BRAND

  • FUNQ
  • ランドネ
  • PEAKS
  • フィールドライフ
  • SALT WORLD
  • EVEN
  • Bicycle Club
  • RUNNING style
  • FUNQ NALU
  • BLADES(ブレード)
  • flick!
  • じゆけんTV
  • buono
  • eBikeLife
  • HATSUDO
  • Kyoto in Tokyo

STORE

MEMBER

  • EVEN BOX
  • PEAKS BOX
  • Mt.ランドネ

カラパスが逃げ切り ポガチャルはヴィンゲゴーとの総合タイムを広げる|ツール・ド・フランス

熱戦が続くツール・ド・フランス。現地7月17日には第17ステージが行われ、レース後半に入って形成された逃げのグループからリチャル・カラパス(EFエデュケーション・イージーポスト、エクアドル)が抜け出して、そのまま独走。ツールでは初のステージ勝利を挙げた。逃げを容認したメイン集団では、終盤にタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)ら個人総合トップ3がアタック。ポガチャルはヨナス・ヴィンゲゴー(ヴィスマ・リースアバイク、フランス)に2秒差をつけてフィニッシュ。総合リードを広げている。

数少ない逃げのチャンス

前日16日から大会第3週が始まり、南仏を最終目的地ニースに向かって東進中。第17ステージはサン=ポール=トロワ=シャトからシュペルデヴォリュイまでの177.8kmで争われる。第1週で一度足を踏み入れたアルプスへと戻るこの日。スタートから緩やかに上っていくレイアウトで、114.8km地点で中間スプリントポイントを過ぎ、最後の35kmでは2級・1級・3級のカテゴリー山岳を連続で上る。最後は3級山岳シュベルデヴォリュイの頂上にフィニッシュする。

© A.S.O./Charly Lopez

レースを前に、フィル・バウハウス(バーレーン・ヴィクトリアス、ドイツ)とエルマール・ラインダルス(チーム ジェイコ・アルウラー、オランダ)が出走を取りやめ。ラインダルスは第一子の誕生が迫り、大会を早めに切り上げることとなった。

リアルスタートの瞬間からアタックがかかる激しい序盤戦。ポガチャルやヴィンゲゴーも先頭付近に位置し、逃げを狙う選手たちとともに前がかりでレースを進める。出入りが激しい状況から、9km地点でプロトンは分断。強い風が関係し、一時的ながらアダム・イェーツ(UAEチームエミレーツ、イギリス)ら個人総合の上位ライダーも後ろに取り残された。

20km地点を前に一団に戻って、再びアタックとキャッチの繰り返し。ワウト・ファンアールト(ヴィスマ・リースアバイク、ベルギー)ら強力メンバーがパックを形成する場面があったが、逃げを決めるまでには至らない。

© A.S.O./Charly Lopez

ハイペースで進行するプロトンに変化があったのは、57km地点。マグナス・コルト(ウノエックスモビリティ、デンマーク)らの動きに数人が追随し、やがて4人による先頭グループが形成される。メンバーはコルトのほか、ボブ・ユンゲルス(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ、ルクセンブルク)、ロマン・グレゴワール(グルパマ・エフデジ、フランス)、ティシュ・ベノート(ヴィスマ・リースアバイク、ベルギー)。

大会終盤にきての激しい展開に、集団から遅れる選手の姿も。体調不良が伝えられていたアレクセイ・ルツェンコ(アスタナ・カザクスタン チーム、カザフスタン)のほか、フェルナンド・ガビリア(モビスター チーム、コロンビア)、サム・ベネット(デカトロンAG2Rラモンディアール チーム、アイルランド)といったスプリンターがリタイアとなっている。

最大47人の追走グループからカラパスが飛び出す

収まることのないハイペースと横風で集団が再び分断したのは、ちょうど中間地点を過ぎたあたり。40人ほどが前のグループとなったが、アダム・イェーツが再び後ろに残る形に。さほど時間をかけずに後続メンバーが再合流を果たしたが、慌ただしい流れに歯止めがかからない。

