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ポガチャルがエンジン全開 今大会最初の山岳ステージで快勝しマイヨ・ジョーヌ|ツール・ド・フランス

ツール・ド・フランス2024は開幕地イタリアを離れ、いよいよフランスへ。現地7月2日に行われた第4ステージでは、超級山岳ガリビエ峠を超える本格山岳コースが設定され、このガリビエの上りでタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)がアタック。大会3連覇を目指すヨナス・ヴィンゲゴー(ヴィスマ・リースアバイク、デンマーク)らを振り切って、独走でフィニッシュへ到達。今大会最初のステージ優勝を挙げるとともに、個人総合でもトップに立って2ステージぶりにマイヨ・ジョーヌを取り戻している。

大会4日目でフランス入国

開幕以来イタリア国内を進んできたプロトンは、このステージの途中からフランスへ。139.6kmのコースは、ピネローロを出発して以降長く上り基調。50.4km地点で2級山岳セストリエール、71.1kmで同じく2級のモンジュネーヴルを通過。モンジュネーヴル登坂の途中で国境を超える。

いったん下って、最後にそびえるのが超級山岳ガリビエ峠。登坂距離23km・平均勾配5.1%の長い上りをこなし、標高2642mの頂上に達すると今度はテクニカルなダウンヒル。18.9km先のヴァロワールのフィニッシュ地点をめがけて駆け下りる。ガリビエ峠を1位通過した選手にはアンリ・デグランジュ賞が贈られるほか、上位3選手にそれぞれ8秒・5秒・2秒のボーナスタイムが付与される。

前日のレース終盤に落車したカスパー・ピーダスン(スーダル・クイックステップ、デンマーク)が、後に鎖骨骨折の診断が下り、この日は未出走となっている。

レースが始まるとアタックが多発し、一時的にマッズ・ピーダスン(リドル・トレック、デンマーク)ら6人が集団からリードを得る。ただ、早い段階でUAEチームエミレーツが集団コントロールを始めたことで、先行するメンバーたちは十分なタイム差を得るまでには至らない。結局、15km地点で逃げていた選手たちはすべてキャッチされ、その流れで18.9km地点に置かれる中間スプリントポイントへと向かった。

中間スプリントはピーダスンが1位通過し、20点を獲得。前日のステージ覇者ビニヤム・ギルマイ(アンテルマルシェ・ワンティ、エリトリア)が2位(17点)で続いている。

© Keita YAMAUCHI

UAEチームエミレーツが終始集団をコントロール

なおもプロトンは慌ただしい状況が続き、大きく2つに割れた集団の後方にエガン・ベルナル(イネオス・グレナディアーズ、コロンビア)、プリモシュ・ログリッチ(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ、スロベニア)らが取り残される。のちに前方へと戻ったものの、UAEチームエミレーツがつくるペースは強力で、本格的に始まった山岳登坂では着実に人数が絞られていった。

スタートから30kmを迎えようかというところで、集団からマチュー・ファンデルプール(アルペシン・ドゥクーニンク、オランダ)ら17人が抜け出すことに成功。そのまま先頭グループを形成し、逃げの態勢を整えていく。1つ目のカテゴリー山岳であるセストリエールはスティーヴン・ウィリアムズ(イスラエル・プレミアテック、イギリス)が1位通過。この段階で先頭グループとメイン集団の差は2分。

© A.S.O./Billy Ceusters

続けて上ったモンジュネーヴルもウィリアムズが1位通過。しばらくして集団も続くと、頂上からの下りでペースアップ。これでいくつものパックに割れる時間帯があったものの、再び一団に。先頭グループとのタイム差も縮小傾向で、ガリビエ峠の上りを進む間にその差は1分を切った。

先頭グループでも変化が起こり、オイエル・ラスカノ(モビスター チーム、スペイン)のアタックをきっかけに逃げメンバーが散り散りに。クリストファー・ユールイェンセン(チーム ジェイコ・アルウラー、デンマーク)、ダヴィド・ゴデュ(グルパマ・エフデジ、フランス)、トビアス・ヨハンネセン(ウノエックスモビリティ、ノルウェー)の3人だけが対応した。

逃げ切りへのわずかな可能性に賭けてスピードアップを図った4人だったが、再三のアタックはレースの流れを引き寄せるところまではいかず。残り26kmでラスカノが単独先頭に立ったものの、ほどなくして集団が追いついた。

UAEチームエミレーツが変わらず牽引を続けるメイン集団。大きな変化は残り25km、ジョアン・アルメイダ(ポルトガル)のペースアップによって、この日マイヨ・ジョーヌを着用して走ったリチャル・カラパス(EFエデュケーション・イージーポスト、エクアドル)が脱落。直後にエンリク・マス(モビスター チーム、スペイン)も遅れ始めた。頂上が近づいてくると、メイン集団は8人にまで絞り込まれる。メンバーは、ヴィンゲゴー、ポガチャル、アルメイダ、フアン・アユソ(UAEチームエミレーツ、スペイン)、カルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアーズ、スペイン)、レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)、ミケル・ランダ(スーダル・クイックステップ、スペイン)、プリモシュ・ログリッチ(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ、スロベニア)。

© A.S.O./Billy Ceusters

ガリビエ頂上前800mでポガチャルがアタック

そして、大きな瞬間は残り20kmでやってきた。頂上まで1kmを切ったところでポガチャルがアタック。これをすかさずヴィンゲゴーがチェック。2人が抜け出したかに見えたが、連続するヘアピンコーナーでポガチャルがヴィンゲゴーを引き離しにかかる。これでタイム差が生まれると、ポガチャルは単独で頂上に到達。アンリ・デグランジュ賞と同時に、ボーナスタイム8秒を獲得。ヴィンゲゴーは8秒差、レムコが14秒差で続いた。

