まんが家、ロードバイク生活をスタート|夏福のゆるポタコミックエッセイ vol.8番外編
Bicycle Club編集部
- 2024年11月23日
「ロードバイクと出会ったことで、在宅ワークのひきこもりから解放された」というまんが家・夏福さん。いまではゆるくポタリングを楽しむ人気コーナー「夏福のゆるポタコミックエッセイ」を連載するほどだ。ここではロードバイクを購入したてたばかりに起きる悩みや気付きを、夏福さんの実体験をもとにお届けする。
ロードバイク納車日、無事に乗って帰れるのか……
悩みに悩んで購入を決めたロードバイクの納車日がいよいよやってきました。
憧れのロードバイクとご対面できるワクワク感はもちろんあるのですが、それ以上に気になることが……。
お店から自宅までは自分で乗って帰らなければいけません。
車の免許を持っていないので普段の移動の足はおもに歩くかママチャリ。ちなみに私、運動自体は嫌いではなく学生のころは運動部に所属、さらに遡って子供の頃は暗くなるまで外を駆け回っているようなタイプではあったものの、在宅ワークのひきこもりで著しく体力筋力が落ちておりなんといっても超怖がりの自分がロードバイクに乗ることができるのだろうか……、そんな心配性のくせにスポーツバイクに一度も試乗をしたことがないのは無謀にもほどがあります。
ネット情報でロードバイクの注意点や失敗談などを仕入れては怯え、さらにその恐怖心を何倍にも膨らませるのが得意な私。ぶっつけ本番で公道を走ることができるのか……!?
そんな心配をしながら初めて実物を見た自分のロードバイクは
か……っっっっっっっっっこいいっ… !!!!!!!
内心大興奮しつつ冷静を装う私にご店主がサクサクと簡単なレクチャーをしてくださいます。
そして「ぐるっと店の周りを走ってみて。裏の道は車がいないから大丈夫だよ。なにかあったら調整するから」と優しく送りだしてくれました。
ロードバイクを購入した時のお話はこちら▼
ママチャリとの違いにおっかなびっくり
ロードバイクって乗りだしからしてママチャリとは違うんですよね。
ママチャリはペダルに足をかけてケンケンしながらまたがるとか、サドルにお尻を乗せてからこぎだすじゃないですか。ロードバイクはまずはまたがって右足をペダルにかけ、踏み出したところでママチャリより高い位置にあるサドルにお尻を乗せる。そしてママチャリにくらべて驚くほど軽いのでひと踏みでふわっと進みだし「羽が生えたみたい!!!」なんて感動もなく、重さによる安定感もないのでひたすら怖い。怖いからといってスピードを出さなければ、さらにふらついて怖い。そして前傾姿勢に慣れなすぎてハンドルが遠く感じて怖い。
ストップ&ゴーも都度サドルから乗り降りするのが初めてでおっかなびっくりモタつく……
うっすら「無謀だったのでは…」と頭によぎりつつもなんとかお店の周りをぐるっと回って戻り、気になるところはないかと聞かれステムをその場で短いものに交換をしていただき受け渡しはアッサリ終了。
えっもう???とオロオロしながらお店をあとにします。
初めての公道走行に不安が……!
ここからが本番なんです。
家から通えるようにと近所のお店で購入はしたものの家に帰り着くまでの間、車が走っている道を通っていかなければ行けません。
横スレスレをビュンビュン走り抜ける車の恐怖と絶対に邪魔だと思われているに違いないという被害妄想。
路肩に避難しようにもゴミや砂利だらけでパンクするのではないか、さらに白線は惹かれてはいるものの歩道までの間が全くないところも多く逃げられず、ママチャリのようにサッと足をつくこともできない恐怖。心の中は「怖い!無理!!」でいっぱいでした。
ほうほうのていで帰宅した頃には気力体力が底を尽きてぐったり。
こんなことでロードバイクを楽しめるのか……?購入を決断するのは早まったのでは…??このままだと部屋のオブジェまっしぐらなのでは……???
しばらく悶々と自問自答を繰り返しました。こんなことくらいで?と思われるかもしれませんが、病的な心配性を舐めてもらっては困ります。
しかしもう購入してしまったものはしょうがない。あんなに悩んでこんな高い買い物をして乗らないなんて選択肢は無いんですよ…慣れるしかないんです。
とにかく公道を走れるようにと早朝練習をすると……
どこに行くにもまずは車道を走れるようにならなければいけないので、車のいない早朝に練習をすることにしました。
翌朝5時に起床。
大丈夫かな……と昨日の恐怖心を思い出し不安になりつつも、シン…と澄んだ空気の中車がいない車道を走り出すと……。
……あれ……?楽しい!
