スミルノフが最終ステージを制す!総合優勝はジャニエール|マイナビ ツール・ド・九州2024
Bicycle Club編集部
- 2024年10月14日
INDEX
10月14日(月)、日本最高峰のステージレース「マイナビ ツール・ド・九州 2024」の最終日、第3ステージの福岡ステージが岡垣サンリーアイをスタートし、宗像大社にフィニッシュする約140kmで行われた。集団スプリントを制したのはイヴァン・スミルノフ(アスタナ・カザクスタンチーム)。ステージ2位に入ったエミリアン・ジャニエール(トタルエナジー、フランス)が総合優勝を決めた。
最終ステージは世界遺産・宗像大社が舞台
第3ステージ、福岡ステージは、世界遺産の宗像大社でフィナーレを迎える大会最終日。岡垣サンリーアイをスタートし、玄界灘を見渡す波津海岸のスプリントポイントと垂見峠の2級山岳ポイントを含む14kmの周回コースを9周回。
最終2kmは、宗像大社から世界遺産の沖ノ島、朝鮮半島へと繋がる古代の海の交流の道と重なる、長いストレートとなっている。最後はロングストレートからの迫力満点の集団ゴールスプリントとなるか、トタルエナジーの牙城を崩して逃げ切りとなるか、総合優勝や各賞ジャージの行方も気になるステージとなった。
序盤からアタック合戦 逃げ切りを阻む総合勢
レースは13時半にスタート。各賞のリーダージャージを先頭に、プロトンは走り出した。スタート直後からアタック合戦が続くものの、なかなか逃げは決まらず、最初の垂見峠の登りへは集団が一丸となって突入する。
昨年山岳賞を獲得したベンジャミ・プラデス(VC福岡、スペイン)がアタックを仕掛けるが、昨日の1級山岳・箱石峠を先頭通過したネイサン・アール(JCLチームUKYO)がプラデスをかわし、1着でKOMポイントを通過。アールは、山岳賞獲得へ向け、積極的にポイントを稼いでいく。
その後、レース序盤から積極的な動きを見せていたヌルアイマン・モフドザリフ(トレンガヌサイクリングチーム、マレーシア)のアタックをきっかけに、山本大喜(JCLチームUKYO)、孫崎大樹(キナンレーシングチーム)、柴田雅之(ヴィクトワール広島)という4名の逃げ集団が形成されるもこの逃げは長く続かず、最初の波津海岸のスプリントポイントを前に集団に吸収されてしまった。
総合リーダー・ジャニエールがボーナスタイム獲得
最初の波津海岸のスプリントポイントは、総合リーダーのジャニエールが1着通過。3秒のボーナスタイムを獲得し、総合リードを広げることに成功する。続く2回目の垂見峠のKOMポイントは、アールが再び先頭で通過し、暫定山岳賞リーダーとなった。
6名の逃げ集団が形成される
レースが大きく動いたのは、残り110km付近。小石祐馬(JCLチームUKYO)のアタックをきっかけに、山本元喜(キナンレーシングチーム)、安原大貴(マトリックスパワータグ)、 冨尾大地(シマノレーシング)、入部正太朗(シマノレーシング)、ダニエルヴェン・カリーニョ(ヴィクトリア・スポーツ・プロサイクリング、フィリピン)という6名の逃げ集団が形成される。集団は、これを容認し、タイム差は徐々に広がっていく。
3回目の垂見峠のKOMポイントは、クライマーであるカリーニョが先に仕掛けたものの、すでに5ポイントの山岳賞ポイントを持つ山本元喜がかわして1着通過。その後も、山本元喜は、4回目から7回目の垂見峠のKOMポイントをすべて1着で通過。見事、山岳賞獲得を決めた。
2回目の波津海岸のスプリントポイントは、総合上位につける入部と小石の争いとなり、スプリント力に勝る入部が先着。ボーナスタイム3秒を獲得し、小石も2秒を獲得した。
6名の逃げ集団は、最大で集団とのタイム差を1分5秒まで広げた。しかし、6度目の垂見峠で、先頭集団に動きが。安原が脱落。続いて入部と冨尾も遅れ、先頭は3名となる。
メイン集団に動きあり ラストスパートへ
メイン集団も、動きを見せる。ベンジャミン・ダイボール(ヴィクトワール広島、オーストラリア)のアタックに、アドネ・ファンエングレン(ルージャイインシュアランス、オランダ)とカーター・ベトルズ(ルージャイインシュアランス、オーストラリア)が反応し、3名の追走集団を形成。シマノレーシングの2人を回収し、7度目の垂見峠を前に先頭集団に追いつく。これで、先頭集団は8名となったが、KOMポイント通過前に、入部のサポートを終えた冨尾が脱落した。
3度目の波津海岸のスプリントポイントは、入部が先頭で通過し、再びボーナスタイム3秒を獲得。追走で合流したベトルズも2秒を獲得する。
8度目の垂見峠の登りで、先頭集団は、追走をかけてきたダイボール、ベトルズ、ファンエングレンの3名へと絞り込まれる。
メイン集団は、リーダーチームであるトタルエナジーがコントロールしてきたが、最後の垂見峠の登りを前に、EFエデュケーション・イージーポストが先頭に立つ。エドヴィン・ロヴィディウス(EFエデュケーション・イージーポスト、スウェーデン)とヤルディ・ファンデルリー(EFエデュケーション・イージーポスト、オランダ)が、新人賞ジャージを着るルーカス・ネルーカー(EFエデュケーション・イージーポスト、イギリス)のアタックをアシストする、3段ロケットを発射!