© Keita YAMAUCHI

フィニッシュへ向かうダウンヒルでも、ポガチャルの勢いは増す一方。時速90kmに届こうかというスピードで攻めると、ヴィンゲゴーらとの差を拡大させる。快調に飛ばすポガチャルの後ろでは、ヴィンゲゴーが追走パックの合流を許す。ヴィンゲゴーのほか、レムコ、アユソ、ログリッチ、ロドリゲスの5人がまとまって最終局面に向かった。

完全にレースをモノにしたポガチャルは、ひとりでフィニッシュ地・ヴァロワールに到達。ライバルとのタイム差を広げるべく、最後までしっかり踏み切って、フィニッシュラインを通過してから初めてウイニングセレブレーションを行った。

© A.S.O./Billy Ceusters

ダブルツールへ視界は良好?

今シーズンはジロ・デ・イタリアとツール・ド・フランスの2冠「ダブルツール」を目指すと早くから公言し、順調にレースをこなしてきたポガチャル。ジロを勝ち、今大会の動向にも注目が集まるが、ついにステージ勝利を挙げてレースリーダーの座に。2日前のステージでもマイヨ・ジョーヌに袖を通したが、4選手が同タイムだったこともあって翌日には一度ジャージを手放していた。今度は2位以下とのタイム差がつき、先々のステージではチームを挙げてジャージキープに努めることだろう。

© A.S.O./Billy Ceusters

ポガチャルから遅れること35秒。2番手グループがフィニッシュへ。早めに仕掛けたレムコが先着し、ステージ2位。山岳でのペーシングで強さを見せたアユソが3位で続いた。ログリッチまでがレムコと同タイムで、ヴィンゲゴーとロドリゲスには2秒のギャップがついている。また、マイヨ・ジョーヌで臨んだカラパスは5分10秒遅れでフィニッシュ。総合争いから脱落した。

これらの結果から、ポガチャルが文句なしのトップに立ち、ボーナスタイムも絡めて2位レムコに45秒の差をつけた。さらに5秒差でヴィンゲゴーが続く。彼らと並ぶ“ビッグ4”の一角と目されるログリッチは1分14秒差の5位。大会が始まって4日目だが、早くも明確なタイム差が表れている。これが今後のステージでレース展開にどう影響を及ぼすだろうか。

© A.S.O./Herve Tarrieu

翌3日に行う第5ステージでは平坦路に戻る。ポイント賞のマイヨ・ヴェール争いがさらに加速していくことだろう。レース距離は177.4kmに設定される。

ステージ優勝、個人総合時間賞 タデイ・ポガチャル コメント

© A.S.O./Billy Ceusters

「とてもうれしい。ほぼ計画通りに走ることができた。独走でフィニッシュできるなんて夢のようだ。今日は全力で攻めようと考えていて、ライバルに数秒差をつけられる自信もあった。このあたりはトレーニングでよく走っていて、自分にとってはホームステージのようなもの。ガリビエ峠の上りは向かい風が強かったので、アシストの後ろを走っている間はそれほどペースを厳しく感じなかった。チームメートが良い働きをしてくれていたので、頂上前800mのところまで我慢して、そこからアタックをすることにした。その後の下りも把握していた。今日を終えてのタイム差には満足しているが、先はまだ長い。」

ツール・ド・フランス2024 第4ステージ結果

ステージ結果

1 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア) 3:46’38”
2 レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)+0’35”
3 フアン・アユソ(UAEチームエミレーツ、スペイン)ST
4 プリモシュ・ログリッチ(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ、スロベニア)
5 ヨナス・ヴィンゲゴー(ヴィスマ・リースアバイク、デンマーク)+0’37”
6 カルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアーズ、スペイン)ST
7 ミケル・ランダ(スーダル・クイックステップ、スペイン)+0’53”
8 ジョアン・アルメイダ(UAEチームエミレーツ、ポルトガル)ST
9 ジュリオ・チッコーネ(リドル・トレック、イタリア)+2’41”
10 サンティアゴ・ブイトラゴ(バーレーン・ヴィクトリアス、コロンビア)ST

個人総合時間賞(マイヨ・ジョーヌ)

1 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア) 19:06’38”
2 レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)+0’45”
3 ヨナス・ヴィンゲゴー(ヴィスマ・リースアバイク、デンマーク)+0’50”
4 フアン・アユソ(UAEチームエミレーツ、スペイン)+1’10”
5 プリモシュ・ログリッチ(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ、スロベニア)+1’14”
6 カルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアーズ、スペイン)+1’16”
7 ミケル・ランダ(スーダル・クイックステップ、スペイン)+1’32”
8 ジョアン・アルメイダ(UAEチームエミレーツ、ポルトガル)ST
9 ジュリオ・チッコーネ(リドル・トレック、イタリア)+3’20”
10 エガン・ベルナル(イネオス・グレナディアーズ、コロンビア)+3’21”

ポイント賞(マイヨ・ヴェール)

ヨナス・アブラハムセン(ウノエックスモビリティ、ノルウェー)

山岳賞(マイヨ・アポワ)

ヨナス・アブラハムセン(ウノエックスモビリティ、ノルウェー)

ヤングライダー賞(マイヨ・ブラン)

レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)

チーム総合時間賞

UAEチームエミレーツ 57:22’58

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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