このまま中間スプリントポイントを迎え、先頭4人から45秒差でメイン集団が到達。マイヨ・ヴェールを争うビニヤム・ギルマイ(アンテルマルシェ・ワンティ、エリトリア)とヤスペル・フィリプセン(アルペシン・ドゥクーニンク、ベルギー)がやはり競って、ここはギルマイが先着。全体の5位通過で11点を加算。同6位のフィリプセンは10点を得る。

© A.S.O./Charly Lopez

この直後、メイン集団は実質3度目の分断。今度は個人総合上位陣が前乗りせず、総合に関係しない選手たちのみが先を急ぐ格好に。これでレースの方向性が定まることとなり、総合系ライダーを含んだ事実上のメイン集団はリーダーチームのUAEチームエミレーツのコントロールのもと、ペースを落ち着かせた。

分断によって前方パックに入ったのは47人。たびたび追走を狙って動いていたカラパスやワウトもこの中に加わる。1つ目のカテゴリー山岳、2級のコル・バイヤールに入ると登坂力の差が表れて、遅れる選手たちが出始める。頂上を目前にして、ギヨーム・マルタン(コフィディス、フランス)が飛び出すと、ヴァランタン・マドゥアス(グルパマ・エフデジ、フランス)も追随。続く1級山岳コル・ドゥ・ノワイエ(登坂距離7.5km、平均勾配8.1%)を前に先頭グループに追いついた。

ノワイエ登坂に入ると、大人数の追走グループからサイモン・イェーツ(チーム ジェイコ・アルウラー、イタリア)がアタック。先頭グループへのブリッジを図ると、そのままパスして独走を開始。後ろからはカラパスとスティーヴン・ウィリアムズ(イスラエル・プレミアテック、イギリス)が追う。

カラパスはウィリアムズを引き離すと、中腹でサイモンに合流。しばらく2人で上ったが、残り13kmでアタック。サイモンを振り切ると、10%を超える急坂区間を攻めて後続との差を広げた。

© A.S.O./Charly Lopez

カラパスは最終登坂の3級シュペルデヴォルイも力強く上って、トップでフィニッシュへ到達。ツールでは初めてのステージ優勝を決めた。

© Keita YAMAUCHI

2019年にジロ・デ・イタリアを制し、ツールも2021年に個人総合3位と表彰台を経験。総合系ライダーとしてトップクラスの力を誇るが、前回大会は第1ステージでの落車で負傷しリタイア。今大会は序盤こそ好調で、第3ステージではマイヨ・ジョーヌにも袖を通したが、前哨戦ツール・ド・スイスで体調を崩した影響もあり、総合争いから脱落していた。

その後はステージ優勝にフォーカスし、たびたび逃げにトライ。このステージでついにチャレンジが実った。幾多のタイトルを獲っていながら、ツールの勝利は意外にも初めて。これですべてのグランツールで勝利を挙げた選手となった。なお、3年前の東京五輪ロードレース覇者だが、パリ五輪には出場しないことが決まっている。

カラパスのフィニッシュから37秒差でサイモンが2位フィニッシュ。単独で追走していたエンリク・マス(モビスター チーム、スペイン)が57秒差の3位だった。

総合トップ3のバトルはレムコ先着、ポガチャルはヴィンゲゴーに2秒差付ける

逃げメンバーが上位を占め、別のレース化していたメイン集団では、1級山岳ノワイエでポガチャルがアタック。これをヴィンゲゴーとレムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)が追うが、頂上までにポガチャルには届かない。ヴィンゲゴーはエヴェネプールからも遅れるが、逃げ残っていたクリストフ・ラポルト(ヴィスマ・リースアバイク、フランス)に合流すると、下りでペースを上げてレムコをキャッチ。それからはレムコと協調体制をとって、ポガチャルにも追いついた。

© Keita YAMAUCHI

個人総合トップ3がまとまってシュペルデヴォルイの上りを迎えると、まずレムコがアタック。これにはポガチャルとヴィンゲゴーが同調せず、両者はお見合い。レムコはそのまま先行してフィニッシュまで到達。その10秒後、最終局面でアタックしたポガチャルが頂上までやってきて、2秒遅れてヴィンゲゴーがレースを終えた。

