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カメラの祭典CP+ に見た『カメラのこれから』

日本技術の最後の牙城、カメラはどうなるのか?

年に1度、パシフィコ横浜で開催されるカメラの見本市『CP+』に行って来た。

ご存じのように、カメラ産業は、いまや数少ない日本が世界に誇れる牙城である。20~30年前には、日本が得意としていた家電、テレビ、オーディオ、パソコン、携帯電話などの分野のほとんどは台湾、中国、韓国をはじめとしたアジア諸国に席捲されてしまったが、カメラ産業だけは世界のトップメーカーを日本が占める。

カメラはレンズという光学設計、職人技も含める物理的な加工が必要なパーツが核となっているから、容易にはアジア諸国がキャッチアップできないのだという説もある。

それでも、スマホカメラの高性能化の影響を受けないわけにはいかない。スマホのカメラの進化は驚くほどで、従来CP+にも数多く並んでいたコンデジの新製品はめっきりと減った。スマホがあればコンデジは要らないという人が増えたのだ。

日本のカメラ産業はどこへ向かうのか。我々カメラ好きはこれからどんなカメラを使っていくことになるのか? CP+の展示を見ながら考えた。

フルサイズミラーレス席捲。注目されるLマウントアライアンス

現在のカメラ業界の最大のトレンドは、2008年にパナソニックから発売されたルミックスDMC-G1をはじめとしたレンズ交換式カメラのミラーレス化の大きな流れの中にある。

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特に、2013年登場のソニーα7から、35mmフルサイズのCMOSセンサーを搭載したカメラがトレンドとなっており、昨年秋には、ニコンからZ 6/Z 7、キヤノンからEOS Rが発表され、大きな時代の移り変わりを感じされせた。ついに、二大メーカーが旧来のミラーを持つ一眼レフだけではライバルに勝てなくなったということだからだ。

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両社は、高性能なボディとともに、マウントアダプターを使うことで、一眼レフでも使ってきた数多くのレンズを使えるということも、アピールしている。

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そのフルサイズミラーレスのトレンドの中でも、大きな話題となったのが、昨秋に発表された『Lマウント アライアンス』の勢いだろう。

もともと、Lマウントはライカが開発したものだが、パナソニックがもちかけ、Lマウントを活用したカメラ、レンズを、ライカ、パナソニック、シグマの3社で発売しようというアライアンスだ。複数の企業のレンズ、カメラを互いにマウントできるという意味では、マイクロフォーサーズにも似ているが、もちろんLマウントは35mmフルサイズセンサーを搭載することができる。

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Lマウントを開発したライカだったが、ソニー、キヤノン、ニコンなどの大企業の開発力、レンズラインナップに単独で対抗していくのには少々無理があった。特にデジカメ時代になって、レンズも、ボディも、センサーも、画像処理プロセッサの部分もカメラメーカーが作らなければならなくなり、ライカの企業規模では、それが大きな負担となっていたのだそうだ。

パナソニックには生産技術の高さ、デジタル周りの開発能力の高さがある。また、動画撮影に関する技術も優れている。そして言うまでもないが、シグマはレンズメーカーとして、非常にクオリティの高い製品を開発する能力を有している。それら3社がお互いの美点を引きだし、欠点を埋め合わせようというのが、Lマウントアライアンスの目的だ。

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同時に3メーカーであれば、多くのレンズ、ボディをラインナップすることができる。現に2020年までに3社を合わせて合計42~3本のレンズを一気に用意するという。

このLマウントアライアンスからも目が離せない。これはこれで楽しみだ。

スマホの高度な知性化に、光学技術は対抗できるか?

とはいえ、Lマウントはレンズもカメラも比較的高価な製品が多く、一般ユーザーにはなかなか手が届かない製品ではある。

キヤノンRFマウント、ニコンZマウント、ソニーEマウント、いずれも安くはない。フルサイズミラーレスが注目を集めているとはいえ、プロフェッショナルやハイエンドアマチュアが買う製品だけではなく、『数』を稼げる商品がないと、やはり経済規模としては苦しいはずだ。。

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その点、ほぼ唯一の注目されたコンデジとなったリコーのGR III、同じくリコーの360°カメラTHETA Z1などユニークなカメラの動きにも注目しておきたい。ドローンや、スタビライザー OSMO POCKETなど、カメラとはまた違った分野から『新たなカメラ』を問うべくリリースされた製品からも目が離せない。

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今回のCP+でもいろいろな新製品が見られたが、それらはスマホのテクノロジーが今後与える影響を完全に覆せるほどの力はない。

スマホのカメラの進化は、レンズ部分ではない、プロセッサーの進化の部分で起っている。

スマホは撮影者が何を撮りたいかを理解して、さまざまな画像処理を行っている。暗い部分は明るく撮った画像を合成し、青空であれば青をあざやかにし、撮影している対象が人だと判断したら肌をなめらかにする。言わば、スマホのカメラは我々の見たいものを見せてくれる方向に進化しようとしてる。

対してミラーレス一眼は、レンズやメカニズム部分の性能を上げることで、高品位な画像を作ってる。

いつまでも、我々はF値やシャッター速度を考えなければならないのだろうか?(スマホは1枚の写真の中でも部分によって、F値が違う画像が瞬時に合成されているような状況だ)高精度なレンズとセンサーが映し出すハイクオリティな映像には、いつまでもスマホは追いつかずにいてくれるものなのだろうか?

大きなセンサーと大径のレンズを持ったレンズ交換式の大きなカメラが、スマホのように『何を撮っているのか認識して画像処理する』ようになれば、最強だと思う。AIによる画像認識や処理などの開発はスマホクラスの数が出る商品でないと難しいのだとは思うが、カメラの画像処理がスマホの画像処理をキャッチアップしていないと、いつかは『既存のカメラ』以外のものが、その牙城を突き崩すのではないか不安に思う。

(出典:『flick! digital (フリック!デジタル) 2019年3月号 Vol.89』

(村上タクタ)

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