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第2週幕開け、スプリント勝負の第10ステージはフィリプセン勝利|ツール・ド・フランス

ツール・ド・フランスは第2週がスタート。現地7月9日に行われた第10ステージはスプリントで決して、ヤスペル・フィリプセン(アルペシン・ドゥクーニンク、ベルギー)が今大会初勝利。最終局面はマチュー・ファンデルプール(オランダ)のリードアウトで必勝態勢だった。マイヨ・ヴェールのビニヤム・ギルマイ(アンテルマルシェ・ワンティ、エリトリア)は2位。個人総合には変動がなく、タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)が首位をキープしている。

キッテルさんが千羽鶴を贈呈

グラベルステージに沸いた第1週を終えて、前日8日は今大会1回目の休息日。9日から第2週に入り、戦いが再開される。

3月開催のパリ~ニースではおなじみのサン=タマン=モンロンだが、ツール2013年大会でフィニッシュ地になった際は、風でプロトンが分断。最前線には8人しか残らない状況となったなか、ステージ優勝上げたのがマーク・カヴェンディッシュ(現アスタナ・カザクスタン チーム、イギリス)だった。この日もコース上は弱い雨や風が吹いたが、結果として気象条件がレース展開に影響することはなかった。

© Keita YAMAUCHI

史上初めてパリに達しないツールにあって、この日のスタート地・オルレアンが今大会で最もパリに迫る。ここからプロトンは南進し、フランスの中央部へ。サン=タマン=モンロンまでの187.3kmのルートは獲得標高が950mで、この大会で最も高低の変化が少ない。それを表すように道中カテゴリー山岳が設定されず、限りなくフラットに近いレイアウトが続く。

レースに先立ち、今年で10回目を迎える「ツール・ド・フランス さいたまクリテリウム」(11月2日開催)へ向けて、アンバサダーのマルセル・キッテルさんがステージに登壇。日本の子供たちが折った千羽鶴を大会ディレクターのクリスティアン・プリュドム氏に手渡し、クリテリウムの成功、そしてツールの安全と選手たちの活躍を祈念した。

© Keita YAMAUCHI

逃げがないまま進行

迎えたレースは、第9ステージで落車し足首を骨折したアレクサンドル・ウラソフ(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)をのぞく172選手がコースへ。8.7kmのパレード走行を経てリアルスタートを切るが、逃げがないまま静かに進行していく。

© A.S.O./Charly Lopez

ゆっくりと進んでいた集団だが、40km地点を過ぎたところでマキシム・ファンヒルスとブレント・ファンムールのロット・デスティニー勢とコーベ・ホーセンス(アンテルマルシェ・ワンティ)のベルギー人ライダー3人が集団から飛び出す。集団とはすぐに1分以上の開きとなり、中間スプリントポイントに近づいているタイミングだったこともあってアルペシン・ドゥクーニンクがコントロールを始める。

57.1km地点に設置された中間スプリントポイントは、2人に人数を減らした先頭メンバーが上位を占め、メイン集団は3位通過争いのスプリント。ここはフィリプセンが先着し15点を獲得。ポイント賞首位のマイヨ・ヴェールを着るギルマイが続き、13点を加算している。

逃げていた選手たちは65km地点を通過するまでに全員が集団へ戻る格好。それからは集団の形勢に変化は起きず、一団のままフィニッシュを目指していくことに。この間にヨナス・ヴィンゲゴー(ヴィスマ・リースアバイク、フランス)やギルマイがバイクトラブルで止まるが、労せずに集団へ復帰。終盤にかけては、ここまでの平坦ステージ同様に多くのチームがトレインを編成し、徐々に前方へと位置取りを始めた。

© A.S.O./Charly Lopez

前回ポイント賞のフィリプセンがついに勝利

スプリントに向けて主導権争いが激しくなったのは、残り10kmを切ってから。デカトロンAG2Rラモンディアール チームやアスタナ・カザクスタン チームなどに加えて、UAEチームエミレーツやヴィスマ・リースアバイクといった総合系ライダーを要するチームまで混じってのポジショニング。フィニッシュ前3.5kmではEFエデュケーション・イージーポストが先頭に立ち、集団のペースを引き上げる。

残り2.5kmからはウノエックスモビリティやロット・デスティニーも最前線へ。そして、残り1.5kmで満を持してアルペシン・ドゥクーニンクが上がってきて、フィリプセンでのスプリント態勢を固めた。

© Keita YAMAUCHI

残り900mからの連続コーナーを抜け、最後の500mは一直線。ここでマチューがリードアウト。アルペシン勢の番手争いが混沌としているのをよそに、フィリプセンはみずからのタイミングで加速。マチューからフィリプセンへのホットラインが完璧に機能し、10ステージ目にして今大会の初勝利を挙げた。

