なんと86%がリモートワーク。NECレノボの3月11日
- 2020年03月12日
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14%の人しか出社していない……のにはワケがある
新型コロナウイルス肺炎(COVID-19)の蔓延を防ぐために在宅勤務、テレワークを行う会社が多くなっているが、もちろん純粋にリモートワークだけでまかなえる業務ばかりではない。しかし、リモートワーク可能な人が在宅勤務することで、フィジカルに出勤しないといけない人にとっても、通勤電車やオフィスの密度を下げることができるというメリットがある。現在の状況においては、リモートワーク可能な人はリモートワークするべきだろう。
とはいえ、これまでリモートワークしていなかった企業、人にとっては戸惑う部分も大きい。
そこで、先行者として早くからリモートワークに取り組んできたNECレノボグループに取材に行ってきた。3月11日に出社している人は、全社約600人のうち、わずか14%ということである。オフィスは驚くほどガランとしている。
2016年から『無制限テレワーク』を導入
といってもまぁ、実はこれにはタネ明かしがある。実はNECレノボでは3月11日は毎年『全社一斉テレワークデー』なのである。だから、この日は特別に出社率が低い。3月11日という日程設定からわかる通り、この震災を受けてスタートした取り組みだ。毎年この日にはリモートワークが推奨されるのだそうだ。つまり元々NECレノボは企業としてテレワークを強力に推進してきているのである。
とはいえ、2月25日の政府の見解を受けて始まった『原則テレワークを推奨』という状況への適応が早かったのも事実だ。これはこの『テレワークデー』の実施を含め、NECレノボが早期からテレワークに向けて前向きに取り組んできた成果である。
レノボでは、以前は上限週1回とされてきたテレワーク(実際、そんなにテレワークを行っている人はいなかったという)を2016年から『無制限テレワーク』に変更している。上司に申請するだけで、毎日テレワークでもOKというわけだ。
NECレノボは経営目標として『働きやすさNo.1企業』を目指している。
その中で、テレワークを可能とするというのは大きなテーマとなっていた。テレワークを導入することで、ワークライフバランスを改善するとともに、大規災害などが発生した時にも安定してビジネスを継続できるというメリットもある。
実際に積極的運用してみてテレワークの効果は大きかったという。
なんと92%が生産性が向上したとし、76%がワークライフバランスが向上したとし、新型コロナウイルス肺炎(COVID-19)の流行のような状況下でも授業継続性が向上しており、さらに『働きやすそう』ということで、採用にも大きな効果を発揮しているという。
普段20%ぐらいのテレワーク率だが、2月末から3月前半にかけての状況下では60〜70%までテレワーク率は向上しているという。
ベネット社長も前向きにリモートワークに取り組んでいる
ちなみにレノボジャパンの代表取締役社長であり、NECパーソナルコンピュータの代表取締役執行役員社長であるデビット・ベネットさんも、午前中家族と一緒に朝食を取ったりしながら自宅からオンラインで会議に出たり、夜にも子供たちと過ごしたりしつつ他国とコミュニケーションを取ったりすることが可能となっているのだそうだ。
まったの余談だが、上の写真のデビット社長の自宅の設備が大画面2面というゴージャス仕様なのはビジネス用途ではなく、社長がけっこうガチなゲーマーだからだそうで、「ゲームをするための装備で、こんな装備でなくてもテレカンは可能」とのこと(笑)
NECレノボではこれまでのチャレンジの結果、14インチ大画面モバイルPC(これは選択できるが、14インチを使う人が多いらしい)の他、プライバシーフィルター、ヘッドセット、自宅用の電源アダプター、モバイルモニターなどを配布して、リモートワークでの生産性を向上させているという。
ノウハウ満載の『テレワークスタートガイド』を無償公開
NECレノボでは、これまでのテレワークに対する取り組みの結果をまとめた『テレワークスタートガイド』を、今回の新型コロナウイルス禍に対応して、社会貢献として無償公開している。
個人としての導入の細かいTipsから、企業としてチームとしてどうやってスムーズに導入するかかなり細かいノウハウが掲載されている。特に浸透しない場合、どのような障壁があるかの考え方や、一部の部署で普及しない場合の対応方法など、現実的なノウハウがしっかりと掲載されているので、ぜひご参照いただきたい。
https://www.lenovojp.com/business/solution/download/002/pdf/terework_startguide.pdf
今回、何ヶ所かリモートワークを導入している会社を取材したが、現状スムーズに導入できている会社は、平時からリモートワークを導入してテスト運用と行ってきた会社だ。今後も災害やオリンピックの開催などによって、通勤に障害やリスクが発生することがあるかもしれない。
平時から、十分に備えておきたいものだ。
ちなみにこのプレスイベント、取材もリモート参加可、登壇者の方にもリモート参加される方がいらしゃるなど、ユニークで学びの多い発表会だった。
(村上タクタ)
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PROFILE
flick! / 編集長
村上 タクタ
デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。
デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。