして、エロイカ村の自転車祭りを全力で楽しむ。
スタートのカウントダウンでは「Adoro le b i c iclette!(自転車大好き!)」の掛け声で大盛り上がりだった。
次回『ミディアムコース実走編【前編】』は近日中に公開!
エロイカジャパン5月11日~12日に伊豆で開催。本日エントリー開始!
来年5月の開催で、伊豆では2回目。日本では10回目を迎えるエロイカ・ジャパン。伊豆での10アニバーサリー開催を世界にアピール。日本のエロイカビレッジは、伊豆の国市・韮山時代劇場に舞台を移してパワーアップ! 本日2月15日エントリー開始です!
▼Eroica JAPAN 2024(エロイカジャパン2024)の詳細はこちらをチェック
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