秋ローンチのMacのOSは20年越しの大改革【macOS 11 Big Sur PBさわってみた】
- 2020年08月07日
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※macOS 11 Big Surパブリックベータには守秘義務契約下にあり、インストールしたレポートを他人に話したり、ネットに公開することは禁じられている。本記事は特別の許可を受けて公開してる。
20年ぶりの大改革
iPhoneの成功やiPadの進化の影で、Macは少しずつフェイドアウトしていくと予想する人もいたが……決してそんなことはなかった。
この秋公開されるmacOS 11 Big Surは、まさに20年ぶりの大改革。
その『Big Sur』のパブリックベータが公開されたので、さっそくインストールしてさわってみた。
インテルとApple Silicon。ふたつのCPUで動くOS
macOS 11 Big Surの意義は深い。
なにしろ、2000年のMac OS Xから約20年を経て、ようやくバージョン番号の一番上のケタが、10から11に変わったのだ。Big Surにかける想いは深い。
また、Big Surは現在のインテルプロセッサーと、次に移行すると宣言されたApple Siliconの両方で動作する。現代のOSのような複雑怪奇なプログラムを異なるCPU上で動作させるなんて、いかに困難なことか想像に難くない。
外見上はご覧になっておわかりのように、iPadOSに近いビジュアルになっている。iPhoneやiPadに搭載あれるAシリーズチップの流れを汲むCPUを搭載するからというのもあるだろうし、iPhone、iPad、Macのインタフェイスを次第に共通化していこうというもくろみもあるのだろう。
それにより、Big Surはビジュアル的に近年まれに見るほどの変更を受けている。
ウィジェットとコントロールセンターも
まずは、画面右側に現れるウィジェット。機能的にも外見上も、iPhoneやiPadのウィジェットとほぼ共通。おそらく外見上だけでなく内部的にもCatalystによってほど共通で動くようになっているのだろう。
特に、今回のiOS 14では、ウィジェットをホーム画面にも配することができるようになっているから、このウィジェットには多くの人が馴染んでいくに違いない。
また、今回のMacにはコントロールセンターが設けられる。これもみなさん、iPhoneやiPadで使い慣れているから、扱いやすいことだろう。ただ、Macの場合ウィジェットも右側に表示されるので、なんだか位置がカブる感じがするが。
OS全体として、透明感が増しており、洗練されたデザインとなっている。
メニューのプルダウンもとても透明感が強い。
20年前の透明感が魅力だった『アクア』から、現実世界のモノのようなリアルな表現を使ったスキューモーフィズム、そしてフラットデザインを経て、ここに到達している。
スコット・フォーストール氏が追放されることでスキューモーフィズムの時代が終わり、ジョナサン・アイブが去ることでフラットデザインから次のデザインへと移行していくというのが興味深い。
新しい透明感のあるデザイン言語は、過去のそれぞれのデザインの美点を引き継ぎながらも、また新しいデザインを確立したといえるだろう。
アイコンもiPad風
アプリのアイコンデザインは、従来の少し傾いたスクエアなもの(下の写真ではPagesのアイコンが以前のトレンドのままだ)から、iPhoneやiPadと同じ角丸の四角に変更された。ここでも、macOSはiPadOSに歩み寄っているのだ。
全般に、iPadとの区別が付きにくくなったような気がするほど。メッセージやFaceTimeのアイコンに見られる強調しすぎの影の描き方もすこし古くさいような気がする。トレンドはめぐりめぐって来るのだろうか?
ウインドウ上部の形状など、多くのデザインが変更されている
OS全体が、大きく変更されている。
使っていると、動作も安定しており、扱いやすいOSだと思えるが、それでもこのデザインの大幅な変更に、アップルがこのmacOS 11 Big Surにかける意気込みが感じられる。なにしろ、またしてもCPUを乗り換えるのだ。簡単な決断であるはずがない。
写真.appで動画の編集も可能に
機能の細部は丁寧に作り込まれており、筆者が試してみたアプリの多くはスムーズに動作した。移行期のOSではあるが、逆にインテルMacで使える最後の(?)OSとして、今後も多くの人に使い続けられることだろう。
変更点は細部に渡っており、写真.appで動画の色補正やトリミングなどができるようになったことも注目だ。数限りなく修正点があることと思うので、また興味深い機能を発見したらレポートしていきたい。
今のところろ、筆者の環境ではベータ版であるにも関わらずスムーズに動いており、フリーズしたりもしない。秋のローンチを楽しみに待ちたい。
(村上タクタ)
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PROFILE
flick! / 編集長
村上 タクタ
デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。
デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。