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ピレネー初日はポガチャルがヴィンゲゴーらを振り切り総合リード広げる|ツール・ド・フランス

第2週が進行中のツール・ド・フランス。現地7月13日はピレネー山脈初日となる第14ステージを行って、最終登坂の超級山岳プラ・ダデでアタックに成功したタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)が独走勝利。残り5kmでの攻撃で、ヨナス・ヴィンゲゴー(ヴィスマ・リースアバイク、フランス)らを振り切った。これで総合リードを拡大させ、2位に上がったヴィンゲゴーとの差を1分57秒としている。

残り8ステージ中5つが山頂フィニッシュ

第2週に入ってフランス中央部を南下してきたプロトンは、いよいよピレネー山脈に脚を踏み入れる。前日にフィニッシュ地だったポーの街は、この日スタート地に。おおよそ南東に針路をとる。

緩やかな上り基調を進んで、70.2km地点で中間スプリントポイントへ。この通過を機に上りが本格化して、まずはおなじみ超級山岳トゥールマレー(登坂距離19km、平均勾配7.4%)を上る。いったん下って2級山岳ウルケット・ダンシザンを越えたら、いよいよこのステージの勝負の場である超級山岳プラ・ダデを迎える。登坂距離10.6km、平均勾配7.9%で、上り口からの3kmで10%超の急坂が待つ。フィニッシュ近くになってから細かな緩急の変化もある。

© A.S.O./Billy Ceusters

このステージを含め残りは8ステージだが、うち5つが山頂フィニッシュという過酷なコース設定。その第一弾が、プラ・ダデへの挑戦である。

レースを前に、トーマス・ピドコック(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)が新型コロナウイルス陽性反応により出走を取りやめ。ギヨーム・ボワヴァン(イスラエル・プレミアテック、カナダ)も体調不良でスタートラインにつかなかった。

最大18人の逃げ

157選手がレースに臨み、7.3kmのパレード走行を経てリアルスタート。すぐにアタックがかかって、プロトン全体がハイスピードに。前日フィニッシュ前で落車したアモリ・カピオット(アルケア・B&Bホテルズ、フランス)がこの流れについていけず、早々に脱落。のちにレース続行をあきらめ、涙ながらにリタイアした。

数人が前方をうかがっては集団がキャッチする流れが繰り返される。ときにマイヨ・ジョーヌのポガチャルみずから先頭付近まで上がって、睨みを利かせる場面も。

40km地点を過ぎてマチュー・ファンデルプール(アルペシン・ドゥクーニンク、オランダ)、ブライアン・コカール(コフィディス、フランス)、セドリック・ブーレンス(ロット・ディステニー、ベルギー)、アルノー・ドゥリー(ロット・ディステニー、ベルギー)が先頭に立ち、数秒のリードを得る。後方でも先頭4選手をめがけた動きが激しく、やがてマチューらのパックに合流。先頭グループ8人の後ろには、15人まで膨らんだ追走グループが組まれる。この中には、ポイント賞を争うビニヤム・ギルマイ(アンテルマルシェ・ワンティ、エリトリア)とヤスペル・フィリプセン(アルペシン・ドゥクーニンク、ベルギー)も含まれた。

© Keita YAMAUCHI

中間スプリントポイントには前を行く8人が先に到達。ここはコカールがドゥリーとの争いに勝って1位通過。少し遅れてやってきた追走グループは、やはりギルマイとフィリプセンが競って、ギルマイが先着。全体9位通過とし、9ポイントを加算させた。

この直後に追走メンバーが先頭グループに合流。一方で、スプリント系の選手たちが集団へと戻る判断をしたことで、最前線を走る選手たちは幾分のシャッフル。トゥールマレーに入る段階で、先頭グループは18人となった。

© Keita YAMAUCHI

いざトゥールマレーに入ると、登坂力の差が明確に出て先頭グループから次々と後退する選手が現れる。19kmもの長い上りを終える頃には人数は指折り数えられる程度まで減る。頂上はオイエル・ラスカノ(モビスター チーム、スペイン)が1位通過。この山に設定されたジャック・ゴデ賞(5000ユーロ)を獲得している。

メイン集団はリーダーチームのUAEチームエミレーツがコントロール。トゥールマレー入口では約5分あった先頭とのタイム差は、2級山岳ウルケット・ダンシザンを上り始める頃には約3分に縮小。逃げメンバーからのアタックも見られたが、レースの流れを変えるほどにはならず。5人のパックで頂上を通過。1位はダヴィド・ゴデュ(グルパマ・エフデジ、フランス)が押さえ、1分15秒後にメイン集団が到達した。

アダムの前待ちからポガチャルが独走へ

集団はなおもUAEチームエミレーツがペースを作っており、逃げメンバーをキャッチするのは時間の問題に。最終登坂プラ・ダデに入ると、ベン・ヒーリー(EFエデュケーション・イージーポスト、アイルランド)がゴデュらを引き離して単独先頭に立ったが、数十秒後ろには集団が迫っている。

