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「エロイカ」小さな村から始まった世界規模のムーブメント、ヴィンテージバイクの祭典

9月28日から10月2日にイタリアのガイオーレ・イン・キャンティで開催された「Eroica」。世界中で開催されているエロイカのオリジンといえる、本家の大会を編集部が体験! 単なるヴィンテージバイク愛好家の集まりではない、イタリアが育んだ自転車文化の本質がそこにはあった。

今年5月に伊豆で開催されるエロイカジャパン(2月15日エントリー開始です!)に先立ち、全3回に分けてその魅力をお届けする。

イタリア本家エロイカの舞台「ガイオーレ・イン・キャンティ」

レストランやカフェの並ぶ村の中心部。エロイカ開催時の数日間は特別なにぎわい

イタリア中部のトスカーナ州シエナ県にあるガイオーレ・イン・キャンティという小さな村が、エロイカ発祥の地。1997年に始まったこのイベントは、ヴィンテージなロードバイクでこの地域特有のほこりっぽい未舗装路を走るのがコンセプトだ。

過疎の小さな村が起こしたムーブメント

小さな川沿いに立ち並ぶ古い建物、橋を渡って村に入ると中はエロイカ一色のお祭り状態になっている

ガイオーレは、世界遺産も数多くあるトスカーナ州にしては地味なエリア。他の田舎の例にもれず過疎化の進んでいた小さな村で、人口は2000人程度だった。
空港からも高速道路からも高速鉄道駅からも遠い。近くの有名な観光地といえば30kmほど離れたシエナとなるが、シエナからだと、クルマで峠道を1時間以上走ってようやく到着する。じつに不便な場所にあるのがガイオーレだ。
そんな遠い村の走りづらい未舗装路を、おんぼろレーサーでひた走るという脅威の逆張りイベントがエロイカだ。

始まって10年くらいは鼻で笑われる程度の小さなサイクルイベントだった。しかしスローな方向性が支持される時代に変わって注目され、火がついた。

いまやエロイカ的なイベントがイタリア全土に広がり、エロイカはイギリス、アメリカ、オランダ、スペイン、ウルグアイ、キューバ、そして日本の伊豆にまで飛び火している。ちなみに日本開催は来年で10回目にもなる。

そんなエロイカの本家だから開催時のにぎわいは大変なものだ。参加者は約9500人(半分が外国人)、来場者は5万人以上。オーバーツーリズムになってしまい、これ以上の拡大は難しいレベルにまで達している。

マーケットの入口、欧州各地から出店しているよう。フランスが多かった

敷居の低さも人気の理由のひとつ

ガイオーレ・イン・キャンティ。村の入口に設置されたスタート地点。ウールジャージの参会者は、ここからスタンプを押してコースへ

エロイカのコースは観光資源にもなっており、サイクリストが通年走りにくる。イベント開催時も含めて年間15億円もの経済効果がある。しかもエロイカ関連で200人以上の雇用が生まれたという。
自転車レース文化が根付いており、かつ物を捨てないイタリア人は、古びたロードレーサーが納屋に眠っているというケースが多い。

エロイカ名物の、ヴィンテージ自転車マーケット。どこも値札がない。売る気満々というよりはお祭りへの出店を楽しんでいるという感じ
モノを捨てないイタリア人。かつて走ったレーサーの数だけあると思われる、膨大なカンパニョーロの変速機
お土産に買ったイタリア製パチモンサンツアー、20ユーロ。円安でパーツは全体的に高く感じられる

エロイカ的自転車は日本だとお宝のイメージがあるが、こちらでは身近なお古のようなもの。ベテランには懐かしく、若者にはお手頃。なので機材という面では、イタリアでは、じつは敷居が低い自転車イベントという特徴もある。
そして、イタリア人は懐かしい感じのクラシコ好きだから、ウールジャージでコスプレをして、エロイカ村の自転車祭りを全力で楽しむ。

スタートのカウントダウンでは「Adoro le b i c iclette!(自転車大好き!)」の掛け声で大盛り上がりだった。

常設のカーサ・エロイカ。1階はエロイカグッズなどのショップ
2階でエントリー。受付は地元の高校生。ボランティアをすると単位がもらえる
ゼッケンなどが入った袋は景品の引き換えに必要。イベント参加費は95ユーロ〜
ヴィンテージロードの完成車はけっこう安い。こちらは100ユーロ(1万5000円)くらいで、日本に持って帰ろうか悩んだ
こちらは、村の体育館を使ったバイクのレンタルサービスや景品の受け取りコーナーのあるエリア。なんともクラシコな雰囲気がいい
ゼッケンの袋にスタンプを押すのと引き換えに巨大なエロイカブリキ缶に入った、ずっしりと重い景品を受け取る
缶の中には、名産ワインのキャンティクラシコをはじめ、スポンサーのキャップやボトル、裾バンド、コーヒー、洗剤など盛りだくさん

 

次回『ミディアムコース実走編【前編】』は近日中に公開!

エロイカジャパン5月11日~12日に伊豆で開催。本日エントリー開始!

来年5月の開催で、伊豆では2回目。日本では10回目を迎えるエロイカ・ジャパン。伊豆での10アニバーサリー開催を世界にアピール。日本のエロイカビレッジは、伊豆の国市・韮山時代劇場に舞台を移してパワーアップ! 本日2月15日エントリー開始です!

▼Eroica JAPAN 2024(エロイカジャパン2024)の詳細はこちらをチェック

エロイカ日本上陸10周年記念大会! 5月11日、12日に伊豆で開催|応募は2月15日開始!

エロイカ日本上陸10周年記念大会! 5月11日、12日に伊豆で開催|応募は2月15日開始!

2024年02月03日

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PROFILE

ニシヤマ

Bicycle Club / 副編集長

ニシヤマ

自転車暦35年以上。中学時代からランドナーに乗る、ヴィンテージ(ジャンク)自転車大好き人間。バイシクルクラブのバイク&キャンプなアウトドア系記事、自転車レストア&カスタム記事など製作。またマニアックな自転車ムック職人。加えて最近は、付録職人でもある

ニシヤマの記事一覧

自転車暦35年以上。中学時代からランドナーに乗る、ヴィンテージ(ジャンク)自転車大好き人間。バイシクルクラブのバイク&キャンプなアウトドア系記事、自転車レストア&カスタム記事など製作。またマニアックな自転車ムック職人。加えて最近は、付録職人でもある

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