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ビニヤム・ギルマイが今大会2勝目 上りスプリント制してマイヨ・ヴェール独走|ツール・ド・フランス

ツール・ド・フランス2024の第8ステージが現地7月6日に行われ、上りレイアウトのスプリントでビニヤム・ギルマイ(アンテルマルシェ・ワンティ、エリトリア)が第3ステージに続く今大会2勝目。5日前の勝利はエリトリア人ライダーとして初めてとなるツールのステージ優勝に沸いたが、今回はポイント賞のマイヨ・ヴェールを着ての勝ち星。好調そのままに快進撃を続けている。

最終局面は上り基調

前日行われた第7ステージは個人タイムトライアルだったこともあり、個人総合順位やタイム差に変動が発生。同2位につけるレムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)が勝って、マイヨ・ジョーヌのタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)との総合タイム差を33秒とした。ヨナス・ヴィンゲゴー(ヴィスマ・リースアバイク、デンマーク)、プリモシュ・ログリッチ(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ、スロベニア)もそれぞれ順位を3位と4位として、“ビッグ4”がその呼び名に違わず上位を固めている。

© Keita YAMAUCHI

続く第8ステージは平坦にカテゴライズされるが、終始高低の細かい変化があり、ここ数回の平坦ステージとは異なるイメージ。3級と4級合わせて5つのカテゴリー山岳が設定され、フィニッシュに向かう最後の1kmも上り基調。とりわけ最後の150mは急坂を一気に駆け上がる。

この日はマッズ・ピーダスン(リドル・トレック、デンマーク)が出走を取りやめ。第5ステージのスプリント時にコース脇のバリアーに接触し落車していた。その後もレースを続行していたが、肩周囲の腫れが引かないため、ここで離脱を決意。ポイント賞候補にも挙げられ、その走りが注目されていたが、不運な形で大会を去ることになった。

173人が出走したレースは、8.7kmのパレード走行を経てリアルスタート。パレード中に数人が接触するシーンもあったが、レースは予定通り始まっている。

© Keita YAMAUCHI

早々にステファン・ビッセガー(スイス)とニールソン・パウレス(アメリカ)のEFエデュケーション・イージーポスト勢が仕掛け、それに山岳賞のマイヨ・アポワを着るヨナス・アブラハムセン(ウノエックスモビリティ、ノルウェー)が同調。3人は着実に集団との差を広げていき、10km地点は1分45秒差に。集団からは散発的に追走狙いの動きを見せる選手が現れるものの、先頭合流までは至らない。コース上は雨が降ったりやんだりの状態で、ウェットな路面を進んでいく。

© Keita YAMAUCHI

20km地点を過ぎ、この日1つ目の山岳区間となる3級の上りでまたもEFエデュケーション・イージーポスト勢が動く。アルベルト・ベッティオル(イタリア)とベン・ヒーリー(アイルランド)がペースを上げると、メイン集団は一気に活性化。先頭ではアブラハムセンが山岳ポイントを稼ぐが、その後ろではヒーリーのほか、マキシム・ファンヒルス(ロット・ディステニー、ベルギー)、スティーヴン・ウィリアムズ(イスラエル・プレミアテック、イタリア)、マチュー・ビュルゴドー(トタルエネルジー、フランス)による追走パックが形成された。

© Keita YAMAUCHI

EFエデュケーション・イージーポストは狙い通りの展開とならなかったのか、30km地点を過ぎたところで先頭にいたパウレスとビッセガーが集団に戻る判断。これでアブラハムセンの独走状態となり、たびたび発生していた追走狙いの動きも止んでいく。細かなアップダウンでスプリンター数人が後ろへと下がっていたが、集団のペースが落ち着いたことで無事に復帰。同時にアブラハムセンのひとり逃げが本格化した。

59km地点に設定されたこの日の中間スプリントポイントは、アブラハムセンの1位通過後に約5分40秒差で集団も到達。ギルマイがスプリントを制して全体2位通過とし、17点を加算する。

トップを行くアブラハムセンは最大で6分のリード。徐々に集団がタイム差を調整していくが、5カ所あるカテゴリー山岳はすべて1位通過に成功し、このステージだけで7点を加えた。

集団は残り30kmを切ったあたりから各チームが隊列を組んでペースを上げていく。アブラハムセンとの差は徐々に縮まっていって、フィニッシュ前20kmで38秒。この間にマルク・ソレル(UAEチームエミレーツ、スペイン)やマイケル・マシューズ(チーム ジェイコ・アルウラー、オーストラリア)らが後方へと下がった。

ギルマイ勝利でマイヨ・ヴェール争いで大量リード

先頭で粘ったアブラハムセンだったが、残り14kmで集団が吸収。それでも、長くひとり逃げを見せて文句なしのステージ敢闘賞。そこからはUAEチームエミレーツやイネオス・グレナディアーズ、イスラエル・プレミアテックなどが前方を固めて、最終局面へと急ぐ。残り6kmではファビオ・ヤコブセン(dsmフィルメニッヒ・ポストNL、オランダ)が遅れ、この日のスプリント参戦はなくなった。

残り3kmを切ってデカトロンAG2Rラモンディアール チームやUAEチームエミレーツ、ロット・デスティニーなどが前線へ。さらに残り1kmを前にアンテルマルシェ・ワンティのトレインが上がってくると、一気に先頭まで上がって最終1kmを示すフラムルージュを通過した。

