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ポガチャルがステージ優勝締め! 3年ぶり総合Vでダブル・ツール達成|ツール・ド・フランス

ツール・ド・フランス2024は現地7月21日に行われた第21ステージで、3週間の戦いの幕を閉じた。最後はモナコからニースへの個人タイムトライアルで争われ、マイヨ・ジョーヌで最終日を迎えたタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア)が一番時計でステージ優勝締め。3年ぶり3回目の個人総合優勝を確定させると同時に、ジロで・デ・イタリアとの2冠「ダブル・ツール」26年ぶりの達成者となった。

35年ぶりの個人タイムトライアル閉幕

6月29日にイタリア・フィレンツェで開幕した今年のツールは、途中サンマリノを通過しながらイタリアでの3ステージを行い、主たる舞台のフランスへ。史上初めてパリに立ち寄らないツールは、第2週で中央山塊とピレネー、第3週でアルプスの山々を駆けた。

個人総合争いはポガチャルの優勝が濃厚。第2ステージで手にしたマイヨ・ジョーヌは一度手放しながらも、第4ステージで再び袖を通した。以降、そのジャージを脅かされることはなく、ピレネー、アルプスで圧巻の走り。第20ステージまでに5勝を挙げて、十分なリードをもって大会最終日を迎えた。

© Keita YAMAUCHI

第21ステージの焦点は、誰が勝利を飾るかと、ポガチャル、ヨナス・ヴィンゲゴー(ヴィスマ・リースアバイク、デンマーク)、レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)の個人総合トップ3がどんな3週間の終え方をするのか。4賞ライダーの確定、そしてこれが最後のツールになるマーク・カヴェンディッシュ(アスタナ・カザクスタン チーム、イギリス)やロマン・バルデ(dsmフィルメニッヒ・ポストNL、フランス)の惜別ライドといったあたりが挙がる。

グレッグ・レモンが大逆転でマイヨ・ジョーヌを獲得した1989年以来となる、個人TTによる最終・第21ステージ。今回は隣国モナコを出発し、すぐに2級山岳ラ・テュルビを上る。その後少し下って、パリ~ニースでおなじみのエズ峠へ。あとはニースの街へ向かうダウンヒル。地中海沿いの道「プロムナード・デ・ザングレ」を抜けたら、マセナ広場に設けられるフィニッシュラインへ。レース距離は33.7km。

© Keita YAMAUCHI

個人総合の下位選手から順にコースへと繰り出す。カヴェンディッシュは2番目に登場し、関係者と握手をしたり、ファンの声援に応えたりと笑顔で出発。タフな山道を越えながらニースへやってくると、最終コーナーを抜けて再び観衆に応える。最後は手を振ってツールに別れ。15回目の完走を果たした。

© Keita YAMAUCHI

29番目に出走したビニヤム・ギルマイ(アンテルマルシェ・ワンティ、エリトリア)は、アフリカ人ライダーとしては初めてのポイント賞に向けて最終ライド。こちらも無難にコースを走り抜いて、先に走り終えていたチームメートの待つフィニッシュに到達した。もちろん、マイヨ・ヴェールも確定した。

© Keita YAMAUCHI

早い時間帯に出走した選手たちの中では、アロルド・テハダ(アスタナ・カザクスタン チーム、コロンビア)が記録した48分14秒が長くトップタイムで、後半に走る選手たちの基準になった。

トップ3が別次元の走り

登坂区間をノーマルバイクで進み、頂上でTTバイクに替える選手も多く見られたが、個人総合上位陣はおおむねTTバイクで全行程を走る。トップ10ライダーが出てくると水準が上がって、個人総合9位のデレク・ジー(イスラエル・プレミアテック、カナダ)が最初の48分切りとなる47分55秒をマーク。続く同8位マッテオ・ヨルゲンソン(ヴィスマ・リースアバイク、アメリカ)は途中で落車をしながらも、47分32秒で暫定トップに立った。

© Keita YAMAUCHI

いよいよ個人総合トップ3がコースへ。順位はほぼ固まっているので、あとはステージ順位とどんな終え方をするか。まずレムコが出発して、やはり中間計測からトップに立つ。11.2km地点が頂上のラ・テュルビからそれまでのタイムを大きく更新していく。17.1km地点のエズ峠での第2計測、28.6km地点の第3計測とも暫定の一番時計を記録して、フィニッシュも当然その時点でのトップ。46分38秒をマークして、残る2人を待った。

© Keita YAMAUCHI

次に走ったヴィンゲゴーは、スタート直後からレムコを上回る好ペース。第1計測から20秒近く短縮し、ほぼ同じタイム差のままフィニッシュを目指す。下りでタイヤを滑らせる場面があったものの、最後までトラブルなく走り切る。終盤は少しペースを落としたものの、それでもレムコの暫定トップは更新。46分27秒を記録した。

© Keita YAMAUCHI

そして、真打ちポガチャル。今大会での勢いを表すかのように、別次元の走りを披露した。ラ・テュルビの第1計測でヴィンゲゴーを7秒上回ると、さらにギアを上げてエズ峠の第2計測で25秒更新。下りで加速すると第3計測では1分以上トップタイムを更新。今大会6勝目は決定的。あとはどれだけのタイムで走り切るかが見ものとなった。

