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カンペナールツが逃げ切りでツール初勝利 総合勢はアルプス決戦に備える|ツール・ド・フランス

ツール・ド・フランスは現地7月18日に第18ステージを行って、40人近い大人数の逃げグループから抜け出したヴィクトル・カンペナールツ(ロット・ディステニー、ベルギー)がマッテオ・ヴェルシェ(トタルエネルジー、フランス)、ミハウ・クフィアトコフスキ(イネオス・グレナディアーズ、ポーランド)との競り合いを制してステージ優勝。ツールでは初めての勝利を挙げた。個人総合上位陣は、逃げを容認したメイン集団内でレースを終えて、このステージでのマイヨ・ジョーヌ争いは行わず。タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)のリードは変わっていない。

最大37人が逃げ

残り4ステージとなったツール。第3週を迎えて、南仏らしい暑さの中でのレースが展開されている。前日は逃げが決まっているが、第18ステージも逃げ予想。アルプスでの最終決戦を前に、ステージ優勝を狙うアタッカーには実質最後のチャンスとなった。

© Keita YAMAUCHI

そのコースは、179.5kmの行程に3級山岳が5つ組み込まれた丘陵カテゴリーのルート。中盤に越えるマンス峠は、2003年大会でホセバ・ベロキが下りで衝撃的な落車に見舞われたポイントでもある。最後のカテゴリー山岳を終えると、フィニッシュまで40kmは主だった上りはなし。緩やかな上り基調ではあるものの、勾配だけ見ればステージを狙う選手たちが攻略は可能。前日のリチャル・カラパス(EFエデュケーション・イージーポスト、エクアドル)に続く逃げ切りが出るかが見ものとなった。

© Keita YAMAUCHI

ツールではおなじみのギャップの街を出発したプロトンは、この日もリアルスタートと同時にアタックがかかる。マチュー・ファンデルプール(アルペシン・ドゥクーニンク、オランダ)らの動きが目立ったほか、ヤスペル・ストゥイヴェン(リドル・トレック、ベルギー)は一時30秒ほど先行する場面があった。

© Keita YAMAUCHI

ストゥイヴェンは20km地点を前に集団へと戻ったが、なおもアタックとキャッチで慌ただしい状況が続く。スタートから25kmを過ぎたところで20人ほどが集団から抜け出して前方をうかがうと、5kmほど進むうちに30人を超える選手たちが最前線へ。この流れから1つ目の3級山岳コル・デュ・フェストルの頂上に達して、オイエル・ラスカノ(モビスター チーム、スペイン)が1位通過。直後に逃げのメンバーがおおむね固まって、37人がレースをリードすることになった。

© Keita YAMAUCHI

57.5km地点が頂上の3級山岳コート・ド・コルもラスカノが1位通過。逃げとメイン集団とのタイム差は着実に広がって、84.3km地点に設置された中間スプリントポイント通過時で5分40秒差。もちろん逃げグループが上位を占めて、マイケル・マシューズ(チーム ジェイコ・アルウラー、オーストラリア)が1位通過している。

中間地点を過ぎて、3つ目の上りマンス峠もラスカノが1位通過。タイム差はさらに広がって7分以上に。大多数のチームが先頭グループにメンバーを送り込んでいることや、十分なタイム差を考えると、前を走る選手たちからステージ優勝者が出るのは決定的な情勢となる。

それを受けてか、残り60kmを切って上り始めた4つ目の3級山岳コート・ド・サン・アポリネールに入ってペースアップを図る動きがみられるようになる。アメリカチャンピオンジャージのショーン・クイン(EFエデュケーション・イージーポスト)が仕掛けると、クフィアトコフスキやトビアス・ヨハンネセン(ウノエックスモビリティ、ノルウェー)らがカウンターで攻撃。ここはヨハンネセンが頂上を1位通過。下りでアレックス・アランブル(モビスター チーム、スペイン)やゲラント・トーマス(イネオス・グレナディアーズ、イギリス)が前に出たものの、完全に抜け出すところまでにはならない。

三つ巴のスプリントはカンペナールツに軍配

大きな局面は最終登坂のコート・デ・ドモワゼル・コワフィで迎えた。上りを利用してラスカノら数人が仕掛けたのに乗じて、クフィアトコフスキがカウンターアタック。そのまま頂上をトップ通過すると、その後の下りでカンペナールツとヴェルシェが合流。後ろではラスカノ、バルト・レメン(ヴィスマ・リースアバイク、オランダ)、トムス・スクインシュ(リドル・トレック、ラトビア)、ジャイ・ヒンドレー(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ、オーストラリア)、クリスツ・ニーランツ(イスラエル・プレミアテック、ラトビア)の5人が追走態勢に入るが、先頭3人との差は徐々に広がっていく。さらに後方では約20人の第2追走グループが前を追うも、先頭3人のチームメートが抑え役になって、思うようにペースが上がらない。

© A.S.O./Billy Ceusters

おおよそ35kmに及んだ3人の逃げは、後続とのタイム差を広げながらステージ優勝争いへと転化。残り1kmまで協調体制を保って、ついに最終局面へ。

先に仕掛けたのはヴェルシェ。カンペナールツとクフィアトコフスキが見合う間隙を縫ってアタックしたが、クフィアトコフスキが引き戻す。3人はまとまったまま勝負のスプリントへ。残り200mでカンペナールツが腰を上げると、ヴェルシェとクフィアトコフスキも合わせたが、スピードの差は一目瞭然。カンペナールツが一番にフィニッシュラインへ飛び込んだ。

