BRAND

  • FUNQ
  • ランドネ
  • PEAKS
  • フィールドライフ
  • SALT WORLD
  • EVEN
  • Bicycle Club
  • RUNNING style
  • FUNQ NALU
  • BLADES(ブレード)
  • flick!
  • じゆけんTV
  • buono
  • eBikeLife
  • HATSUDO
  • Kyoto in Tokyo

STORE

MEMBER

  • EVEN BOX
  • PEAKS BOX
  • Mt.ランドネ

ポガチャルがクイーンステージ完勝 先行する全員をごぼう抜き|ツール・ド・フランス

大会終盤戦に入っているツール・ド・フランス。現地7月19日に行われた第19ステージは、3つの上級山岳を上る今大会のクイーンステージ。マイヨ・ジョーヌのタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)が、最終登坂の1級イゾラ2000でライバルを振り切ると、逃げていた選手たちをも全員パス。文句なしのステージ優勝で、今大会4勝目。個人総合2位のヨナス・ヴィンゲゴー(ヴィスマ・リースアバイク、デンマーク)との総合タイム差は5分3秒に拡大。残り2ステージにしてトップの座が固い状況としている。

アルプス最終決戦

大会はいよいよアルプス山脈での最終決戦に突入する。前日までの2日間は逃げを容認し、イージーにレースを終えた総合勢にとって、残る3ステージは大きな局面となる。

山岳比重の高い今年のツールにあって、とりわけ難易度が高いのが第19ステージ。144.6kmと短めのレース距離の中に標高2000m超の山岳が3つ詰め込まれた。レース前半で1つ目の超級山岳コル・ド・ヴァール(登坂距離18.8km、平均勾配5.7%)、中盤で2つ目超級シム・ド・ラ・ボネット(22.9km、6.9%)、そして締めが1級イゾラ2000(16.1km、7.1%)。

© Keita YAMAUCHI

シム・ド・ラ・ボネットの頂上は標高にして2802m。フランスにおいて最も高い位置にある舗装道路であるとともに、3つのグランツールを見通しても最高標高地点にあたる。本来は1位通過が20点の超級山岳ポイントは、特別に2倍となる。最後のイゾラ2000は、上り口と中腹で10%を超え、フィニッシュに近づくにつれて緩やかに。とはいえ、超級山岳2つで消耗した脚には厳しく、クイーンステージと呼ばれるにふさわしいコースとなっている。

© Keita YAMAUCHI

迎えたレースは、リアルスタートして早々に20人を超える選手たちが前線へ。メイン集団では、リーダーチームのUAEチームエミレーツがマルク・ソレル(スペイン)を配して、すぐにペースメイクを図る。これもあり、22人の先頭グループが早い段階で組まれた。その中には、追撃を狙うヴィスマ・リースアバイクからマッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ)やウィルコ・ケルデルマン(オランダ)らが加わった。

© A.S.O./Charly Lopez

ただ、逃げに選手を送り込めなかったチームがこの状況を嫌い、先頭グループを追走。数十秒差のままレース序盤は推移したまま、1つ目の超級コル・ド・ヴァールに入った。

上りに入るタイミングでリチャル・カラパス(EFエデュケーション・イージーポスト、エクアドル)やエガン・ベルナル(イネオス・グレナディアーズ、コロンビア)らが、先頭グループへのブリッジを図る。結局前線合流できたのはカラパスとサイモン・イェーツ(チーム ジェイコ・アルウラー、イギリス)で、同時に先頭グループのメンバーがシャッフル。長く厳しい上りで、先行するのは9人に。逃げメンバーが固まる頃には、メイン集団のペースも落ち着いて、タイム差は3分30秒近くまで広がる。

1つ目の超級はカラパスが1位通過し、20点を獲得。この段階で山岳賞争いの3位とし、同賞でもトップを行くポガチャルとの差を縮める。

標高2109mのヴァール頂上から1232mまで下って、続くはシム・ド・ラ・ボネット。長く険しい上りに、先頭グループもメイン集団も徐々に人数が減っていく。集団では個人総合11位でスタートしたフェリックス・ガル(デカトロンAG2Rラモンディアール チーム、オーストリア)が遅れるなど、20人ほどまでに絞られる。UAEチームエミレーツが人数を残す一方で、ヴィスマ・リースアバイクはヴィンゲゴーが単騎に。UAEは少しずつ先頭とのタイム差を縮めていって、最大で4分以上あったものを3分40秒とする。

この頂上もカラパスが1位通過に成功。2倍となる超級山岳ポイント40点を獲得し、この段階で山岳賞トップに立った。先頭はカラパスのほか、ヨルゲンソン、ケルデルマン、Sイェーツ、ジャイ・ヒンドレー(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ、オーストラリア)の5人に絞られる。

上り同様に長い下りを経て、イゾラの街に達する頃には残りレース距離は約16km。勝負の最終登坂イゾラ2000を迎える。高度にして904mから2024mまで駆け上がることになる。

© A.S.O./Charly Lopez

フィニッシュまでの9kmで約3分30秒差を逆転

上り始めて3km進んだところでヨルゲンソンがアタック。カラパスが追う姿勢を見せるが、ケルデルマンが抑えに回ったことでヨルゲンソンは単独リードを広げていく。この時点でメイン集団とは3分22秒差。

