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ポガチャルがヴィンゲゴーとの“最終決戦”に勝利 今大会5勝目で残り1ステージ|ツール・ド・フランス

ツール・ド・フランス第20ステージが現地7月20日に行われて、4つのカテゴリー山岳を越えた132.8kmのレースをタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)が勝利。今大会の5勝目は、ヨナス・ヴィンゲゴー(ヴィスマ・リースアバイク、デンマーク)との直接対決。最後は残り200mでのアタックで引き離して、一番にフィニッシュラインを通過した。残りは1ステージで、3年ぶりの個人総合優勝に王手をかけた。

今大会最後のロードレースステージ

大会終盤戦のアルプス決戦。前日の第19ステージでは、ポガチャルが最終登坂で逃げとのタイム差3分を9kmで縮める“離れ業”。ライバルのヴィンゲゴーやレムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)らを寄せ付けず、マイヨ・ジョーヌを固いものとした。

© Keita YAMAUCHI

第20ステージは、今大会では最後のロードレースステージ。最終目的地であるニースにひと足早くやってきて、レーススタートの地に。2級山岳1つ、1級山岳3つを連続して上り、平坦区間はほとんどないクライミングコース。獲得標高4600mは、クイーンステージであった前日をも上回っており、ここにきてさらにタフなレースを選手たちは強いられる。最終登坂のコル・ド・ラ・クイヨールは登坂距離15.7kmで、平均勾配は7.1%。

© Keita YAMAUCHI

ランピア港を出発したプロトンは、11.9kmのニュートラル区間を経てリアルスタート。出足はヨナス・アブラハムセン(ノルウェー)らウノエックスモビリティ勢の積極性が目立った。

アタックとキャッチの繰り返しから、5km地点を過ぎたところで6人が先行を図ったが、6kmほど進んだところで集団が引き戻す。逃げを狙ったいくつもの動きの中には、マイヨ・ジョーヌのポガチャルみずからチェックに動く様子も見られた。

1つ目の山岳、2級コル・ド・ブロスを上り始めたところでウィルコ・ケルデルマン(ヴィスマ・リースアバイク、オランダ)とブリュノ・アルミライユ(デカトロンAG2Rラモンディアール チーム、フランス)が先行開始。エンリク・マス(モビスター チーム、スペイン)が追走したほか、山岳賞のマイヨ・アポワを着るリチャル・カラパス(EFエデュケーション・イージーポスト、エクアドル)はメイン集団を引っ張って前を走る選手たちを追う。この頂上は先頭合流したマスが1位で通過し、20秒ほどの差でメイン集団が続いた。

© A.S.O./Billy Ceusters

その後の下りでカラパスが集団から抜け出し、さらにヤン・トラトニク(ヴィスマ・リースアバイク、スロベニア)やマルク・ソレル(UAEチームエミレーツ、スペイン)らが追随。2つ目の上りである1級コル・ド・テュリニの中腹で4人の追走ライダーが先頭3選手に合流。頂上を前に3人が加わって、先頭グループは10選手に。かたや、メイン集団は一時個人総合上位陣を中心とする16人まで絞られたが、ペースが落ち着いたことで後続ライダーが多く合流。リーダーチームのUAEチームエミレーツのコントロールのもと、最大4分30秒差で山岳コースを進んでいった。

マイヨ・アポワを決定的なものにしたいカラパスは、逃げている状況を生かして山岳ポイントを連続で1位通過。テュリニのあとに上った1級コル・ド・ラ・コルミアーニも獲って、山岳ポイントを加算。今大会を走り切るのが条件で、山岳賞を確定的にした。

© A.S.O./Billy Ceusters

トップ3がバトル 最後はやはりポガチャル

3つの山を越えた時点で、先頭グループとメイン集団とのタイム差は3分10秒。最終登坂コル・ド・ラ・クイヨールに入ると、逃げ切りをかけた駆け引きが激しくなった。

山頂フィニッシュまで11.5kmでマスがアタック。これをカラパスがすぐにチェックして、そのまま2人逃げの態勢に。ロマン・バルデ(dsmフィルメニッヒ・ポストNL、フランス)が追って2人に近づいたが、カラパスのアタックもあって離されてしまう。

メイン集団ではレムコを盛り立てたいスーダル・クイックステップのアシスト陣がペースメイク。個人総合6位につけるカルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアーズ、スペイン)や、同11位のサンティアゴ・ブイトラゴ(バーレーン・ヴィクトリアス、コロンビア)が遅れる。

フィニッシュまで8kmを残して、メイン集団はポガチャル、ヴィンゲゴー、レムコに加え、個人総合4位のジョアン・アルメイダ(UAEチームエミレーツ、ポルトガル)、同5位ミケル・ランダ(スーダル・クイックステップ、スペイン)、同9位マッテオ・ヨルゲンソン(ヴィスマ・リースアバイク)の6人。トップ3ライダーを擁するチームから2人ずつ残している状況で、主にランダが牽引役を買う。先頭ではマスとカラパスがノーガードの打ち合いを演じるが、彼らと精鋭メンバーとのタイム差は着実に縮まっていた。

トップ3がみずから動いたのは残り5km。まずレムコがアタック。これをヴィンゲゴー、ポガチャルの順でチェック。一度は他の3人が戻ったが、今度はカウンターでヴィンゲゴーがアタック。ポガチャルが労せず続くと、レムコは差がついてテンポでの上りに切り替える。