© Keita YAMAUCHI

経験・実績とも豊富な32歳は、これがツール初勝利。フィニッシュしてすぐに家族と電話をつなぎ、ステージ優勝を喜んだ。これまでのキャリアでは個人タイムトライアルでの活躍が目立っているが、ここ数年は逃げにも活路を見出して上位進出を増やしていた。グランツールでは2021年のジロ・デ・イタリア第15ステージ以来の勝ち星、キャリア通算では12勝目とした。

2位にはヴェルシェ、3位にクフィアトコフスキと続き、その後も逃げメンバーが続々とフィニッシュ。33位までを占めた。

第19ステージからはアルプスでの最終決戦

個人総合上位陣はこのステージでのアクションはほぼないままレースを完了。終盤は総合トップ10にエースを送り込んでいるリドル・トレックやデカトロンAG2Rラモンディアール チームが、逃げメンバーとのタイム差を調整してレースをクローズ。上位選手たちの順位に変動はなく、ポガチャルのマイヨ・ジョーヌも安泰となっている。

© Keita YAMAUCHI

“休戦”となった総合勢だが、最後のアルプス決戦が翌19日の第19ステージから始まる。144.6kmのコースには、標高2000m超の山岳が3つ。今大会の目玉でもある超級山岳シムド・ラ・ボネットが2つ目の上りとして登場する。頂上は標高2802mに達し、グランツールの中で最も標高の高いポイントでもある。登坂距離22.9km・平均勾配6.9%で、頂上に近づくにつれて10%前後の急勾配が待ち受ける。そして締めは、1級山岳イゾラ2000。フィニッシュまでの16.1kmは、平均勾配7.1%の難所だ。

ステージ優勝 ヴィクトル・カンペナールツ コメント

© Keita YAMAUCHI

「ツールのステージ優勝は誰もが夢見るもので、僕も同じだった。今年はクラシック後に心身ともに厳しい時期があって、もうすぐ子供が生まれるというタイミングで僕自身の競技キャリアに未来があるのかなど、いろいろなことを考えていた。それでも、ツールに向けてチームのムードは良く、僕もモチベーションが上がってきた。

今年限りでこのチームを離れる。チームと過ごした期間のハイライトをこのような形で迎えられて本当にうれしい。スマートにレースができたし、チームも僕を信頼してくれた。このステージについては誰もが僕向きで、昨年の12月から狙っていることを知っていた。すべてがうまくいき、今はうまく言葉に表せない」

 

個人総合時間賞、山岳賞 タデイ・ポガチャル コメント

© Keita YAMAUCHI

「イージーに終えられたことに満足している。アップダウンの連続するコースだったから、集中力が必要だったけど、僕たちのチームはしっかりコントロールできていた。ツールを楽しめているし、チームの雰囲気もとても良い。コース脇にスロベニアのファンがいるのを見つけるのもうれしい。明日が今大会のクイーンステージなのか分からないけど、シムド・ラ・ボネットはとても魅力ある上りだし、イゾラ2000はトレーニングで走っている。自宅近くを走れるのがホームアドバンテージになるかは分からないけど、ヨナス(ヴィンゲゴー)に対して3分11秒のリードを持っているのはプラスになると思う。ディフェンシブに走りつつ、オフェンスチャンスがあるか見極めてみたい」

ツール・ド・フランス2024 第18ステージ結果

ステージ結果

1 ヴィクトル・カンペナールツ(ロット・ディステニー、ベルギー) 4:10’20”
2 マッテオ・ヴェルシェ(トタルエネルジー、フランス)ST
3 ミハウ・クフィアトコフスキ(イネオス・グレナディアーズ、ポーランド)
4 トムス・スクインシュ(リドル・トレック、ラトビア)+0’22”
5 オイエル・ラスカノ(モビスター チーム、スペイン)ST
6 バルト・レメン(ヴィスマ・リースアバイク、オランダ)
7 クリスツ・ニーランツ(イスラエル・プレミアテック、ラトビア)
8 ジャイ・ヒンドレー(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ、オーストラリア)
9 ワウト・ファンアールト(ヴィスマ・リースアバイク、ベルギー)+0’37”
10 マイケル・マシューズ(チーム ジェイコ・アルウラー、オーストラリア)ST

個人総合時間賞(マイヨ・ジョーヌ)

1 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア) 74:45’27”
2 ヨナス・ヴィンゲゴー(ヴィスマ・リースアバイク、デンマーク)+3’11”
3 レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)+5’09”
4 ジョアン・アルメイダ(UAEチームエミレーツ、ポルトガル)+12’57”
5 ミケル・ランダ(スーダル・クイックステップ、スペイン)+13’24”
6 カルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアーズ、スペイン)+13’30”
7 アダム・イェーツ(UAEチームエミレーツ、イギリス)+15’41”
8 ジュリオ・チッコーネ(リドル・トレック、イタリア)+17’51”
9 デレク・ジー(イスラエル・プレミアテック、カナダ)+18’15”
10 サンティアゴ・ブイトラゴ(バーレーン・ヴィクトリアス、コロンビア)+18’35”

ポイント賞(マイヨ・ヴェール)

ビニヤム・ギルマイ(アンテルマルシェ・ワンティ、エリトリア)

山岳賞(マイヨ・アポワ)

タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)

ヤングライダー賞(マイヨ・ブラン)

レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)

チーム総合時間賞

UAEチームエミレーツ 224:41’24

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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