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シリコンバレー流VCが日本の街の未来を明るく変える!【SmartCityX成果発表会】

日本の未来は、まだまだ明るくすることができる

何かと閉塞感のある日本。しかし、挑戦的なベンチャー企業が現れ、既存の大企業がその巨大な資金とリソースを活用し、地方自治体が課題意識を持って主体的に取り組めば、まだまだ日本の未来は明るいのではないかと思える発表会だった。

たとえば、これからEVの普及とともに余裕の出てくるガソリンスタンドのスペースを使って、高齢者の多い地方に人間ドックを提供できたら?

たとえば、車で走っても、電車に乗っても、自転車に乗っても、歩いて移動してもマイルが貯まったら? 移動すれば移動するほどメリットがあれば、健康にもいいし、同時にすべての経済が活性化していくと思わない?

スクラム・スタジオの代表を務める高橋正巳さん。SmartCityXの1年目、そこで達成されたことの意義を語った。

そんなベンチャー企業のような新鮮なアイデアを、JR東日本や、ライオン、出光のような誰もが知ってる企業が推進して、福井県や三重県のような地方自治体が後押ししたら? それが、スタートアップのようなスピード感で実現したら? どうなるだろうか?

シリコンバレーのスピード感と、日本の大企業のリソース

そんな、夢のような話を現実にする取り組みをしているのが、シリコンバレーと日本を繋ぐベンチャーキャピタル『Scrum Ventures(スクラム・ベンチャーズ)』の関連会社『Scrum Studio(スクラム・スタジオ)』。同社が展開する都市・街の未来をテーマとしたオープンイノベーションプログラムが『SmartCityX(スマートシティ・エックス)』だ。

変容してしまった未来の街を探す、SmartCityXプログラム開始

変容してしまった未来の街を探す、SmartCityXプログラム開始

2020年09月03日

スクラム・ベンチャーズ
https://scrum.vc/ja/
SmartCityX
https://www.smartcity-x.com/

あいおいニッセイ同和損害保険株式会社、出光興産株式会社、トヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント株式会社、日本ユニシス株式会社、 株式会社博報堂、東日本旅客鉄道株式会社、ウーブン・プラネット・ホールディングス株式会社、積水化学工業株式会社の8社をパートナー、味の素株式会社、株式会社ジェーシービー、スズキ株式会社、株式会社ディー・エヌ・エー、ライオン株式会社をサポーターとして、国内外のスタートアップにチャレンジを募る。

世界中から集まるベンチャー企業のアイデアにも注目したいが、大企業や地方自治体にシリコンバレー流のスピード感、コラボレーション術がインストールされるのも特徴だ。今回の発表でも、日本の大企業や地方自治体の担当者が、壇上を動き回りながら身振り手振りを交え、まるでシリコンバレーのIT企業のように表情豊かで説得力溢れるプレゼンテーションを行っていたのが印象的だった。

日本だって、変われるのだ。

そんな期待感が高まる。

351の応募から選ばれた、95のスタートアップ

霞が関官僚から、スクラム・ベンチャーズへという異色のキャリアを持つ桑原智隆さん。事例紹介のホストを務めた。

本日は、そんなスクラム・スタジオが、この1年間『SmartCityX』として活動してきた成果を発表するイベントだ。

そして、それはさらなる投資、大企業・地方自治体への参加への呼び水となる。世の中を変えることができるのだ。しかも、ちゃんと持続可能な大きな利益を上げながら。

さて、『SmartCityX』はその名の通り、未来の街を作るチャレンジだ。

人口過密、過疎、高齢化、社会インフラの老朽化、労働力不足、気象災害の激甚化、医療偏り、鉄道やバスの縮小、交通事故……我々は未来に明るいビジョンを描きにくい時代に生きている。国際競争力が低下してきており、世界トップクラスの高齢化の渦中にある日本の国民としてはなおさらだ。