© Keita YAMAUCHI

結果、45分25秒で走破。ただひとり平均時速44km台で走り切り、最終ストレートでウイニングセレブレーションを見せながらも完全なる一番時計。マイヨ・ジョーヌカラーの特別ジャージに身を包んで待っていたチームメートのもとへ飛び込み、喜びを分かち合った。

26年ぶりダブル・ツール

1998年のマルコ・パンターニ以来となるダブル・ツールの達成。終わってみれば、ジロもツールも6勝ずつを挙げてライバルを寄せ付けない完勝。最終的な総合タイム差は、2位ヴィンゲゴーと6分17秒、3位レムコと9分18秒だった。

© Keita YAMAUCHI

これだけの強さを見せたポガチャル。1週間もせずに開幕するパリ五輪への期待も膨らむが、表彰式後に出演したフランス国営放送のスタジオでは「まだ五輪については考えていない。今はジロとツールで勝ったことを純粋に喜びたい」とコメントしている。

© Keita YAMAUCHI

その他各賞は、ポイント賞のマイヨ・ヴェールがギルマイ、山岳賞のマイヨ・アポワがリチャル・カラパス(EFエデュケーション・イージーポスト、エクアドル)、ヤングライダー賞のマイヨ・ブランがレムコで確定。チーム総合はUAEチームエミレーツ、スーパー敢闘賞をカラパスがそれぞれ獲得。最終的な完走者は141選手だった。

© Keita YAMAUCHI

第111回のツール・ド・フランスはこれで閉幕。パリ五輪を経て、2024年のロードレースシーズンは後半戦へと進んでいく。

ステージ優勝、個人総合優勝 タデイ・ポガチャル コメント

© Keita YAMAUCHI

「スーパーハッピーだ! ここ2年間は大きなミスをして負けてきた。それだけに、今の喜びをどう表現したら良いか分からないくらいだ。今大会はすべてが完璧だったし、毎日大きな自信を持って走り続けられた初めてのツールでもあった。実はジロでは1日だけ調子の悪い日があったけど、このツールは気持ちよく走ることができた。

個人的にはF1のグリッドからスタートできて気分が上がった。レース中はレムコとのタイム差だけを聞いていて、最初の上りでトップタイムだと聞いたときはうれしかった。ガールフレンドが言うには、“僕がいつもトレーニングで走っている道だから嫌われているのでは?”なんて言うんだ。それを思い出しながら走っていた。

今は自転車競技の歴史でも最高の時代だと思う。僕が観る側の立場だったとしても、同じことを思っているはず。レムコ、ヨナス、プリモシュらと戦うのは本当に素晴らしい経験だ。それに、次々と若い選手が出てくる。僕たちはこの素晴らしい時代を楽しまなければならない。次の目標は…、マチューのマイヨ・アルカンシエルがお似合いなのは分かっているけど、僕はそれを奪い取りたいんだ!」

ツール・ド・フランス2024 第21ステージ結果

ステージ結果

1 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア) 45’25”
2 ヨナス・ヴィンゲゴー(ヴィスマ・リースアバイク、デンマーク)+1’03”
3 レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)+1’14”
4 マッテオ・ヨルゲンソン(ヴィスマ・リースアバイク、アメリカ)+2’08”
5 ジョアン・アルメイダ(UAEチームエミレーツ、ポルトガル)+2’18”
6 デレク・ジー(イスラエル・プレミアテック、カナダ)+2’31”
7 ミケル・ランダ(スーダル・クイックステップ、スペイン)+2’41”
8 アロルド・テハダ(アスタナ・カザクスタン チーム、コロンビア)+2’50”
9 サンティアゴ・ブイトラゴ(バーレーン・ヴィクトリアス、コロンビア)+2’53”
10 アダム・イェーツ(UAEチームエミレーツ、イギリス)+2’56”

個人総合時間賞(マイヨ・ジョーヌ)

1 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ、スロベニア) 83:38’56”
2 ヨナス・ヴィンゲゴー(ヴィスマ・リースアバイク、デンマーク)+6’17”
3 レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)+9’18”
4 ジョアン・アルメイダ(UAEチームエミレーツ、ポルトガル)+19’03”
5 ミケル・ランダ(スーダル・クイックステップ、スペイン)+20’06”
6 アダム・イェーツ(UAEチームエミレーツ、イギリス)+24’07”
7 カルロス・ロドリゲス(イネオス・グレナディアーズ、スペイン)+25’04”
8 マッテオ・ヨルゲンソン(ヴィスマ・リースアバイク、アメリカ)+26’34”
9 デレク・ジー(イスラエル・プレミアテック、カナダ)+27’21”
10 サンティアゴ・ブイトラゴ(バーレーン・ヴィクトリアス、コロンビア)+29’03”

ポイント賞(マイヨ・ヴェール)

ビニヤム・ギルマイ(アンテルマルシェ・ワンティ、エリトリア)

山岳賞(マイヨ・アポワ)

リチャル・カラパス(EFエデュケーション・イージーポスト、エクアドル)

ヤングライダー賞(マイヨ・ブラン)

レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ、ベルギー)

チーム総合時間賞

UAEチームエミレーツ 251:36’43

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PROFILE

福光俊介

福光俊介

サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。

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