© A.S.O./Charly Lopez

集団はUAEチームエミレーツのペーシングは変わらず、アダム・イェーツ(イギリス)が好ペースを刻む。そして残り9km、ポガチャルが攻撃に出た。

一気のアタックで集団からリードを奪うと、逃げ残りのメンバーを次々にパス。トップを走るヨルゲンソンとの差を縮めていく。その後ろでは、ヴィンゲゴーが個人総合3位につけるレムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)をマークしながらの登坂。残り5kmでのレムコのアタックをチェックし、現在の総合順位キープにシフトする。

別次元の勢いを見せるポガチャルは、みるみる間にヨルゲンソンに迫って、残り2kmでついに追いついた。背後につくやペースを上げて、ヨルゲンソンに反応させる余地を与えない。これで完全に独走に持ち込んで、残すミッションはフィニッシュに到達するのみとなった。

スロベニア応援団も待つイゾラ2000の頂上へやってきたポガチャル。ウイニングセレブレーションは、握りこぶしを高らかに突き上げて。3年ぶりのツール覇権奪還にグッと近づく、今大会4勝目を挙げた。

© Keita YAMAUCHI

現在のプロトンでは誰も成し遂げていない、ジロ・デ・イタリアとの2冠「ダブル・ツール」へ。その強さは誰にも止められない領域まで達している。残る2ステージは、大記録へ向かってどう走るのかが焦点となる。

このステージで最も長い距離を逃げたヨルゲンソンは、21秒差のステージ2位。単独で前を追っていたSイェーツが40秒差の3位で終えている。レムコとヴィンゲゴーは最後まで2人パックで頂上へ。両者ともに現在の個人総合順位を確かなものとする走りとなった。

© Keita YAMAUCHI

これらの結果により、ポガチャルの総合リードは2位ヴィンゲゴーに対して5分3秒に拡大。残る2ステージで大崩れさえなければ、トップは固い状況。ヴィンゲゴーとレムコの差が1分58秒。

ロードレースステージとしては今大会最後となる第20ステージは、132.8kmに2級山岳1つ、1級山岳3つが詰め込まれる。獲得標高4600mと、第19ステージ(4400m)より上りをこなす格好だ。最終登坂のコル・ド・ラ・クイヨール(15.7km、7.1%)は、無数のヘアピンコーナーが特徴。大会閉幕に先立って、ニースからレースはスタートする。

ステージ優勝、個人総合時間賞 タデイ・ポガチャル コメント

© Keita YAMAUCHI

「今日のレースを勝ってみて思うのは、シム・ド・ラ・ボネットが恐ろしい上りだったということ。トレーニングであれば頂上までの1kmでハードなメニューをこなせるかもしれないけど、レースで上るには本当に厳しかった。イゾラ2000については、ジロとツールの間にトレーニングで走っていて、特徴を把握できていた。チームとの計画通りにレースが進められて満足している。パーフェクトだった。

今日の目標はステージ優勝だった。最後の2kmは苦しかったけど、ヨルゲンソンを追い抜くときは思い切ってスピードを上げた。彼は今日一番強かったと思うし、逃げのメンバーの走りは総じて素晴らしかった。ツールでは通算15勝目。自分でもすごい数字だと思っている。あとはマイヨ・ジョーヌを守るだけ。最後の2日間は普段のトレーニングコースを走るんだ」

ツール・ド・フランス2024 第19ステージ結果

ステージ結果

1 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア) 4:04’03”
2 マッテオ・ヨルゲンソン(ヴィスマ・リースアバイク、アメリカ)+0’21”
3 サイモン・イェーツ(チーム ジェイコ・アルウラー、イギリス)+0’40”
4 リチャル・カラパス(EFエデュケーション・イージーポスト、エクアドル)+1’11”
5 レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)+1’42”
6 ヨナス・ヴィンゲゴー(ヴィスマ・リースアバイク、デンマーク)ST
7 ジョアン・アルメイダ(UAEチームエミレーツ、ポルトガル)+2’00”
8 ミケル・ランダ(スーダル・クイックステップ、スペイン)ST
9 ウィルコ・ケルデルマン(ヴィスマ・リースアバイク、オランダ)+2’52”
10 デレク・ジー(イスラエル・プレミアテック、カナダ)+3’27”

個人総合時間賞(マイヨ・ジョーヌ)

1 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア) 78:49’20”
2 ヨナス・ヴィンゲゴー(ヴィスマ・リースアバイク、デンマーク)+5’03”
3 レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)+7’01”
4 ジョアン・アルメイダ(UAEチームエミレーツ、ポルトガル)+15’07”
5 ミケル・ランダ(スーダル・クイックステップ、スペイン)+15’34”
6 カルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアーズ、スペイン)+17’36”
7 アダム・イェーツ(UAEチームエミレーツ、イギリス)+19’18”
8 デレク・ジー(イスラエル・プレミアテック、カナダ)+21’52”
9 マッテオ・ヨルゲンソン(ヴィスマ・リースアバイク、アメリカ)+22’43”
10 ジュリオ・チッコーネ(リドル・トレック、イタリア)+22’46”

ポイント賞(マイヨ・ヴェール)

ビニヤム・ギルマイ(アンテルマルシェ・ワンティ、エリトリア)

山岳賞(マイヨ・アポワ)

リチャル・カラパス(EFエデュケーション・イージーポスト、エクアドル)

ヤングライダー賞(マイヨ・ブラン)

レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)

チーム総合時間賞

UAEチームエミレーツ 236:59’00

SHARE

PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

福光俊介の記事一覧

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

福光俊介の記事一覧

No more pages to load