PFUが音声認識技術を使ってオンライン飲み会アプリを開発
- 2020年08月03日
疫病退散の祭りも、COVID-19で開催できず
石川県の能登半島の宇出津にはあばれ祭りという祭りがある。この祭りは、350年前この土地に疫病が蔓延したため、京都の祇園社から牛頭天王を招請して祭礼を行ったところ、神霊と化した青蜂が悪疫病者を作ったので、それを喜んだ地元の人がキリコ(奉燈)を担いで八坂神社へ詣でたのがルーツと言われる。
しかし、その疫病退散の祭りでさえ、COVID-19の影響で今年は行われななった。神事自体は行われたというが、疫病退散の祭り自体が疫病のために行えないというのはなんとも皮肉なことである。
そこでその祈りを込めた日本酒をクラウドファンディングで発売
そこで、地元石川県の企業であるPFUと、おなじく石川県の能登町で150年の歴史を誇る数馬酒造、そしてリカーイノベーションがタッグを組んで、祭りの音を聞かせながら醸した日本酒を作り、オンライン飲み会のアプリを作って提供するというクラウドファンディングが行われた。
ここで使われたのがPFUの音響識別AI技術。この技術は工場設備の異音検知や高齢者向けの家庭内生活音の識別など、さまざまなシーンで役に立っているという。PFUの技術の特徴はメモリやCPUスペックなどの余裕の少ないエッジ環境でも利用できることにあるという。
まず、この技術を使って、疫病払いの神事『あばれ祭』の音響の中から『喜びの声』だけど、音響識別AI技術で抽出し、それを聞かせながら数馬酒造が醸造した日本酒が『継音(TSUGUNE)』だという。
喜びの声を聞かせながら醸造すると、日本酒が美味しくなる……とは筆者には思えないが(笑)、祭り、人の祈りとは元来そういうものではあると言えなくはない。元々神事の話ではあるし。
音響認識日本酒レコメンドアプリ『emopair』
さらに同時にこの技術を使ったアプリ『emopair(エモペア)』がリリースされる。
このアプリはオンライン飲み会ができると同時に、その飲み会の盛り上がりや、喜びの度合いをデータ化し、KURANDO(リカーイノベーションの通販サイト)から、その状態に合った日本酒をレコメンドしてくれるオンライン飲み会専用アプリ。
まだまだ、しばらくはCOVID-19の状況下で日常を過ごさなければならないようだ。このTSUGUNEを飲みながら、emopairを使って『あばれ祭』に思いを馳せながら飲み会をして、疫病退散を祈る事にしよう。
(村上タクタ)
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PROFILE
flick! / 編集長
村上 タクタ
デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。
デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。