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Apple製品を買ったら、TV+で『Long Way Up』を! ユアン・マクレガーがBMW GSやハーレーのEVで世界を旅する

若き日の冒険心を呼び起こしてくれるドキュメンタリー

何を隠そう、筆者は若き日は冒険家に憧れていた。

16歳の時には自転車で北海道を一周し、ブラジルを1カ月旅し、19歳の時にはインドやヨーロッパを放浪し、バイクで日本を回った。

しかし、社会人になって忙しさにかまけ、いつしか冒険者の翼は閉じてしまっていた。仕事でヨーロッパやアメリカを千数百キロに渡ってバイクで走ったことはあるが、しょせんは仕事の旅で『冒険』ではなかった。

しかし、この『Lang Way〜』シリーズで、ユアン・マクレガーとチャーリー・ブアマンは正真正銘の世界を渡る『バイクの旅』を見せてくれる。

今、Apple製品を買うとApple TV+の無料視聴権が1年分ついている。「どんな番組があるのだろう?」と思ってチラリと見て、そのままになっている人が多いと、思うが、これだけはぜ〜ったいに見た方がいい

若き日の冒険心がふつふつと湧き上がってくることうけあいだ。

当面は、Apple製品を買うと1年間無償で見られるTV+

さて、Apple TV+はアップルのサブスクリプションサービス。

iPhoneやMacの売れ行きには限界があるから、アップルが音楽、映像、ゲーム、本、フィットネスなどのサブスクリプションサービスに力を入れているのは周知の事実。

特に、映像カテゴリーでは、急成長したNetflixに警戒心をあらわにしているのは周知の事実。Netflixは、映画やテレビ番組のオンラインでのレンタルを皮切りに、今や自ら映像コンテンツを制作し、独占配信することで大きな収益を得ている。

そこで、反Netflixなコンテンツビルダーを集め、対抗しようとしたのがTV+だ。2019年3月25日の発表会の折りには、スティーブン・スピルバーグはじめ、そうそうたるメンツが集まって協力を約束した。

とはいえ、まだまだNetflixに比べてコンテンツが少ないのは当然だ。そこで、現在はアップル製品を買うと1年無料というキャンペーンをやっているというわけだ。この1年を無駄にしようとしている人が多いのではないかと心配だ。たしかに、オープン当初は、コンテンツ不足の感が否めなかったが、だいぶ充実してきている。

ビリー・アイリッシュのドキュメント『世界は少しぼやけている』(リンク)も面白そうだし、トムハンクスの『グレイハウンド』(リンク)も迫力だ。もちろん筆者としてはアイザックアシモフ原作の『FOUNDATION(銀河帝国の興亡)』(リンク)が楽しみで仕方がないことは言うまでもない。

もし、’60〜’70年代の宇宙開発競争が終わってなければどうなっていたか? を描く『フォー・オール・マンカインド』(リンク)も面白いと聞く。『テッド・ラッソ〜破天荒コーチがゆく』(リンク)も面白いらしい。

しかし、私がどうしても見ておいて欲しいのは、『Long Way〜』シリーズだ。

『Long Way〜』シリーズ、3作とは?

『Long Way〜』シリーズは、全部で3シリーズあり、それぞれ俳優のユアン・マクレガー(言わずと知れたスターウォーズのオビワン・ケノービ)と、チャーリー・ブアマン。

1作目の『Long Way Round』(リンク)は文字通り世界一周の旅。イギリスを出発して、東まわりにロシア、モンゴルを通り、最終的にアメリカ・ニューヨークに到着する。2作目の『〜 Down』(リンク)は、イギリス・スコットランドから、まっすぐに南下、ヨーロッパ、アフリカ大陸を縦断して南アフリカのケープタウンへ。3作目の『〜Up』(リンク)は、南アメリカの南の端からアメリカ大陸を北上して、ロサンジェルスを目指す旅。

出発する前から、苦労し、仲間割れするリアルドキュメンタリー 『Long Way Round』

ちょっと文字通り長い旅になるのだが、お勧めとしては最初の『Long Way Round』(リンク)の冒頭から見て欲しい。これを見ずに他の2作を見るのは、エヴァンゲリオン新劇場版の序破Qを見ずに、シン・エヴァンゲリオン劇場版を見るようなものだ……といったらちょっと大げさか。

ほんとに、リアルドキュメンタリーで、ユアンとチャーリーが、旅に出かけようと相談を初めて、ロンドンの市街に事務所を借りて、機材を調達しようとするところから始まる。放映されたのは2004〜2005年とのことだから、15〜6年前。iPhoneもなければ、ナビゲーションも稚拙な時代だ。

サポートスタッフや映像化のためのディレクターも頼んだりはするが、基本的にはふたりが自力で旅の準備をするところがすごい。誘拐を避けるためのレッスンや、応急手当の講習、予防接種、などの準備もシベリアや、モンゴルを走破するためのトレーニングを経て、バイクを調達しようとするのだが(番組化するので、バイクの提供をメーカーに依頼する。僕らが雑誌を作る時にもすることだ)、なんとチャーリーが乗りたかったKTMがバイクの提供を拒絶する。

最終的に借りたのか、買ったのかわからないが、バイクはBMWのR1150GSを、カメラマンのクラウディオ(割とトラブルメーカー。結局サポートなのに一番バイクを壊す)の分と3台調達。超長距離旅行のためにモディファイし、サポートスタッフの乗る4駆も2台用意する。20年ほど前にR1100GSに乗っていた筆者としてはたまらない展開だ。あのバイクがあれば、世界を旅できたのに! と思う(転んで廃車にしてしまったが)。