募集されるのは、それを解決するアイデアを持つスタートアップ。SmartCityXの呼びかけに、世界40カ国近くから351の応募があったという。その中から、20の国と地域から、95のスタートアップが採択され、8社のパートナー、5つのサポーターとチャレンジを始めた。

SmartCityXの特徴は『「生活者」視点』であること、『適用可能性』が高いこと、実証実験に留まらない『事業実装』を目標としていること。

すでに各国で走り始めている6つのスタートアップを紹介

今日は、さまざまな発表が行われたが、その中でも特に、6つのサービスが発表された。

かなりしっかりしたプレゼンが提供されたが、ここでは紙幅の都合から、それぞれ簡単にご紹介しよう。

Misapplied Siences

Misapplied Siencesは、SPORTS TECH TOKYOにも参加していたが、見る人によって異なった映像が見えるモニター。たとえば、空港にあるモニターが、見ている人によってそれぞれ自分の登場予定の飛行機の情報が見られるような、そういう用途が考えられているという。

EVA

EVAはドローンのプラットフォームを提供する会社。移動可能にしたり、各地に多数配置してドローンのベースとして利用される。たとえば、宅配便のラスト1マイルをドローンで提供するとか、災害救助用とか、さまざまな用途が想定されている。

社会インフラとしてのドローンが想定されている。互いの通信ネットワークもドローン同士が行い、通信、物流、最終的には交通手段としてまで広がるドローン世界が想定されている。

Caspar.ai

Caspar.aiは米国でも日本でも進む高齢化を想定したサービス。ウエアラブルデバイスなどを付けることなく、かつプライバシーを担保したまま、家の中での高齢者の転倒などを見守ることができる。

Electro-Active Technologies

Electro-Active Technologiesは驚きのテクノロジー。廃棄物を分解して水素(H2)を生産する。ゴミからエネルギー。実現したら、廃棄物の問題と、エネルギーの問題を両方解決することができる。

Tomorrow.io

Tomorrow.ioは独自モデルによる気象予報システム。本来気象とは複雑系に属し、微細な出来事が対局に影響することがあるため予想が難しいのだが、豊富なデータと独自のロジックから正確な予測を提供している。

気象の重要性から誰も逃れることはできない。日々の経済活動も天候の影響を受けるし、都市運営にとっては非常に重要なデータだ。また、正確かつパーソナルな予想を活用することで、激甚化する災害から街や人命を守ることができる。

Singular Perturbations

Singular Perturbationsは、豊富なデータから、計算犯罪学によって、犯罪の起こりやすそうなエリアを推定。犯罪を避けて通りたい人には安全な場所を案内できるし、逆に治安当局には見回るべき場所をアドバイスすることができる。

Singular Perturbationsはすでに日本の警察でも使われている。

日本だって、どんどん変わっていく!

続いては、SmartCityXから日本で生まれた新たな生活サービスについて説明があった。

これは日本の大企業同士や、地方自治体が協業しあえた実例だ。一部のサービスはすでに実証実験から、実際の運用に入りつつある。

スマートよろずや

今後EVの増加でニーズの下がっていくガソリンスタンドを全国に6300カ所持ってる出光と、スマートスキャン、三重県が協力して進めている『移動式スマート脳ドックサービス』。

移動式のMRIを地方のガソリンスタンドに持って行って、そこの地域の方のMRIを撮る実証実験。400人分の予約はあっという間に埋まったという。

また、その場所を使ってドローン基地、EVシェア、ヘルスケアステーション、農機具サブスクなど、さまざまなサービスを展開してく『スマートよろずや構想』も進んでいる。

衛生ステーション構想

これから、世の中は回復していくが、JR東日本など鉄道においては密集は避けがたい。となると、この状況の中で、多くの人がしっかり衛生的な行動を行いながら、経済活動のレベルを上げていく必要がある。

JR東日本、ライオン、エクサウィザーズ、博報堂が協力して行ったのが衛生行動に関する実証実験。

コワーキングスペースの入り口に消毒液を置いて、入ってくる人が利用するかどうか調査(当初利用者は72人中5人と極めて低かった)。そこにどのようなメッセージを出せば、行動変容があるか調査を行った。

