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レース以外にも性能を発揮! 新型エピック8をインプレッション|SPECIALIZED

ハードなコース設定がされるレースコースに対応するため、これまで以上に下りでの性能を高めたエピック8。フライトアテンダントを装備したSワークス エピック8とエピック8 エキスパートの2台の性能を、サイクルハウスMIKAMIの三上和志さんがクロスカントリーレースとダウンカントリーの2つの視点からインプレッションする!

▼新型「エピック8」の詳しい情報はこちらの記事をチェック!

クロスカントリー&ダウンカントリーバイクの「エピック8」シリーズが登場|SPECIALIZED

クロスカントリー&ダウンカントリーバイクの「エピック8」シリーズが登場|SPECIALIZED

2024年03月13日

「Sワークス エピック8」をインプレッション

レースからダウンカントリーまで、幅広い用途で楽しめる

普段からクロスカントリーバイクをダウンカントリー仕様にして乗っている自分にとって新型エピック8は間違いなく注目のバイクだった。インプレッションはこのバイクの主戦場として位置づけられるクロスカントリーレースに加えて、下りでジャンプなどを楽しみながら速く走り、上りではテクニカルなセクションでも確実に乗ってクリアするダウンカントリーの走りかた、2つの目線から評価していきたい。

まずクロスカントリーバイクとしての評価だ。何気なくペダリングしてみるとダイレクトに進む印象で、さらに力を込めると入力した以上のまるで板ばねのしなりを利用したかのように加速した。このバネ感とフライトアテンダントによる自動制御の効果によってダンシングでの登坂ではリズムがつかみやすくグイグイと上ることができた。シッティングでは軽量ホイールを含めたバイク全体の軽さによって軽快に上っていくことができた。

また、登坂時に現れるガレ場や木の根が連続するセクションでは、フォークに衝撃が入るとレスポンスよく、マジックミドルやワイドオープンモードに自動で調整されている印象だ。これは低速時であれば、前輪が衝撃を受けた直後に切り替わるため、後輪の通過時にしかるべきモードに切り替わるほど素早いものだ。この電子制御は走行中常に稼動しているため、同じことを手動で行うことは確実に不可能であり、レースを戦ううえでとても大きなアドバンテージになるといえよう。また寝たヘッドアングルや下がったBBハイト、ストロークが前作より20mm伸びたことで高速時やガレた路面での安定感が増していた。フォークの剛性向上などにより、素早い切り替えしやピンポイントで狙ったラインにバイクを通しやすくもなっている。リアショックも容量が拡大しているため、マラソン競技での長い下りでもエア圧の上昇も抑えられると考えられる。

ガレ場や木の根などでもフライトアテンダントが瞬時に反応して安定して走り抜けることができる

そしてバイクを求める多くのユーザーにとって気になるであろうダウンカントリーバイクとしての評価だ。まずはフライトアテンダントを手動切り替えにして、スプリント・オン・ロックモードで助走区間無しに平坦路から一気に急坂上りをするという遊び方をしてみた。レスポンス良く加速し、急な姿勢の変化に対してもスムーズにサスペンションが稼働するため、ハードテールバイクのように弾かれることなくバランスを取りながら難なく上ることができた。またトラクションの掛かりがよくコントロール性に優れることで、グリップしにくい路面でも余裕を感じながらバイクを操ることができる。下りにおいては20mm伸びたサスペンショントラベルや寝たヘッドアングルの恩恵によって、クロスカントリーバイクでありながら十分にダウンカントリーバイクに求められる性能が感じられた。レース仕様のアッセンブルであることからタイヤのグリップには少々頼りないと感じられる部分もあったが、ユーザーが好みの仕様にカスタマイズすれば問題ないだろう。さらにもう少し横剛性の高いホイールに変えて、軽量なトレイル用タイヤにすればエンデューロでもペダリングの優位性を発揮し、十分に攻め切った走りができるバイクだと感じられた。

さまざまな条件で安定して下りのセクションを攻めていけるバイクだ

ワールドカップや東京五輪のXCOコースに代表されるように、近年のクロスカントリーはかつてのダウンヒルにも匹敵するほどのコースだ。エピック8はこれらのシビアなコントロールが要求されるレースでも速く走れるバイクといえる。さらに一般ユーザーに落としこめば、あらゆるトレイルで余裕をもって気持ちよく走れるバイクといえるだろう。リアルレーサーからダウンカントリーまで幅広くMTBを楽しめる新世代バイクと評価できる。

ロックショックスの電子制御サスペンション「フライトアテンダント」をアッセンブル
前後サスペンションやクランクのペダリングセンサーによってサスペンションのダンピングを自動的にコントロールする
フライトアテンダントはオートモードのほか、ハンドル左側のボタンでマニュアルでのモード変更や瞬間的にロックアウトすることも可能だ
軽量化やハンドルまわりの剛性向上のためステム一体式のカーボンハンドルを採用する
ダウンチューブのボトルケージ部分には小物を収納できるSWAT4.0ストレージが設けられる

「エピック8 エキスパート」をインプレッション

Sワークスの性能を継承した高品質ミドルグレードバイク

フライトアテンダントこそ装備されないものの、Sワークス エピック8と構造が同じため、レスポンスのいい加速やトラクションのかかりの良さ、下りでの走行性能など基本性能は踏襲しているバイクといえる。カーボンホイールもアッセンブルされ、そのままレースに投入できるスペックも魅力だ。ハードになるコースに対応したクロスカントリーレースバイクとして誕生したバイクだが、ダウンカントリーも楽しめるほどの余裕がある設計で、これまで以上に守備範囲は幅広い。Sワークスよりも約70万円価格を抑えているが、エピック8 エキスパートも十二分に高性能といえる。Sワークスは一切の妥協を許さず最新のデバイスと最高峰のコンポーネントをアッセンブルしたモデルであり、あえて価格を度外視したモデルととらえるべきともいえる。

サスペンションやジオメトリーなどSワークスと同様の構造を採用し、安定感のある下りが楽しめる

これまではクロスカントリーバイクというと下りでのコントロールがシビアな部分もあって、1台でいろいろな走りをしたい人に勧められるものではなかった。しかし、このバイクなら下りを楽しめる性能のため、ダウンカントリーや里山トレイルなどにも向いていると感じられた。前後120mmトラベルのサスペンションと軽快な上り性能は、これまでトレイルバイクでライドを楽しんでいたライダーの次の1台としても勧められるものだ。王滝のセルフディスカバリーアドベンチャーなどに代表される長距離レースでも、下りでしっかりと体を休めながら上りに備える走りもできるといえる。クロスカントリーレースバイクが競技専用であるという認識を180度変えてくれるバイクだといえる。

フライトアテンダントこそ装備されないものの、サスペンションは3つのモードから選択可能。さらにカーボンホイールを装着するなど、ストックのままでレースで戦えるスペックが魅力だ

コンポーネントにはスラムの電動ワイヤレス、GXイーグルAXSを採用する

 

インプレッションライダー/三上和志

サイクルハウスMIKAMI店主。ENS(エンデューロナショナルシリーズ)においてクロスカントリー系出身のライダーのなかでは現在唯一AAクラスに認定されるなど、上りだけでなく下りのテクニックにも定評がある。トレイルをつないだ70km、積算標高2500mを約7時間で走破するダウンカントリーが普段のライディングスタイルで、クロスカントリーバイクに上りだけでなく、下りの性能も必要と考えている。
(2007年マスタークラスXCチャンピオン/奥武蔵マウンテンバイク友の会会長/PMBIマウンテンバイクインストラクター レベル1取得)

 

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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。

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