出発直前まで、ビザが出なかったり、用具が足りなかったり、出発しようとしたら、カメラマンのバイクの国際免許が無効であることが分かったり……。こういうチャレンジプロジェクトをやろうとしたら、起こりがちなありとあらゆることが起こる。

イギリスからヨーロッパに渡り、フランス、ベルギー、チェコ、スロバキア……ぐらいまではいいが、ウクライナ、ロシア、カザフスタン……あたりになると、国境を越えるのが大変だったり、係官に小銭を握らせることが必要だったり、出合った人の家に突然泊まることになったり、住民に銃を向けられたりとありとあらゆることが起こる。また、ユニセフの活動を支援し、世間にレポートする意味で取材をするのだが、チェルノブイリの放射能を浴びた子供たちの施設や、貧しい地域の子どもの支援施設などを訪ねる。ユアンとチャーリーが本当に心を痛めてることに胸をうたれる。

最後、ロシア、モンゴルあたりになると、砂、泥、荒地、湿地、川……など、あらゆる艱難辛苦が道を阻む。ちなみにサポートカーは国境でのみ合流し、越境を手伝うが普段はバイクだけで旅する。本当に3万kmの道のりをバイクで走るだからすごい。筆舌に尽くしがたいことが起こるのだが、そのあたりはぜひ映像で。

武装組織やライオンなど危険いっぽいのアフリカを南下する『Long Way Down』

さて、続いてはアフリカを南下する旅、『Long Way Down』(リンク)。2007年放映。使われるバイクはBMWのR1200GS。

今回の問題はとにかく治安が悪い事。そのため、武装組織に襲われた時のための訓練をしたりする。軍事組織などもあるので本当に危険。また、ライオンなどの野生動物のいる場所でキャンプをすることにもなるので、そのための訓練も受ける。また、バイクに乗ったこともないユアンの夫人が突然一部だけでも一緒に走りたいと言い出し、「男ふたりの旅に、妻を連れて行くとはどういうことだ」と怒り出し、本当に前途多難。映画スターってワガママ過ぎて驚く。

ともあれ、前回のロシアやモンゴルの旅に勝さるとも劣らないハードな冒険で、これまたとても面白い。

なんと電動? Appleは、ハーレーなど、アメリカ企業の思惑渦巻く『Long Way Up』

そして最新の『Long Way Up』(リンク)。ぐっと時代を下って2020年初公開。今回は、アメリカ大陸を南端から北上する旅。どうやら、これはAppleがスポンサーについて、このApple TV+のために撮影が行われれたオリジナルコンテンツのようだ。

前回の旅から13年経ってるから、ユアンも老けて、チャーリーも老けて太っているのに驚く。時の流れというのは恐ろしい。

ユアンはアメリカに移住していて、チャーリーと疎遠になっているし、チャーリーは大きなバイク事故を起こして、あやうく命を落とすところだった。そんなふたりが連絡を取り合って、旅を再開しようという場面から始まる。プロデューサーのデヴィッド、ラス、そしてカメラマンのクラウディオが勢ぞろいする。

今回の旅の、驚きのチャレンジは、SDGsな配慮のために電動バイクで旅しようとすることだ。

しかし、バッテリーの重さと航続距離の関係で、電動バイク、特に大型のスポーツバイクはほとんど実用化されていない。そこに名乗りを上げたのがハーレーダビッドソンだ。

ハーレーはCES2019で、LIVEWIRE(ライブワイヤー)という電動バイクを発表した。この試作品のバイクをチャレンジに使おうというのだ。さらに、サポートの4輪車も電動に。Rivianというスタートアップが作ったEVのSUVだ。しかも、供されるのは量産試作の1号車と2号車。旅の2週間前には、まだいずれも部品の状態という凄まじさだ。果たして、旅に出られるのか……。

つまり、Apple TV+の船出の企画であると同時に、ハーレーやRivianのEVのスタート……と、いろんな企業の思惑ものしかかってくる。なのに、旅の期間は3カ月しかない。本当に現実に大変なチャレンジだ。

リアル、リアルドキュメンタリーの面白さ

このシリーズの面白みは、ユアンとチャーリーというふたりが、本当に真剣に全力をかけて旅と、人生に向き合うことだろう。時に仲たがいし、ケンカし、怒り、悲しみ、恐れる。本当に旅を続けるのが無理なような道が現れるのも、1度や2度ではないし、たぶん全編を通じてユアンは100回以上転倒していると思う。一歩間違えると命に関わるような事故も数回あるし、銃を向けられたことも複数回ある。本当にリアルにハードはチャレンジだ。

しかし、ふたりは旅を続ける。

リスクがあっても、家族に寂しい思いをさせても、企業の思惑に振り回されても、歳を取っても、ものすごい大変な道や税関があっても、旅を続ける。それに人生を重ね合わせるのは考えすぎだろうか?

とりあえず、筆者は、BMWとハーレーのディーラーに行って、次とその次に買いたいと思っていたバイクにまたがって、良さそうな中古車や試乗車が出たら、連絡をもらえるように頼んできた。

世界一周するわけにはいかないが、我々だった多少の冒険はするべきだ。何歳になったとしても、新たな道が我々を待っている。


Apple TV+
Long Way Up
https://tv.apple.com/jp/show/long-way-up%E5%A4%A7%E9%99%B8%E7%B8%A6%E6%96%AD%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%82%AF%E3%81%AE%E6%97%85/umc.cmc.1nv0tluok21c2f8549mdjqdnh

(村上タクタ)

(画像提供Apple TV+)

(最新刊)
flick! digital 2021年3月号 Vol.113
https://funq.jp/flick/magazines/20158/
デジタル超整理術 リモートワーク編
https://funq.jp/flick/magazines/20164/

 

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PROFILE

村上 タクタ

flick! / 編集長

村上 タクタ

デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。

デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。

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