© Keita YAMAUCHI

前回はマイヨ・ヴェールを獲得し、プロトンナンバーワンスプリンターの称号を得たフィリプセン。その栄華に違わず今季も絶好調で、ミラノ~サンレモを制するなど、ツール開幕まで4勝を挙げていた。しかし、今大会の第1週は未勝利。第6ステージでは2着でフィニッシュしていながら、他選手のスプリントラインを侵害したとして107位に降着。ポイントを加算できず、マイヨ・ヴェール2連覇へ暗雲が立ち込めていた。しかし、ついに勝利を挙げて、同賞で首位に立つギルマイを追う体制へ。残り少ないスプリント機会で勝利を重ねる意欲だ。

© Keita YAMAUCHI

なお、2位はギルマイ、3位はパスカル・アッカーマン(イスラエル・プレミアテック、ドイツ)が入線。137位までがメイン集団でのフィニッシュとなった。

個人総合上位陣も問題なくトップと同タイムでレースを完了。順位に変動はなく、ポガチャルが引き続きマイヨ・ジョーヌを着用する。

© Keita YAMAUCHI

翌10日に行う第11ステージは、エヴォー=レ=バンからル・リオランまでの211km。最後の約50kmに短いながら急な上りがひしめいており、獲得標高は4350mを数える。アタッカー有利と見られているが、マイヨ・ジョーヌ争いにおいてもアクションが起こっても不思議ではないコースだ。

ステージ優勝 ヤスペル・フィリプセン コメント

© Keita YAMAUCHI

「ようやく勝ててホッとしている。ここまでのステージでの走りは決して良いとは言えなかった。ベストコンディションで開幕を迎えられなかった感じはするけど、徐々に調子が上がってきているので今後のステージでもっと実力を発揮できると思う。

残り1kmを切ってからのコーナーがトリッキーだと把握していたので、うまく対処できた。ここまで5回のスプリント機会を逃してしまっていたけど、チームとして信念を持ち続けてこの勝利につなげられた。ここまではステージ優勝を目標にしていたけど、マイヨ・ヴェール獲得に向けて何ができるかを考えていきたい」

個人総合時間賞 タデイ・ポガチャル コメント

© Keita YAMAUCHI

「休息日明けのステージは決して簡単ではない。幸い今日の前半はイージーだったけど、無理に集団の先頭まで出ることはしなかった。横風が吹く可能性を感じて多くのチームが前へとポジションを移動させていたけど、結果的に風が吹くことはなかったので、集団はひとつのまま進んだ。今日は個人総合順位に変動がなかったけど、明日はどうなるか分からない。長くて厳しいステージだし、ピュイ・マリー・パ・ド・ペイロル(1級山岳)は2020年に上って、今までのキャリアで一番厳しいレベルの山岳だったと感じている」

ツール・ド・フランス2024 第10ステージ結果

ステージ結果

1 ヤスペル・フィリプセン(アルペシン・ドゥクーニンク、ベルギー) 4:20’06”
2 ビニヤム・ギルマイ(アンテルマルシェ・ワンティ、エリトリア)ST
3 パスカル・アッカーマン(イスラエル・プレミアテック、ドイツ)
4 ワウト・ファンアールト(ヴィスマ・リースアバイク、ベルギー)
5 フェルナンド・ガビリア(モビスター チーム、コロンビア)
6 サム・ベネット(デカトロンAG2Rラモンディアール チーム、アイルランド)
7 ジョン・デゲンコルプ(dsmフィルメニッヒ・ポストNL、ドイツ)
8 フィル・バウハウス(バーレーン・ヴィクトリアス、ドイツ)
9 ディラン・フルーネウェーヘン(チーム ジェイコ・アルウラー、オランダ)
10 アクセル・ジングレ(コフィディス、フランス)

個人総合時間賞(マイヨ・ジョーヌ)

1 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア) 40:02’48”
2 レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)+0’33”
3 ヨナス・ヴィンゲゴー(ヴィスマ・リースアバイク、デンマーク)+1’15”
4 プリモシュ・ログリッチ(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ、スロベニア)+1’36”
5 フアン・アユソ(UAEチームエミレーツ、スペイン)+2’16”
6 ジョアン・アルメイダ(UAEチームエミレーツ、ポルトガル)+2’17”
7 カルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアーズ、スペイン)+2’31”
8 ミケル・ランダ(スーダル・クイックステップ、スペイン)+3’35”
9 デレク・ジー(イスラエル・プレミアテック、カナダ)+4’02”
10 マッテオ・ヨルゲンソン(ヴィスマ・リースアバイク、アメリカ)+4’03”

ポイント賞(マイヨ・ヴェール)

ビニヤム・ギルマイ(アンテルマルシェ・ワンティ、エリトリア)

山岳賞(マイヨ・アポワ)

ヨナス・アブラハムセン(ウノエックスモビリティ、ノルウェー)

ヤングライダー賞(マイヨ・ブラン)

レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)

チーム総合時間賞

UAEチームエミレーツ 120:13’19

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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