特徴的なのは、エクサウィザーズの技術で人はカメラ内部の画像処理で棒人間として匿名化されていること。プライバシーの心配なく、統計データの取得が可能なのだ。

防災ソリューション

的確な気象データを元に被害を予測し、それを人々の安全を守るための情報ソリューションとして提供する試みを行っているのは、あいおいニッセイ同和損保と渋谷区。

温暖化による災害の激甚化、人口集中、高齢化などにより災害被害が拡大しやすい傾向が高まっている。特に渋谷区はビジネス街でもあるし、高級住宅街も、人口密集地もある上に、300万人というちょっとした小国を超える人口が往来する場所。地震にしても、台風にしても、時間帯によって、大きな災害になる可能性がある。

そこで、局所的なものも含めて気象情報を分かりやすく表示するというチャレンジを行っている。あいおいニッセイ同和損保にしても、激甚化した災害が起こると保険金の支払い額が急激に増える。区民の安全を保つという意味で、両者の利害は一致しているのだ。

テレマティクスを活用した交通システム

交通事故死者が全国2位という福井県、福井県警察と、あいおいニッセイ同和損保が提供するのはテレマタグを使った実際の運転データの分析。

スマホ経由で通信するテレマタグで、急加速、急減速、速度超過、運転中のスマホの利用などのデータを取得。危険な交差点や道路などを特定し、交通事故を事前に防ごうという試みだ。

サッカー観戦をするファンの行動変容の実現

こちらは、JCB、あいおいニッセイ同和損害保険、日本ユニシス、Milesなどが協業した、『鹿島アントラーズファン』の行動変容に対する試み。

現状、潮来インターから競技場までは平時は車で15分の距離なのに、試合が行われる日には、なんと120分かかるほど道が渋滞する。来場者の満足度も低下するし、地元住民にとっては競技が行われるたびに、道路が通行不能になるのでは、たまったものではない。

そこで、さまざまな施策を打って、行動を分散させようという試み。潮来インター近くに駐車場を作ってシャトルバスを往来させるのはもちろん、他の場所にも飲食など楽しめる事象を増やしたり、宿泊して観戦するのも楽しいようにしたりと、さまざまなインセンティブを提供することで、行動の場所や時間をずらして渋滞を解消しようという試み。

JREAD Miles

こちらは、JR東日本と、あいおいニッセイ同和損害保険(4回目の登壇なので、あいおいニッセイの小泉泰洋さんは『SmartCityX界の大谷昇平』と、JR東日本の佐藤勲さんに持ち上げられていた(笑))、そしてMilesからの提案で、日常生活にポイントを付与するJREAD Miles。

やはり移動はあらゆる経済活動を活性化するので、どんなカタチであれ移動を促進したい。また、歩く、自転車に乗るなどの活動は健康状態を向上するので、あいおいニッセイ同和損保としては健康リスクが下がるというメリットもある。

スクラム・スタジオの切り開く未来が楽しみだ!

いずれの発表も、非常に具体的で、すでに日常が変わりはじめているスピード感を感じた。

スクラム・スタジオが提供する、シリコンバレー流の自由な発想、スピード感が、日本の大企業に変革を生み出していると感じられたのが素晴らしかった。

日本の大企業には、十分な資金も、情報も、そして行動力のあるヒューマンリソースもたっぷりあるのだ。ベンチャー企業の息吹を浴び、スクラム・スタジオと一緒に走りだしただけで、たった1年でこれほどの成果が出るのだ。

この発表が呼び水になって、さらに多くの企業が参画し、多くの投資が行われたなら、日本はもっともっと変わっていくだろう。そこにあるのは、国際競争力が下がり、高齢化に悩む日本ではないはずだ。豊富なアイデアと、行動力を持った、課題解決先進国日本。そんな未来が見える発表会だった。

(村上タクタ)

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PROFILE

村上 タクタ

flick! / 編集長

村上 タクタ

デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。

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