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消耗戦からのスプリントはフィリプセンが制す、ログリッチがリタイア|ツール・ド・フランス

ツール・ド・フランスは現地7月12日に第13ステージが行われ、アタックとキャッチの繰り返しとなる激しいレースの最後はスプリントに。ヤスペル・フィリプセン(アルペシン・ドゥクーニンク、ベルギー)が制して、第10ステージに続く今大会2勝目を挙げた。マイヨ・ジョーヌはタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)がキープした一方で、ジャージを争う立場にあったプリモシュ・ログリッチ(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ、スロベニア)が前日の落車で負傷し出走を取りやめ。大会を去った。

ログリッチが出走せず

大会第2週も後半へ。第13ステージはアジャンを出発し、ツールではおなじみのポーへと向かう165.3km。終盤2つの4級山岳をのぞいておおむね平坦基調だが、このところの不安定な天候もあって、強い風がコース上に吹く。この風がレース展開にも左右することとなる。

レーススタート前に衝撃の情報が駆けめぐった。ログリッチが出走を諦め、大会を離脱することが決まったのだ。前日のステージ、フィニッシュ前12kmのポイントでクラッシュに巻き込まれ、肩付近を負傷していた。また、前々日の第11ステージでも終盤のダウンヒル区間で落車しており、24時間以内に2度も地面に叩きつけられていた。チームは脳震盪や骨折の心配はないとしているものの、複数回の落車による身体へのダメージを考慮。大会を離れることを決めた。

この日はヘスス・エラダ(コフィディス、スペイン)も出走せず。前日には3選手がタイムアウトとなっており、161人が第13ステージに出走した。

© Keita YAMAUCHI

ヴィスマが再三の分断作戦

パレード区間を経てリアルスタートが切られると、すぐに大人数がアタック。強い風も関係してか、分裂するような形で集団から離れていく。この中にはヴィスマ・リースアバイクからヤン・トラトニク(スロベニア)、UAEチームエミレーツから個人総合8位につけるアダム・イェーツ(イギリス)がジョイン。さらにマチュー・ファンデルプール(アルペシン・ドゥクーニンク、オランダ)らも乗り、最大で22人まで膨らむ。

ただ、集団も簡単には容認しない。25km地点を過ぎようかというタイミングで、ワウト・ファンアールト(ヴィスマ・リースアバイク、ベルギー)が猛然とスピードアップ。風を利用して集団の分断を図ると、前線に乗り込んだのは10数人。マイヨ・ジョーヌのポガチャルやヨナス・ヴィンゲゴー(ヴィスマ・リースアバイク、フランス)、レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)といった個人総合上位陣も先頭交代に加わった。

かたや、後ろに残された選手たちでは、イネオス・グレナディアーズがこの状態を嫌って追走を開始。10kmもいかないうちにポガチャルらを引き戻した。

© Keita YAMAUCHI

アタックとキャッチが繰り返される状況であることから、先頭を走る選手たちが十分なリードを得るまでにはなかなか至らない。45km地点を通過時に1分差となったが、その後再び数十秒差に。流れが幾分変わったのは、70km地点を前にマグナス・コルト(ウノエックスモビリティ、デンマーク)、ジュリアン・ベルナール(リドル・トレック、フランス)、ミハウ・クフィアトコフスキ(イネオス・グレナディアーズ、ポーランド)、ロマン・グレゴワール(グルパマ・エフデジ、フランス)が飛び出してからだった。

先頭の4人はメイン集団に対し1分25秒ほどのリードで進行。88.5km地点に置かれた中間スプリントポイントは15位通過までを逃げのメンバーで占めている。その後第2グループのメンバーは集団へと戻って、約1分差で4人が逃げ続けた。

© A.S.O./Charly Lopez

吹き続ける強い風は、再び攻撃戦を誘発した。残り62km、ヴィスマ・リースアバイクが再度のスピードアップ。やはりここもポガチャル、ヴィンゲゴー、レムコら上位陣が加わり、ペースアップに同調する。メイン集団は40人ほどまで減り、序盤から逃げていたマチューのほか、マーク・カヴェンディッシュ(アスタナ・カザクスタン チーム、イギリス)らが後ろへと下がった。

分断で前方グループに乗ったメンバーは勢いのまま先頭4人に追いつく。しかし、2つの4級山岳を迎える直前で後続選手たちも合流。代わって、リチャル・カラパス(EFエデュケーション・イージーポスト、エクアドル)とトビアス・ヨハンネセン(ウノエックスモビリティ、ノルウェー)がアタックした。

© A.S.O./Charly Lopez

しばし先行した2人だったが、残り20kmを前に集団が吸収。カウンターでヤスペル・ストゥイヴェン(リドル・トレック、ベルギー)、ブレント・ファンムール(ロット・ディステニー、ベルギー)、ファビアン・グルリエ(トタルエネルジー、フランス)がアタックし、のちにグルリエと入れ替わる形でクリストフ・ラポルト(ヴィスマ・リースアバイク、フランス)とマチュー・ビュルゴドー(トタルエネルジー、フランス)が先頭合流。4人となったものの、すぐに集団がキャッチすると、その後の散発するアタックもすべて封じられた。