この動きに反応できたのは、リーダージャージのジャニエールと、ジュリアン・ジュガット(トタルエナジー、フランス)、アントン・チャーム(アスタナ・カザクスタンチーム、デンマーク)の3名のみ。抜け出した4名は、先頭の3名をパスし、頂上を通過して下りへと入っていく。
下りでは、単独で追走してきたクリスティアン・ズバラーリ(コラテック・ヴィーニファンティーニ、イタリア)が合流し、先頭は5名に。タイム差は最大で20秒近くまで広がるが、うまく協調が取れず、JCLチームUKYOが中心となって牽引するメイン集団に、残り5kmで吸収された。
スミルノフが最終ステージを制す!
レースは、集団スプリントへ。最後は、スミルノフが制し、今大会初優勝を飾った。僅差でジャニエールが2位に入り、総合優勝を確定。3位には、ネルーカーが入り、新人賞獲得を決めた。
スミルノフは、25歳のロシア人スプリンター。ジュニア時代からロードとトラックのナショナルチームに所属し、マディソンとチームパーシュートでワールドカップ優勝経験を持つ実力者だ。今年は、スペインのアマチュアチームであるPCバイシュ・エブレに所属し、アマチュアレースで5勝。8月から研修生としてアスタナに加入し、トゥルル・ロムニエイ(ルーマニア、UCI2.2)とツアー・オブ・ハイナン(中国、UCI2.Pro)で優勝しており、この勝利が今季UCIレース3勝目となる。
総合優勝したジャニエールは「総合優勝できて本当にうれしいです。チームが本当にいい体制で勝てたと思います。ステージ優勝もそうですし、今日は残念ながら自分が勝てなかったんですけれども、運営も素晴らしく本当にいい大会でシーズンをいい形で終えられてツール・ド・九州に来てよかった。」とコメント。
ステージ5位に入ったのは、草場啓吾(愛三工業レーシングチーム)。日本人最上位となり、3日連続のベストジャパニーズライダー賞を獲得した。小倉城クリテリウムを含め、愛三工業レーシングチームが全日程でベストジャパニーズライダー賞を獲得するという結果となった。
また、トタルエナジーのジュリアン・シモンは、このツール・ド・九州がラストレースとなった。シモンは、プロ17年目の39歳。フランスのワンデーレースを得意としており、クップ・ド・フランスで2度の年間王者に輝いた。ワールドツアーでの2勝を含むプロ通算13勝を挙げたパンチャーが、キャリアの幕を下ろした。
リザルト
第3ステージ 福岡 141km
1位 イヴァン・スミルノフ(アスタナ・カザクスタンチーム) 3h07m44s
2位 エミリアン・ジャニエール(トタルエナジー、フランス)
3位 ルーカス・ネルーカー(EFエデュケーション・イージーポスト、イギリス)
4位 クリスティアン・ズバラーリ(コラテック・ヴィーニファンティーニ、イタリア)
5位 草場啓吾(愛三工業レーシングチーム)
6位 岡篤志(JCLチームUKYO)
7位 風間翔眞(シマノレーシング)
8位 イェロン・メイヤース(ヴィクトリア・スポーツ・プロサイクリング、オランダ)
9位 ベンジャミ・プラデス(VC福岡、スペイン)
10位 ロベルト・ゴンザレス(コラテック・ヴィーニファンティーニ、パナマ)
ベストジャパニーズライダー賞
草場啓吾(愛三工業レーシングチーム)
個人総合成績
1位 エミリアン・ジャニエール(トタルエナジー、フランス) 8h52m34s
2位 ルーカス・ネルーカー(EFエデュケーション・イージーポスト、イギリス) +14s
3位 イヴァン・スミルノフ(アスタナ・カザクスタンチーム) +23s
4位 アントン・チャーム(アスタナ・カザクスタンチーム、デンマーク) +25s
5位 ジョルダン・ジュガット(トタルエナジー、フランス) +31s
6位 入部正太朗(シマノレーシング) +33s
7位 小石祐馬(JCLチームUKYO)
8位 トマ・ボネ(トタルエナジー、フランス) +34s
9位 クリスティアン・ズバラーリ(コラテック・ヴィーニファンティーニ、イタリア) +36s
10位 カルロス・サムディオ(コラテック・ヴィーニファンティーニ、パナマ)
ポイント賞
エミリアン・ジャニエール(トタルエナジー、フランス)
山岳賞
山本元喜(キナンレーシングチーム)
新人賞
ルーカス・ネルーカー(EFエデュケーション・イージーポスト、イギリス)
チーム総合優勝
トタルエナジー
SHARE
PROFILE
Bicycle Club編集部
ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。
ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。