© Keita YAMAUCHI

個人総合上位の順位はそのままながら、タイム差が大幅に変動。ポガチャルとヴィンゲゴーの差が3分11秒、レムコは5分9秒。4位以下は12分以上の開きとなった。

翌18日に行われる第18ステージは、ギャップからバルスロネットまでの179.5km。3級山岳が5つ詰め込まれる、獲得標高3100mの丘陵コース。第17ステージ同様に、逃げ向き1日とみられている。

ステージ優勝 リチャル・カラパス コメント

© Keita YAMAUCHI

「この勝利にはすべてが詰まっている。ツールの目標はステージ優勝だった。総合成績では厳しいが、ステージ優勝はできると信じていた。アタックが何度もあってハードな1日だったけど、大きなグループが形成されてから自分に合ったレース展開になった。一生忘れられないレースになりそうだ。このステージがねらい目だと考えて、チームと話し合ってきた。ジロ・デ・イタリアやブエルタ・ア・エスパーニャでは勝ったことがあるけど、ツールの勝利は違った喜びがある。世界最高のレースで。どのチームもベストメンバーで挑んでいる。その中で勝てたことは大きな価値がある」

 

個人総合時間賞、山岳賞 タデイ・ポガチャル コメント

© Keita YAMAUCHI

「満足できる1日になった。スタートからとても速くて、ジュニア時代のレースを思い出した。ヴィスマ・リースアバイクがとてもアクティブだったのは、僕にプレッシャーを与えるためだったのか、別の理由があるのか分からない。彼らの戦術まではさすがに分からない。1級山岳でのアタックは、現状を試して、うまくいくなら総合タイム差を広げたいと考えたから。結果的にレムコのアタックが一番良かった。もしヴィスマ・リースアバイクがアシストを残していなかったら、レムコは僕たちにもっと大きな差をつけていたかもしれない」

ツール・ド・フランス2024 第17ステージ結果

ステージ結果

1 リチャル・カラパス(EFエデュケーション・イージーポスト、エクアドル) 4:06’13”
2 サイモン・イェーツ(チーム ジェイコ・アルウラー、イタリア)+0’37”
3 エンリク・マス(モビスター チーム、スペイン)+0’57”
4 ローレンス・デプルス(イネオス・グレナディアーズ、ベルギー)+1’44”
5 オスカー・オンリー(dsmフィルメニッヒ・ポストNL、イギリス)ST
6 ギヨーム・マルタン(コフィディス、フランス)+2’36”
7 マグナス・コルト(ウノエックスモビリティ、デンマーク)+2’38”
8 ワウト・プールス(バーレーン・ヴィクトリアス、オランダ)+2’39”
9 ジョルダン・ジュガット(トタルエネルジー、フランス)ST
10 アレックス・アランブル(モビスター チーム、スペイン)

個人総合時間賞(マイヨ・ジョーヌ)

1 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア) 70:21’27”
2 ヨナス・ヴィンゲゴー(ヴィスマ・リースアバイク、デンマーク)+3’11”
3 レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)+5’09”
4 ジョアン・アルメイダ(UAEチームエミレーツ、ポルトガル)+12’57”
5 ミケル・ランダ(スーダル・クイックステップ、スペイン)+13’24”
6 カルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアーズ、スペイン)+13’30”
7 アダム・イェーツ(UAEチームエミレーツ、イギリス)+15’41”
8 ジュリオ・チッコーネ(リドル・トレック、イタリア)+17’51”
9 デレク・ジー(イスラエル・プレミアテック、カナダ)+18’15”
10 サンティアゴ・ブイトラゴ(バーレーン・ヴィクトリアス、コロンビア)+18’35”

ポイント賞(マイヨ・ヴェール)

ビニヤム・ギルマイ(アンテルマルシェ・ワンティ、エリトリア)

山岳賞(マイヨ・アポワ)

タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)

ヤングライダー賞(マイヨ・ブラン)

レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)

チーム総合時間賞

UAEチームエミレーツ 211:29’24

SHARE

PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

福光俊介の記事一覧

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

福光俊介の記事一覧

No more pages to load