ツール史上8番目の高速レース、平均時速48.821km

80人ほどの集団で最終局面へ。残り2kmを切って、マイヨ・ヴェールのビニヤム・ギルマイ(エリトリア)要するアンテルマルシェ・ワンティのトレインが先頭へ。そこへアルケア・B&Bホテルズの選手たちも続いてスプリントへと向かった。

フィニッシュ前600mでクラッシュが発生。これで集団が崩れ、前に残ったのは15人程度。ラポルトの牽引でワウトが最前線まで上がると、残り300mから早めのスプリント開始。最後の250mでフィリプセンがワウトをかわして先頭に立つと、そのままフィニッシュまで突き進んで、今大会2勝目を決めた。

© Keita YAMAUCHI

2位にはワウト、3位にパスカル・アッカーマン(イスラエル・プレミアテック、ドイツ)と続き、マイヨ・ヴェールのギルマイは4位。前日終了時に100点以上の差となっていたポイント賞争いは、フィリプセンの勝利で75点差まで縮まっている。

フィニッシュ前のクラッシュで集団が割れたものの、救済措置によりトップと同タイムに。個人総合順位はログリッチとアユソが離脱した分の変動のみで、ポガチャルの首位は変わらず。マイヨ・ジョーヌみずからスプリントにも挑んで、ステージ9位で終えている。

なお、このステージの平均時速48.821km。ツール史上8番目の高速レースであった。

大会はいよいよピレネーへ。第14ステージでは超級山岳トゥールマレー(登坂距離19km、平均勾配7.4%)を越え、2級山岳を挟んで2つ目の超級山岳プラ・ダデ(登坂距離10.6km、平均勾配7.9%)へ。マイヨ・ジョーヌ争いが加速度を増す。レース距離は151.9kmに設定されている。

ステージ優勝 ヤスペル・フィリプセン コメント

© Keita YAMAUCHI

「スタートから全力でプッシュし続けて、一度もペースが落ちることがなかった。横風がレースを活発にさせた。マチューとアクセル・ローランスが逃げに乗ったけど、集団が彼らのグループを追いかけていたのでスプリントチャンスがあるのではないかと思っていた。最終局面は、クリストフ・ラポルトがワウトのために完璧な仕事をしていたけど、僕は彼らをチェックしながら進んで、最後に追い抜くことができた。今日はツールに入って一番調子が良く、難しいレースではあったけれどうまく走ることができた」

個人総合時間賞、山岳賞 タデイ・ポガチャル コメント

© Keita YAMAUCHI

「100kmを過ぎてからレースが活性化すると思ったら、スタートからでとても大変だった。アダムが逃げに入ってくれたので、チームとしては良い状況だった。最終局面はチームメートが守ってくれて、安全にフィニッシュまで行くことができた。スプリントをするつもりはなかったけど、近くで落車があったりで危険だったので集中して走った。

明日からのピレネーのコースはとても気に入っている。今日までの3日間の走り方が、明日からの2ステージに関係してくると思う。個人的にはとても調子が良く、フアン・アユソのリタイアが残念だけれど残りのメンバーはみんな順調だ。1人減っても、チームは強いままなのは間違いない。僕たちは日々強くなっていく実感がある」

ツール・ド・フランス2024 第13ステージ結果

ステージ結果

1 ヤスペル・フィリプセン(アルペシン・ドゥクーニンク、ベルギー) 3:23’09”
2 ワウト・ファンアールト(ヴィスマ・リースアバイク、ベルギー)ST
3 パスカル・アッカーマン(イスラエル・プレミアテック、ドイツ)
4 ビニヤム・ギルマイ(アンテルマルシェ・ワンティ、エリトリア)
5 ニキアス・アルント(バーレーン・ヴィクトリアス、イタリア)
6 ヤスペル・ストゥイヴェン(リドル・トレック、ベルギー)
7 クレマン・リュソ(グルパマ・エフデジ、フランス)
8 ブライアン・コカール(コフィディス、フランス)
9 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)
10 ソーレン・ヴァーレンショルト(ウノエックスモビリティ、ノルウェー)

個人総合時間賞(マイヨ・ジョーヌ)

1 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア) 52:40’58”
2 レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)+1’06”
3 ヨナス・ヴィンゲゴー(ヴィスマ・リースアバイク、デンマーク)+1’14”
4 ジョアン・アルメイダ(UAEチームエミレーツ、ポルトガル)+4’20”
5 カルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアーズ、スペイン)+4’40”
6 ミケル・ランダ(スーダル・クイックステップ、スペイン)+5’38”
7 アダム・イェーツ(UAEチームエミレーツ、イギリス)+6’59”
8 ジュリオ・チッコーネ(リドル・トレック、イタリア)+7’36”
9 デレク・ジー(イスラエル・プレミアテック、カナダ)+7’54”
10 マッテオ・ヨルゲンソン(ヴィスマ・リースアバイク、アメリカ)+8’56”

ポイント賞(マイヨ・ヴェール)

ビニヤム・ギルマイ(アンテルマルシェ・ワンティ、エリトリア)

山岳賞(マイヨ・アポワ)

タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)

ヤングライダー賞(マイヨ・ブラン)

レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)

チーム総合時間賞

UAEチームエミレーツ 158:12’09

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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