シマノがGravity(グラビティ)系シューズを刷新! 乗り手に寄り添うテクノロジーを解説|SHIMANO
Bicycle Club編集部
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シマノのグラビティ系シューズがフルモデルチェンジを果たし、新たにグラビティの「G」の頭文字を冠した2シリーズが登場した。一つはビンディングペダルに対応する「GE(グラビティ エンデューロ)」、もう一つは、フラットペダルに対応する「GF(グラビティ フラット)」だ。
MTBの遊び方を広げてくれる2シリーズの期待の新作の特徴を、シマノのサイクリングシューズ担当者、松井正史さんからお聞きした。
INDEX
Gravity(グラビティ)の楽しさを多くの人へ
編集部(以下、編):これまでシマノのMTBシューズカテゴリーには、XC(クロスカントリー)、AM(オールマウンテン)、ME(マウンテンエンデューロ)、GR(グラビティ)などがありました。今回のGEやGFはどのような位置づけとなるのでしょうか?
松井正史さん(以下、松井):AM、ME、GRシリーズを整理して刷新したのがGEとGFです。本格的なダウンヒルや、上り下りを織り交ぜたトレイルライド楽しめるシューズで、GEがビンディングペダル用、GFフラットペダル用になっています。それぞれグレードの異なる3モデルを用意しています。
編:シマノのMTBシューズを愛用している方は多いと思いますが、ラインナップが整理されたことで、ユーザーがより選びやすくなりましたね。
松井:ロードシューズやXCシューズと同じように系統立てて展開しています。
編:今、世界的に見てグラビティを楽しむ人は増えているのでしょうか?
松井:MTBの遊び方は、下りを楽しむグラビティが世界の潮流になっています。体感的な話で恐縮ですが、極端にいえばMTBのアマチュア層の8~9割がグラビティを楽しむ層になっているように感じます。
編:海外はMTBで気軽に走れる場所が多く、グラビティ系のバイクパーク(山頂へリフトなどでアクセスできるサービスがある施設)の整備など取り巻く環境も良さそうですね。日本はまだまだと感じますが、それでもシューズ展開に力を入れる理由は?
松井:せっかくグローバルに良い製品を作っているのだから、その製品を通して国内のユーザーに語りかけたいという思いがあります。
編:シマノというブランドとして、「グラビティを後押ししたい」と。待ち望んでいるユーザーにしっかりと提供したい、と。
松井:その通りです。取り扱いをご協力いただけるプロショップさんはもちろん、シマノ公式サイクリングオンラインストアでも手に入るようになっています。
アウトソールのテクノロジー「ULTREAD(アルトレッド)」
GEとGFのどちらのシューズにも、シマノならではの「乗り手に寄り添う」多くのテクノロジーが搭載されている。まずはアウトソールから。アウトソールとはシューズの裏側にある地面やペダルと接する一番外側の靴底のこと。
松井:アウトソールには「ULTREAD(アルトレッド)」と呼ぶ自社ブランドを使っています。2021年に導入したソールテクノロジーで、シマノの多種多様なオフロードシューズに使われています。GEには「ULTREAD GE」、GFには「ULTREAD GF」を用意しています。
編:ジャンルごとに種類があるのですね。
松井:XC(クロスカントリー)用に「ULTREAD XC」、バイクパッキングやアドベンチャーツーリング用に「ULTREAD EX」も提案しています。現在は全部で4種類です。
編:4種類を比べてみるとデザインがだいぶ異なりますね。
松井:ULTREADはそれぞれのカテゴリーに最適なブロック形状と、そのブロック形状に一番ふさわしいラバーコンパウンドを採用するのがコンセプトです。Ultimate(究極の)+Tread(路面と接触する面)を持つことから、ULTREDと名付けています。
編:GE用の特徴はどのようなものでしょうか?
松井:ハイクアップ(斜面を上る)時にしっかりと歩ける、濡れた岩でも滑りにくいラバーコンパウンドを採用していることですね。
それに加えて、グラビティライドでは足を出してカバーするシーン、ステップインの途上に足でペダルを仮踏みするシーンがあって、ペダルはケージ付きのタイプが主流です。そのため、ペダルケージを捕らえる六角形のブロックパターンを施し、中央のペダルチャンネルも工夫しています。
編:ペダルチャンネルとはシューズのクリート取り付け部周辺の溝のことですね。XC用のSPDシューズでもクリートが地面に当たらないよう凹みのある形状になっていますが、そこからどのような工夫を?
