これから起きる700兆円の新産業『フードテック』。植物肉、キッチンOS、中食の変化…
- 2020年07月29日
INDEX
『ほかやん』からの知らせ
『ほかやん』こと、外村仁さんから、「『フードテック革命』っていう本を作ったから読んで」とメッセージが来て、本を送っていただいた。
外村さんは、シリコンバレーの日本人コミュニティの世話役のような人で、何くれと世話を焼いたり、人と人を繋いだりしてる人。起業家。EvernoteをPhilと一緒に引っ張ったのも外村さんだし、去年のSports Techの取材に呼んでくれたのも外村さんだった。最近でいえば、スクラムベンチャーズにも関わってるし、mmhmmにも関わってらっしゃる(はず)。言ってみればクラウドのムーブメント自体の震源地にいた人だし、言ってみれば僕らが気になる新しいことはたいていほかやんが噛んでる。
フードテック革命 世界700兆円の新産業「食」の進化と再定義
同時に外村さんはグルメでもある。
日本中、いや世界中を旅して美味しいものを食べ歩いたり、日本に出張したらかならず築地で魚を何匹も丸のまま買って、氷と一緒にスチロールの箱に詰めて帰国し、帰国した最初の仕事は持ち帰った大量の魚をさばく事という人でもある。肉を焼くなら温度センサーを刺し、低温調理の限界は何度まで大丈夫なのかを試みているうちに限界を超えてお腹を壊すような人でもある。
そんな外村さんが監修した『フードテックの本』というから、きっとグルメでテッキーな本だろうと思っていたが、到着した本は予想をはるかに上回る本だった。
(何年か前、ほかやんに見せてもらったHESTAN CUEののフライパン。センサー内蔵で、メニューに合わせて温度が細かくコントロールされる)
『700兆円?』なるほど、そりゃそうだ
なにしろ、400ページ近いボリュームがインパクト大。
そして、サブキャッチがインパクト大。
『世界700兆円の新産業「食」の進化と再定義』である。
700兆円!
そりゃそうだ。
金額が途方もなく大きすぎてよくわからないが、『食』という産業は、世界のあらゆる人が絶対に毎日関わる産業だ。世界70億の人間が、毎日数食食べるのだから、間違いなく世界最大の産業分野だ。そこにテクノロジーが入ってくるという話。
たった1%だって7兆円だし、0.1%だって、7000億円だ。
この途方もない産業のあらゆる場面にテクノロジーによる変化が起きる。そして、日本はまたしてもそこに乗り遅れているという話だ。
「日本には素晴しい食文化があるし、食文化はテクノロジーでどうこうできるものじゃない」……って、iPhoneが登場した時にも、iモードはじめ、日本の携帯に携わってる人が似たようなことを言っていたことを思い出す。
COVID-19の影響は、フードテックの流れを加速する
COVID-19の流行により、外食産業が被った影響は非常に大きい。そして、まだ出口が見えない。
家庭での内食は増えているだろうし、外食産業は生き残りをかけて大きく中食(テイクアウトや、半調理、デリバリーなど)にチャレンジしたりもしている。
世界的規模のこの変化にも、テクノロジーが大きく関与する。おそらく、『フードテック化』はCOVID-19の影響で大きく加速するのだろう。
その『今度こそ乗り遅れてはいけない』『COVID-19の影響で大きく加速した』『世界規模の大きな波』が『フードテック』なのだとこの本は訴える。
今、知っておくべき最新情報が満載
詳しい内容はもちろん、この本を読んでいただくしかないが、おおまかにいくつかピックアップしても……
・センサー内蔵の調理家電
・それを統合コントロールするキッチンOS
・食のデータ、パーソナライズ
・代替肉のさまざまな革新
・外食産業、フードロボット、デリバリー、ピックアップ
・食品リテールの変化
・食の共創、スタートアップ、ラボ、イノベーション
……などなど、食品産業に関わる人はもちろん、ほとんどの人の仕事はこの『フードテック700兆円の大奔流』の影響を受けるはずだから、読んでおいた方がいいと思う。
たとえば、流通、交通、不動産、広告、メディア……あらゆる産業が食品産業の変化の影響を受ける。我々の仕事も影響を受けるのだ。
たぶん、100年前の人が僕らの食生活を見たら、ビックリするに違いない。街中で世界中の料理を食べられて、長い間家で食料を冷蔵保存できて、24時間ファストフードで食べものを買えて、お湯を注ぐだけでできる麺があって、家から出かけずにAmazonで食材を発注できて……きっと魔法みたいだ。
それと同じく、これから僕らが『魔法みたい』ビックリするような変化が起こる。
この本は、そんな変化の予兆を教えてくれるのだ。
(村上タクタ)
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PROFILE
flick! / 編集長
村上 タクタ
デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。
デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。