iPhone 11/11 Pro、Apple Watch Series 5、iPad 10.2発表を現場レポ!
- 2019年09月11日
INDEX
現場からのレポートとしては『圧倒的質感!』が一番今回伝えたいことだ。
iPhone 11/11 Proも、それで撮れる写真も、Apple Watch Series 5も、iPad 10.2も、質感に満ちあふれている。
3年目のApple Parkでの発表
まず、大苦労して成田にたどり着いた(https://funq.jp/flick/article/509240/)というのが取材陣としては感慨深いが(笑)、3年目になるApple Parkでの発表というのも別の意味で感慨深い。
初めてApple Parkを訪れたiPhone X発表の時は、植えられた9000本の木や草も、とってつけたテーマパークの木々のようで、大量の肥料の匂いが印象的(笑)だったのだが、2年経った今では、しっくりと土地に馴染んだ気がする。匂いもなくなった(笑)
Apple Parkに着いて、小道をしばらく歩き、発表会のあるSteve Jobs Theaterに着くと、毎年、本当にワクワクする。巨大なガラスのみで支えられた屋根など、ここだけの特別な光景だ。
そして、会場に入って、スクリーンに映像が映し出されて、Keynoteが始まる。ほとんどの人がiPhone、iPad、MacBookを使って、レポートを始めているのも面白い光景だ。ちなみに、Steve Jobs TheaterはWi-Fiがとても強力で、レポートしやすい。
本当に精緻なクオリティのカタマリ
ティム・クックが今回繰り返し語ったのは、製品のクオリティを高めるということだ。世間一般的にどこの会社でもやっていることではあるが、アップルのそれは常軌を逸しているといえるほどだ。
思い出して欲しい、初代iPhoneから、3G、4、5……からXSへと続いた道のりを。毎年、パフォーマンスアップして、製品のクオリティが上がってきた。チップセットはA13 Bionicになり、演算速度があがり、カメラも、何もかもの性能が向上している。防水性能も2倍になり、衝撃にも強くなり、さらにガラスも強いものになった。ディスプレイも最大625ニトだったのが、最大で800ニト、Extream Dynamic Rangeのコンテンツを見る時は1200ニトまで輝度が上がる(つまりそれだけ高コントラストの表現が可能)など、あらゆる部分のグレードが上がっている。
一見すると変わっていないから、「今年は3眼になっただけ?」と思う人もいると思うが、実物を見ると、やはり圧倒されると思う。
iPhone 11 Proと11 Pro Maxは、従来のiPhone XSやXS Maxとほぼ同サイズの端末なのだが、ミッドナイトグリーン、スペースグレー、シルバー、ゴールドの4色に。
背面がカメラ部分だけツヤありで、それ以外の部分はツヤ消しのマットな仕上げになっている。超微細な磨りガラスという見かけだ。色のシックさと仕上げのマットで、実に落ち着いた感じで、カメラ部分だけが輝いてるじ。
なんと、驚くべきことにこの出っ張った部分も含めて、1ピースのガラスで仕上げられている。
形状に関してはリーク写真などと同じなのだが、実物の質感はまるで宝石かアクセサリーかというぐらい上質な仕上がりとなっている。
これは確かに流出図面を元にしたて3Dプリンターで作ったようなスクープ記事がずいぶんとイメージを下げてしまっているが、実際のガラスとアルミを精緻に組み上げて作られた製品は本当に美しい。
これまで撮れなかったものが撮れる
3眼はのカメラは、超広角、広角、望遠……という言い方をされているが、35mm換算でいえば、13mm、26mm、52mm(ちょうど倍々の設定)となっている。追加されたのは13mmの側つまり、ドンと広角になるのだ。なんと視野角は120度になる。これまで撮れなかった近い位置での集合写真や、部屋の内観……というような写真が楽々撮れてかなり絵柄的にはユニークな迫力のあるものが多くなるだろう。
世界で一番売れているカメラであるiPhoneに超広角が追加されるのだから、世界の写真に、ドドンと広角写真が増えることだろう。13mmのワイドレンズって、手頃な価格で買えるものでは少ないから多くの人は未体験。きっと、写真がとても楽しくなるに違いない(こちらの記事でSteve Jobs Theaterを撮った時のレンズが14mmだから、さらにワイドということ。 https://funq.jp/flick/article/445714/)。