松井:つま先側とかかと側に、溝が長く伸びた形状にしています。とっさの動きでクリートをステップインしきれない状態でペダルを踏んだときでも、ペダル上から少し出っ張っているビンディング機構がペダルチャンネルに邪魔せず収まることで、不安定にならない役割を果たします。
編:一見すると何の変哲もないと思いがちですが、そんな配慮があるのですね。
松井:シマノではペダルとシューズを一つのシステムとして捉え、その価値を高めるための開発を進めています。ステップイン時のクリック感、着脱のしやすさ、ペダリング中の安定性などもしかりです。
また、クリートの調整位置もXC系シューズと比べると少し深め(中足部寄り)です。目的地までのアプローチ、短い距離を上るなど、グラビティでももちろんペダリングするシーンはありますが、その要求に比べて下りで安心して前後荷重のバイクコントロールできることが重要ですので、それを叶えるセッティングができるようにしています。
編:次にGF用のULTREADの特徴を教えてください。
松井:フラットペダル用なので、アウトソールにペダルのピンが刺さったときに、そのピンを捉えて離しにくくするような低反発特性のあるラバーコンパウンドを使っています。ただ、ピンが刺さることによりアウトソールはダメージを受けてしまいますので、低反発でありつつ耐久性にも優れたバランスのいいものを開発しました。
編:ブロック形状はGEと同じ六角形ですね。
松井:この形状はもともとGFの開発から生まれたもので、アウトソール全面を六角形のブロックパターンが覆っています。
ペダルに足を乗せたとき、ピンがブロックの並んだ隙間に刺さって前後左右に動きにくくなることで安定性が高まり、ブロックの平らな面に刺さった場合でも、低反発特性のラバーコンパウンドがピンをしっかりと支えて安定性を高めます。
編:ULTREAD GEとULTRED GFについて、他に機能的なポイントはどこでしょうか?
松井:アウトソールの側面に排水溝を設けていることもありますね。平らな面を優先すると同時に、水はけを良くしてウェット時のグリップ性能を高めています。ほかには、歩行性を高めるためにつま先側は歩きやすいカーブとなっていて、かかと側は中央を空けた着地衝撃やわらげる形状にもしています。
ミッドソールのテクノロジー「TORBAL 2.0(トーバル2.0)」
ミッドソールとは、アウトソールとアッパー(靴の上部分)の間にある構造体のこと。いわば靴底の板。外側から見えないものの、ここにもシマノのテクノロジーが秘められている。
松井:ミッドソールには「TORBAL(トーバル)」と呼ばれる構造を使っています。TORBALとはTorsional(ねじれ)とBalance(釣り合い)を掛け合わせた造語で、走行中に発生するシューズの“ねじれのバランス”を最適化するために生まれた技術です。
編:以前の総合的なMTBシューズカテゴリーであるME(マウンテン エンデューロ)に採用されていたものですね。
松井:そうです。その技術を進化させたものが今回のGEやGFに使われている「TORBAL 2.0(トーバル2.0)」です。グラビティでの着地ショックの衝撃や、コーナリング時の素早い身体の切り替えといった複雑な動きに対して、ミッドソール全体がねじれてライドをサポートします。たとえるなら、サスペンションの働きに似ています。
編:ペダリング時の剛性感などは阻害されないのでしょうか?