© A.S.O./Charly Lopez

大きな局面は山頂のフィニッシュまで約7kmを残すタイミングでやってきた。アダム・イェーツ(UAEチームエミレーツ、イギリス)が、ポガチャルと一言二言やり取りしたのちに集団を飛び出す。それまでペーシングを担っていたジョアン・アルメイダ(ポルトガル)が牽くのをやめ、代わってマッテオ・ヨルゲンソン(ヴィスマ・リースアバイク、アメリカ)が前へ。そして残り5kmとなったのを合図にポガチャルがアタック。当然ヴィンゲゴーやレムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)がチェックに動くが、猛然とダンシングをするポガチャルの勢いが勝っている。数十秒前で待っていたアダムはポガチャルが合流したのを見て500mほど牽引。残り4kmを切ったところで、ポガチャルが満を持して独走態勢に入った。

番手につくレムコや、抑え役に回ったアダムは振り切ったヴィンゲゴーだったが、ポガチャルとの差を10秒ほどまで縮めるのが精いっぱい。その後はギャップが広がっていき、ポガチャルの背中は見えなくなっていった。

© Keita YAMAUCHI

コース左右を埋め尽くす大観衆を縫って山頂までを突き進んだポガチャル。そのペダリングに衰えは見られず、最後の最後まで力強く踏み続けた。フィニッシュはハルクポーズでウイニングセレブレーション。第4ステージに続く今大会2勝目は、ライバルとの総合タイム差を広げる会心の勝利となった。

今季はジロ・デ・イタリアを制し、1998年のマルコ・パンターニ以来となる「ダブル・ツール」にチャレンジしているポガチャル。第4ステージ以降マイヨ・ジョーヌを着続けて、個人総合争いを優位に展開している。この日ヴィンゲゴーは39秒差のステージ2位、レムコが1分10秒差の同3位。両者との総合タイム差は、1分57秒、2分22秒に。残るステージでのジャージを賭けた攻防からも目が離せない。

© Keita YAMAUCHI

フランス革命記念日の翌14日、第15ステージもピレネー山脈を行く。スタートしてすぐに1級山岳ペイルスルド登坂をこなし、その後は途中で平坦区間を進みながらも断続的に1つの1級山岳を越える。そして最後は超級山岳プラトー・ド・ベイユ(登坂距離15.8km、平均勾配7.9%)へ。過去4回登場し、ステージを勝った選手が個人総合優勝を果たしているジンクスのある上りでもある。

ステージ優勝、個人総合時間賞、山岳賞 タデイ・ポガチャル コメント

© Keita YAMAUCHI

「プランとしては最後のスプリントでボーナスタイムを得ることだったけど、それ以上の勝ち方ができて本当にうれしい。理想的なシナリオで、アダムが先行してくれたことで僕にとっては本能でレースができる状況が作り出された。みんなの働きに感謝している。

ツールでの勝利数が増えたのと同時に、このポジティブな状況を力にしたい。フアン・アユソが離脱した分、当初のイメージとは違う形で山岳をこなしているけど、ジョアン・アルメイダが残り8kmから素晴らしいコントロールをしてくれて、アダム・イェーツはみずからがステージを狙えるコンディションにある。僕自身もとても調子が良くて、総合とステージの両成績を追い求められる状況だった。前で待ってくれていたアダムにはとても感謝している。

(最終目的地)ニースまではまだ遠く、この先のステージで何が起きるか想像がつかない。重要なのは僕をサポートしてくれる強いチームメートがいることで、僕は本能でレースができる環境が整っている。失敗してしまうこともあるけれど、僕はこのスタンスを崩すつもりはない」

ツール・ド・フランス2024 第14ステージ結果

ステージ結果

1 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア) 4:01’51”
2 ヨナス・ヴィンゲゴー(ヴィスマ・リースアバイク、デンマーク)+0’39”
3 レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)+1’10”
4 カルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアーズ、スペイン)+1’19”
5 ジュリオ・チッコーネ(リドル・トレック、イタリア)+1’23”
6 サンティアゴ・ブイトラゴ(バーレーン・ヴィクトリアス、コロンビア)ST
7 アダム・イェーツ(UAEチームエミレーツ、イギリス)
8 フェリックス・ガル(デカトロンAG2Rラモンディアール チーム、オーストリア)+1’26”
9 マッテオ・ヨルゲンソン(ヴィスマ・リースアバイク、アメリカ)+1’29”
10 デレク・ジー(イスラエル・プレミアテック、カナダ)ST

個人総合時間賞(マイヨ・ジョーヌ)

1 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア) 56:42’39”
2 ヨナス・ヴィンゲゴー(ヴィスマ・リースアバイク、デンマーク)+1’57”
3 レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)+2’22”
4 ジョアン・アルメイダ(UAEチームエミレーツ、ポルトガル)+6’01”
5 カルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアーズ、スペイン)+6’09”
6 ミケル・ランダ(スーダル・クイックステップ、スペイン)+7’17”
7 アダム・イェーツ(UAEチームエミレーツ、イギリス)+8’32”
8 ジュリオ・チッコーネ(リドル・トレック、イタリア)+9’09”
9 デレク・ジー(イスラエル・プレミアテック、カナダ)+9’33”
10 マッテオ・ヨルゲンソン(ヴィスマ・リースアバイク、アメリカ)+10’35”

ポイント賞(マイヨ・ヴェール)

ビニヤム・ギルマイ(アンテルマルシェ・ワンティ、エリトリア)

山岳賞(マイヨ・アポワ)

タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)

ヤングライダー賞(マイヨ・ブラン)

レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)

チーム総合時間賞

UAEチームエミレーツ 170:20’36

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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