それを、シームレスにソフトウェア側で、なめらかにズームできるのだから、本当にカメラ以上に便利だ。カメラ分かる人向けに言えば、(デジタルズームも少しは許容すれば12〜120mmぐらいの10倍ズームカメラという感じだ)。
ポートレートモードは、これまで望遠側でしか撮れなかったのが、望遠側と広角側で撮れるようになる。
また、低い照度の状態で撮影できるナイトモードが設けられた。これまで、暗いところの撮影では、他社製スマホに水を開けられていたiPhoneだが、これでその差は埋まるかもしれない。どの程度のものかは試してみないと分からないが、複数枚のショットをデジタル処理で合成して明るくするそうだ。見た限りでは不自然な色彩ではなく、iPhoneらしい自然な色合いなのが嬉しい。
グッと寄った絵柄、背後をぼかしたポートレート、暗い場所での写真……これまで撮れなかった写真が撮れる。それがiPhone 11 Proの最大の美点だろう。
さらにスニークプレビューとして、後ほどソフトウェア的に追加されるDeep Fusionという機能が発表された。瞬時に9枚の写真を撮り、それを合成して、よりダイナミックレンジの広い、色彩の豊かな、細かなディテールに富んだ写真を作り出すのだそうだ。試してみなければ分からないが、選ばれたモチーフからしても解像感が高くなる技術なのだろう。
世間は肌をスムージングしたり、明るくトバしたり、目を大きくしたりする技術が全盛なのに、よりディテールを描くことに注力するあたりアップルらしい。皮膚のディテールが克明に写るなど、女性にはむしろ嫌がられそうではあるが(笑)
デュアルカメラだが、XSとは違う
従来のXRに相当するモデルはiPhone 11として登場した。こちらが廉価版に見えるより、むしろ標準モデルで『Pro』がその上にある……というネーミングの方が確かに好ましい。
従来のiPhone XSなどのデュアルカメラは26mm相当と52mm相当と、望遠側が充実していたが、iPhone 11は、12mm相当と26mm相当のレンズを持つ。つまり、従来のデュアルレンズモデルと異なりワイド側に能力を拡大しているのだ。
人がカジュアルに写真を撮る時、より広角側を強化した方がユニークな絵が撮れるというセレクションなのだろう。大勢の集合写真を近くで、広い空間を。パースが付くことは、写真の専門家ほど普通の人は気にしない。むしろ、ちょっと面白い絵が撮れそうだ。
しかし、望遠側でも26mmということはかなりパースが付くから、我々のように製品写真などを撮ろうとすると、パースが強くつきすぎて困るかもしれない。そういう写真を撮りたい人は注意したい。
ボディカラーは、パープル、イエロー、グリーン、ブラック、ホワイト、プロダクトREDの6色。
こちらは、グレイッシュな11 Proに対して、(Product RED以外)ペールな色合いで統一されている。どちらの色味も彩度低めで、そろそろスマホを持っているのは当り前なので、存在感を押えていく方向性にあるように思える。
背面のガラスは、iPhone 11の方がより一体であることが分かりやすい。11 Proとは逆に、背面の広い部分がツヤありのガラスで、出っ張った四角い部分がツヤ消しの磨りガラスのような処理になっている。
基調講演中でも紹介していたが、A13 Bionicのパフォーマンスを活かして、性能的には複数のレンズで同時に動画を撮影できるようになった。サードパーティアプリのFiLMiC Proではご覧のように、超広角、広角、インカメラの3つのカメラが動作している(11 Proなら4つ)。これにより、YouTubeのレポートなどでは、前にあるものを撮影しつつ、自撮りしたものをインポーズということも可能になるだろう。これは便利。
一番安いiPadが豪華に
第6世代と言われていた9.7インチが、10.2インチになった。これでついに、初代iPadから続いた9.7インチのディスプレイがなくなったのは寂しいが、近いサイズでよりワイドな画面が使えるようになったのは、うれしい。
本体サイズはほぼiPad Airと同じで少し厚い。ディスプレイサイズは10.2インチと10.5インチ。新しいiPadの方が少し画面が小さい感じ。
第6世代の9.7インチと較べると、本体サイズは7%拡大していて、ディスプレイサイズは11%拡大。
さらに、iPad Airと外形サイズを共通化し、スマートコネクターを設けることで、スマートキーボードが使えるようになった。これは便利。これで、スマートキーボードが使えないiPadはminiだけになった。
ちょっと興味深いのはチップセットをA10 Fusionのまま据え置いたこと。もちろん、十分な性能なのだが。