最後の数百メートルで上がってきたのはコフィディス。ブライアン・コカール(フランス)を引き上げて先頭へ出てくる。その番手につけたのはギルマイ。さらにパスカル・アッカーマン(イスラエル・プレミアテック、ドイツ)、アルノー・ドゥリー(ロット・デスティニー、ベルギー)と続く。

© Keita YAMAUCHI

フィニッシュ前250mでコカールがスプリントを開始。フィニッシュ前の急坂150mでヤスペル・フィリプセン(アルペシン・ドゥクーニンク、ベルギー)が加速を開始すると、同時にギルマイも腰を上げる。両者はコカールをかわすと横並びでフィニッシュへと近づく。接戦は最後、わずかな差でギルマイが先着。今大会2勝目を決めた。

© Keita YAMAUCHI

第3ステージではエリトリア人初、さらにはアフリカ系黒色人種のライダーとしても初のツール勝利を挙げ、歴史を作ったギルマイ。その後のステージでも上々の走りを見せ、ポイント賞でも首位に。今度はマイヨ・ヴェールに袖を通してのステージ優勝で、いよいよスプリンターとしては今大会ナンバーワン候補であることをアピールし始めている。

このステージを終えた時点では、ギルマイのマイヨ・ヴェールは独走状態。2番手つけていたピーダスンが大会を去り、ステージ2位でポイントを伸ばしたフィリプセンとも88点差となっている。レース後には「引き続きポイント獲得を目指していきたい」との宣言もあり、しばらくはスプリンター陣の中心的存在となりそうだ。

© Keita YAMAUCHI

総合成績には変動がなく、次のステージもポガチャルがマイヨ・ジョーヌを着用する。レムコとの総合タイム差33秒も変わっていない。

翌7日が第1週最終日。グラベル区間が14セクター・総距離32.2kmも控えており、セクションによってはアップダウンや鋭角コーナーも潜む。最終セクターはフィニッシュ前6.6kmで終えることとなり、未舗装区間で発生した差がそのままフィニッシュまで班家される可能性が高い。個人総合争いにも影響を及ぼすと見られており、各選手のバイクテクニックや地力が試される1日となる。

ステージ優勝 ビニヤム・ギルマイ コメント

© Keita YAMAUCHI

「1勝するだけでも信じられないのに、今度はマイヨ・ヴェールで勝ってしまった。トリノ(第3ステージ優勝)は平坦なフィニッシュだったが、その段階で他選手よりパワーで勝っていることは感じていた。今日のような上りスプリントは僕にピッタリで、とても自信があった。特にツール・ド・フランスで勝つことは、トップライダーであると自覚をする機会にもなっている。トリノで勝った時にプレッシャーから解放された。2勝を挙げた時点でこのツールは大成功だけど、もっとポイントを獲得できるようチャレンジし続けていきたい」

個人総合時間賞 タデイ・ポガチャル コメント

© Keita YAMAUCHI

「今日は終始ペースが速いと感じていた。緊張感もあったので、無事に走り終えられて良かった。明日のステージがマイヨ・ジョーヌ争いにおいて決定的になるとは考えていない。ただ、集中力を保って走る必要は感じている。グラベルセクションの入口はバトルになるだろうし、風や雨の具合でもレース展開が変わってくる。いくらグラベルをうまく走ってもパンクしてしまったらタイムを失ってしまうだろう。きっと慌ただしい1日だけど、チームでまとまって走っていくことがポイントになりそうだ」

ツール・ド・フランス2024 第8ステージ結果

ステージ結果

1 ビニヤム・ギルマイ(アンテルマルシェ・ワンティ、エリトリア) 4:04’50”
2 ヤスペル・フィリプセン(アルペシン・ドゥクーニンク、ベルギー)
3 アルノー・ドゥリー(ロット・ディステニー、ベルギー)
4 パスカル・アッカーマン(イスラエル・プレミアテック、ドイツ)
5 マライン・ファンデンベルフ(EFエデュケーション・イージーポスト、オランダ)
6 ライアン・ギボンズ(リドル・トレック、南アフリカ)
7 アントニー・テュルジス(トタルエネルジー、フランス)
8 フレッド・ライト(バーレーン・ヴィクトリアス、イギリス)
9 アレックス・アランブル(モビスター チーム、スペイン)
10 レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)

個人総合時間賞(マイヨ・ジョーヌ)

1 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア) 31:21’13”
2 レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)+0’33”
3 ヨナス・ヴィンゲゴー(ヴィスマ・リースアバイク、デンマーク)+1’15”
4 プリモシュ・ログリッチ(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ、スロベニア)+1’36”
5 フアン・アユソ(UAEチームエミレーツ、スペイン)+2’16”
6 ジョアン・アルメイダ(UAEチームエミレーツ、ポルトガル)+2’17”
7 カルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアーズ、スペイン)+2’31”
8 ミケル・ランダ(スーダル・クイックステップ、スペイン)+3’35”
9 マッテオ・ヨルゲンソン(ヴィスマ・リースアバイク、アメリカ)+4’03”
10 アレクサンドル・ウラソフ(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)+4’36”

ポイント賞(マイヨ・ヴェール)

ビニヤム・ギルマイ(アンテルマルシェ・ワンティ、エリトリア)

山岳賞(マイヨ・アポワ)

ヨナス・アブラハムセン(ウノエックスモビリティ、ノルウェー)

ヤングライダー賞(マイヨ・ブラン)

レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)

チーム総合時間賞

UAEチームエミレーツ 94:08’34

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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