恐怖心でいっぱいの時には感じられなかった爽快感とロードバイクの軽やかさでぐんぐん進んであっという間に数km先の町はずれまで行ってしまいました。生活圏内がママチャリで移動できる範囲だけの者にとっては町はずれまででも大移動なんですよ。そんな場所へあっという間に行けちゃったんです。感動。
「自転車自体は慣れればめちゃくちゃ楽しめそう!」
そう思えたことが大きかった。その日から楽しく毎朝練習を重ねて徐々に距離を伸ばし、車道にも慣れていくことができました。
初めて10数km先の海まで行って飲んだ缶ジュースはとても美味しかったです。
ちなみにもう何年も乗っていますが、今でも車の多いところは怖いです。最初は道を全然知らずわかりやすい国道や県道を走っていましたが、あちこち走ってみて苦手な道や怖い道がわかってくると迂回路や裏道を探し出し、なるべく車通りの多い道は避けるようになりました。
その迂回先で、自転車に乗っていなければ通らなかったであろう道を走っている時の楽しさや、知らない場所やお店に出会えたり、思わぬ場所と道が繋がっているのを発見したときはいつになっても嬉しいですね。
「点」と「点」が線(道)で繋がっている感覚
そうそう、繋がっているといえば。
ロードバイクに乗るまでは遠距離のお出かけ先へは公共交通機関、もしくは人が運転してくれる車でしか移動をしたことがなかったので「自宅」と「目的地」が点と点だったんです。それが自分で走ったことによって頭の中で点と点が線で繋がって感動したんですよね。さらに目的地の「点」と別の目的地の「点」が線(道)で繋がっているとわかったときなんて「こことあそこが繋がってるの…!?すごい!」と今でも興奮します。これ私だけかな?
しっかりハマったロードバイク。しかし落とし穴が…
移動距離が二桁になると今までは車でしか行けないと思っていた場所ばかりで、そこに自力でたどり着くたびに感動でした。家に帰って夫に興奮状態で話しては「まるで免許取り立ての10代のようだね」と言われ、もっともっといろんなところへ、もっと遠くへ行きたいと朝練だけでも毎日30km、週末は50km、80km、と距離を伸ばし長距離ライドを楽しんでいきました。
その結果、ロードバイクを購入してひと月で100km超えを達成!そして
盛大にヒザを壊しました。
やってしまいました。
乗り始めてしばらくした頃に少しヒザが痛み出したんですが、ストレッチと湿布で治るだろうとそのまま乗り続けてしまったんです。以前なら多少無理をしてどこかを痛めても翌日、酷くても数日で復活していたはずなのに、なかなか痛みが引かないどころか酷くなっている気がする…おかしいなぁ…なんて思いながら。
全然おかしくなんてないんです。気持ちは昔のままでも体は順調に衰えていたんです。若い頃とは違います。その上長年の運動不足。そりゃ痛めますよね。そんな状態でよりによって山方面へと100kmライドにチャレンジしてしまったものだからトドメをさしてしまったようで、翌日立ち上がれなくなってしまいました。
すっかり自転車にハマってしまっていた私は、もしかしてもう乗れなくなってしまうのでは…と絶望しそうになり、すぐにスポーツ整体外科に行きました。
問診で怪我の理由を「自転車に乗りすぎたため」と答える30代。
先生に「治りますか…?」と聞くと「治療を重ねれば和らいでいきますし自転車も乗れるようになりますよ」と。主に電気治療なのですが、その言葉を信じて真面目に通いました。トイレに座るのもままならない状態だったのですが、動かないわけにもいかないので通販でひとつ5千円もするスポーツ用の強力なサポーターも両足分購入したりと自転車に乗れるようになるために必死でした。
痛みが全てなくなったわけではないものの治療が終わり、しばらくはサポーターをつけながらではありましたが再び自転車に乗れるようになった時はすごく嬉しかったなぁ。やめないでいいんだって。
皆さんもくれぐれも無茶と怪我にはお気をつけて自転車ライフを楽しんでくださいね。
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PROFILE
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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。
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