© A.S.O./Billy Ceusters

逃げ残りの選手たちをパスしながら突き進むヴィンゲゴーと、ほぼ付き位置のポガチャル。ときおりヴィンゲゴーが先頭交代を要求するが、ポガチャルはほとんど応じず徹底マークの構え。アタックを繰り返していたカラパスとマスを残り2.5kmで捕らえると、マスが遅れて、ヴィンゲゴー、ポガチャル、カラパスの態勢で最終局面を迎えた。

ステージ優勝かけた勝負は、残り900mでカラパスが遅れたことで一騎打ちへ。フィニッシュ前500mでポガチャルを前に出したヴィンゲゴーだったが、残り200m、ポガチャルが満を持してアタックすると、追う力は残っていなかった。

わずかな距離で十分なリードを得たポガチャルは、今大会のステージ5勝目をアピールしながらフィニッシュラインを通過。ここまでの順調すぎるほどの戦いぶりを見せて、ジロ・デ・イタリアとの2冠「ダブル・ツール」に王手をかけた。最後の1ステージ、よほどのことがなければリードを吐き出すことはないだろう。

© Keita YAMAUCHI

ポガチャルから7秒後にヴィンゲゴーが登頂し、カラパスも3番手はキープ。レムコは53秒差の4位で終えた。

© Keita YAMAUCHI

個人総合成績は、ポガチャルのマイヨ・ジョーヌは当然揺らがず、5分14秒差でヴィンゲゴー、8分4秒差でレムコがそれぞれ2位と3位につける。このステージでトップ10ライダーに幾分のシャッフルがあって、アダム・イェーツ(UAEチームエミレーツ、イギリス)とヨルゲンソンが順位を1つずつ上げてそれぞれ6位と8位となっている。

また、ポイント賞のマイヨ・ヴェールを着るビニヤム・ギルマイ(アンテルマルシェ・ワンティ、エリトリア)や、マーク・カヴェンディッシュ(アスタナ・カザクスタン チーム、イギリス)といったスプリンターたちも、アシストと一緒に制限時間内にフィニッシュへ。完走を濃厚としている。

© Keita YAMAUCHI

3週間の戦いは、残すところ1ステージ。35年ぶりの個人タイムトライアル閉幕は、モナコをスタートし2級山岳ラ・トゥルビー、パリ~ニースでおなじみのエズ峠越え。最後は4年前の開幕地だったニース・マセナ広場にフィニッシュ。ツール史上初めてパリ以外での最終ステージは33.7kmに設定され、全選手が走り終わったとき、第111回ツールの順位や4賞が確定する。

ステージ優勝、個人総合時間賞 タデイ・ポガチャル コメント

© Keita YAMAUCHI

「計画通りのレースではなかったけど、楽しんで走れた。またステージ優勝ができて本当にうれしい。最後の個人タイムトライアルも楽しみたいと思う。難しいTTコースだから、無事にニースへ戻ることを最優先したい。沿道からの声援も楽しみだ。

僕が大好きなコル・ド・ブロスでレース展開がハードになったのには驚いた。それでも慌てることなく、チームとして対処できたので満足している。スーダル・クイックステップがレムコでの攻撃を考えていたようで、彼らの動きも僕たちにはプラスだった。

ここまでの走りができるなんて、ツールの前には考えたこともなかった。今日も明日も、チームメートと喜びを分かち合いたい。ステージ5勝はこれ以上ない成果だし、ステージ1勝でマイヨ・ジョーヌが手に入れば満足だった。今日はヨナスの強い意志も感じられたし、真のファイターであることを証明してくれた。強い相手と戦えることが僕の喜びでもある」

ツール・ド・フランス2024 第20ステージ結果

ステージ結果

1 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア) 4:04’22”
2 ヨナス・ヴィンゲゴー(ヴィスマ・リースアバイク、デンマーク)+0’07”
3 リチャル・カラパス(EFエデュケーション・イージーポスト、エクアドル)+0’23”
4 レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)+0’53”
5 エンリク・マス(モビスター チーム、スペイン)+1’07”
6 ジョアン・アルメイダ(UAEチームエミレーツ、ポルトガル)+1’28”
7 マッテオ・ヨルゲンソン(ヴィスマ・リースアバイク、アメリカ)+1’33”
8 ミケル・ランダ(スーダル・クイックステップ、スペイン)+1’41”
9 アダム・イェーツ(UAEチームエミレーツ、イギリス)+1’43”
10 ロマン・バルデ(dsmフィルメニッヒ・ポストNL、フランス)+1’52”

個人総合時間賞(マイヨ・ジョーヌ)

1 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア) 82:53’32”
2 ヨナス・ヴィンゲゴー(ヴィスマ・リースアバイク、デンマーク)+5’14”
3 レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)+8’04”
4 ジョアン・アルメイダ(UAEチームエミレーツ、ポルトガル)+16’45”
5 ミケル・ランダ(スーダル・クイックステップ、スペイン)+17’25”
6 アダム・イェーツ(UAEチームエミレーツ、イギリス)+21’11”
7 カルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアーズ、スペイン)+21’12”
8 マッテオ・ヨルゲンソン(ヴィスマ・リースアバイク、アメリカ)+24’26”
9 デレク・ジー(イスラエル・プレミアテック、カナダ)+24’50”
10 ジュリオ・チッコーネ(リドル・トレック、イタリア)+25’48”

ポイント賞(マイヨ・ヴェール)

ビニヤム・ギルマイ(アンテルマルシェ・ワンティ、エリトリア)

山岳賞(マイヨ・アポワ)

リチャル・カラパス(EFエデュケーション・イージーポスト、エクアドル)

ヤングライダー賞(マイヨ・ブラン)

レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)

チーム総合時間賞

UAEチームエミレーツ 249:15’17

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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