松井:横方向へねじれて変形するといっても、クリートが付く中央部分、縦方向の剛性には影響しない構造となっています。
編:なるほど。
松井:ミッドソールに縦の溝(スリット)を入れた独自の形状がこの乗り味を生み出しています。幅広いライダーにグラビティライド特有の左右上下の動きを楽しんでいただきたいと思い開発しました。
ペダルの固定タイプに合わせたGE、GFそれぞれで採用しており、グレードによっても多少味つけが変わります。
編:走りの質を底上げしてくれるテクノロジーはうれしい限りです。
「意のままに操る」を形に
GEとGFは、ともにシマノの自社シューズ工場で生産されている。現場で開発エンジニアが指示を出し、細かなところまで突き詰めることが可能ゆえの自信作だ。
グラビティシューズというキャラクターから、アッパーは足を保護するために程よいクッション性のある素材が使われている。
ラストはライディングのパフォーマンスと歩きやすさを両立した新しい「ボリュームトレイルラスト」を採用。バイクコントロールの際に重要となる足の指の付け根周りはXC系のダイナラストのようにぴったりフィットしつつ、つま先やかかとなど他の部分は少し余裕のある履き心地が特徴だ。つま先に余裕があるのは幅広な日本人の足型にも合うといえる。
松井:試作品をグラビティライドの本格的な環境のあるアメリカやヨーロッパのテストライダーに試してもらってフィードバックを得ていきました。テストライダーにはシマノと契約しているプロ選手やテスト専門のライダー、世界各地に広がるシマノのオフィスのスタッフも加わっています。開発側が意図しているグリップ感や耐久性が想定どおりか、チューニングを確認して進めていきました。
特にTORBALはターゲットと性能の味つけが難しく、幅広いアマチュア層のライドスキルをカバーできるところに合わせました。そういう意味では、ライダーの要求を直接的に反映させた総合的でグローバルな水準に仕上がっていると思います。日本のみなさんにも使っていただけると大変うれしいです。
【GEシリーズ】激しいラインディングに対応するビンディングシューズ
激しいダウンヒルライドはもちろん、エンデューロで遭遇する上りの歩行で優れたトラクションも発揮するGEシリーズ。エンデューロに最適化されたULTREAD GEソールと、ハイスピード域のライドでもクッション性とコントロール性に優れるTORBAL2.0を採用する。
GE7
価格:2万3,100円(税込)
カラー:ライトグレー、ブラック
サイズ:40~44
ソール剛性:6
シマノが推す新機能をすべて取り入れたミッドレンジモデル。ミッドソールのクッション材・EVAはフルレングスで採用。グラビティライダーに愛好者の多いシューレース仕様を採用する。
GE9
価格:2万9,150円(税込)
カラー:ブラック
サイズ:40~44
ソール剛性:7
シールド付きBOAダイヤルを装備したハイエンドモデル。ミッドソールはカーボン製で高剛性、リエゾン(移動)区間やクライミング区間でのより効率的なペダリングをサポートする。
GE5
価格:1万5,400円(税込)
カラー:ブラック
サイズ:40~44
ソール剛性:5
手軽にグラビティを楽しんで欲しいという思いから生まれたエントリーモデル。クッション材のEVAの長さで差別化されているが、アウトソールは上位モデルと全く同じ。アッパーはファブリック生地のメッシュ素材でカジュアルな佇まい。
【GFシリーズ】グラビティを手軽にアクティブに楽しむフラットシューズ
不安定で揺さぶられる路面でも高いペダルグリップ力を発揮するGFシリーズ。特別配合のラバーコンパウンドと六角形のトレッドパターンを採用したULTERAD GFと、コーナリング時にソールを変形追従させて反応の遅れを吸収するような味つけのTORBAL2.0を採用する。
GF6
価格:2万1,780円(税込)
カラー:ブラック
サイズ:40~44
ソール剛性:3
シューレースタイプのスケートスタイルのアッパーを採用したフラットシューズの定番モデル。厚みとクッション性のあるシンセティックレザーが、柔らかいフィット感を提供する。
GF8GTX
価格:2万9,150円(税込)
カラー:ブラック
サイズ:40~44
ソール剛性:3
イギリスのMTBシーンのように雨天の多いグラビティライドをものともしない全天候型モデル。ゴアテックス素材に加えて、足首まで保護するストレッチアンクルカバーや、低温でも安定したラバー性能を発揮する寒冷地用のアウトソールを採用する(ロゴカラーも低温用に識別)。
GF4
価格:1万4,300円(税込)
カラー:オリーブ、ブラック
サイズ:40~44
ソール剛性:2
フラットシューズのエントリーモデル。TORBAL機能の採用はないが、旧モデルに比べてEVAクッションを取り入れることで、グラビティライドで譲れない快適なソール性能を持ちつつ、求めやすい価格に。
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- CREDIT :
- 編集:Bicycle Club 文:タナカ ダン 写真:松木雄一
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