また値段は32GBモデルが3万4800円(税別)、128GBモデルが4万4800円(税別)とさらに安くなったのには驚かされた。この10.2インチディスプレイを持ち、Apple Pencilも、スマートキーボードも使えるiPadが、史上もっとも安いiPadになったというのには驚かされる。
来客の前で、こっそり見られるApple Watch Serise 5
年々、進化するApple Watchもついに大幅な展開を見せた。
これまでのApple Watchは腕を上げて見ている時以外は消灯していた。来客の前で時間が知りたい時など、チラリと目をやっても液晶が消えていたりして、時間を知ることができなくて困ったりしたものだ。
また、スタイル上も文字盤が消灯した状態では、お洒落ではない。
新しApple Watch Serise はディスプレイ常時点灯となっている。低温ポリシリコンディスプレイは、消費電力が非常に少ない。また、この小さいボディに1日中動作させるためのバッテリーが内蔵されているなんて、本当にすごい。
なお、手首を上げていない時(従来は消灯してた時)は、少し明るさが暗くなったり、異なった、暗い場所でも見やすいディスプレイに変わるデザインも用意される。
また、コンパスも内蔵になった。
ボディ素材で注目なのは新しいチタニウムボディが用意されたこと。色はナチュラルなチタニウムカラーと、スペースブラックの2種類。もちろん、チタニウムという素材を愛する人なら、ナチュラルの方が欲しくなってしまうに違いない。
チタニウムは、44mmのケースなら8万7800円だ。
ちなみに、Apple Watch Series 3はまだ販売が継続される。なんと1万9800円からと、非常にリールナブルな値段で手に入るようになった。
これまで、体験したことのない人もApple Watchを体験するチャンスだ。Series 3なら、アクティビティの記録、Apple Pay、防水、セルラーモデルなど、基本的な機能はすべて揃っている。
つまり、我々はApple TV+は無料?
怒濤のように新製品の発表された発表会だが、冒頭にサービスの話もされている。
Apple TV+は11月1日からのローンチが発表された。
しかも、どうやら日本でも同時に始まるらしい。しかも、価格はたったの600円/月。これはもっと高いと思っていたのでありがたい。
しかも、iPhone、iPad、Macなどの製品を買うと1年間無料になるらしい。我々が1年間何のApple製品も買わないなんてことはあり得ないので、これは基本的にずっと無料で使えそうな気がする。
Appleの定額ゲームサブスクリプション、Appleアーケードも月額600円。これも想像以上に安い。ローンチは9月20日。
世界の旗艦店がリニューアル
日本でいえば、丸の内が旗艦店だが、世界の旗艦店というべきApple NewYork 5th Avenueが9月20日にリニューアルする。iPhone 11/11 Proの発売日にリニューアルするのだから、すごい騒ぎになりそうだ。
美しいガラスのキューブと天井の高い地下フロアが特徴的な新店舗、また機会があればレポートしてみたいものだ。
Appleはどこへ向かうのか?
怒濤のように新製品が発表された発表会だった。
すべて実際に触ってみると、そのクオリティの高さが印象的だった。新しい技術が組み込まれて、どんどん性能が磨き上げられていっている。
Appleは過去の製品を見ても、熟考に熟考を重ねて新機軸の製品を出してからは、まったくコンセプトを変えずに、その製品をずっと磨き上げていく。
たとえば、MacBookにしても。iMacにしてもそうだ。だから、おそらく、iPhone もiPadもそうなっていくのだろう。
9月20日。みなさんのお手元にiPhone 11/11 Pro、Apple Watch Serise 5が届いた時(iPad 10.2は9月30日発売)、みなさんはそのクオリティの高さに目を見張ることと思う。
3年目のApple ParkでのiPhone発表会は、非常に充実したものだった(と同時に往路の混乱で、我々取材陣にとっては生涯忘れられない発表会になったが)。
9月20日が楽しみでならない。あなたは、どのiPhoneを買うのだろうか?
(出典:『flick! digital (フリック!デジタル) 2019年9月号 Vol.95』)
(村上タクタ)
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PROFILE
flick! / 編集長
村上 タクタ
デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。
デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。