集中モードとウィジェットで、iPadがPCとも違う新たなデバイスに進化【iPadOS 15】
- 2021年07月27日
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iPadOS 15では、集中モードとウィジェットに注目だ
今回のアップデートでもっとも使い勝手が変わるのがiPadだ。
激変の原因は、集中モード(Focus)と、ウィジェットの採用。
集中モードは、iPhone、Macなどと連携して、通知の一切をコントロールするシステム。たとえば、仕事中は仕事に関する通知のみ。プライベートの時間は仕事に関する通知はしない、入眠が近づくとよほど緊急の用件以外は通知しない……などの設定を行う仕組み。
ウィジェットは昨年iOS 14でiPhoneに採用された、ホーム画面に表示できるミニアプリ。画面の大きなiPadでは、iPhoneよりも機能性の高いウィジェットが用意され、iPadの使い勝手が大きく変わる。
※この記事は、秋公開の、iPadOS 15のパブリックベータに基づいた記事です。Apple Beta Software Programで知り得た情報は、その内容について誰かに話したり、ウェブ記事にしたり、SNSに投稿したりすることは禁じられていますが、flick!は取材に基づく特別な許可を得て記事化しています。
集中モードで、仕事もプライベートも大切にできる
実際に集中モードを使ってみると、我々が日々いかに通知に翻弄されていたかがよく分かる。
仕事をしていても、誰かと話をしていても、iPhoneやApple Watchに通知が来ると、つい画面を見てしまう。これは『集中力』『効率化』という意味では、決して良くはないということは想像に難くない。筆者が自分自身の利用状況をスクリーンタイムでチェックしてみると、なんと1日平均230回も、通知によって画面を見るという動作をしていた。
集中モードを気に入った筆者は、原稿執筆のようなより長時間の集中が必要なタスクを行う場合のために『原稿執筆』というモードを作ってみた。すると、その間、一切の通知が来ないので、非常に効率は高まった。
もちろん、時間を決めて『原稿執筆』モードのを使ったあとは、普通の仕事モードにして通知を見ればいいのだから、仕事上もほぼ支障はない(考えてみれば、人と合っている時などは、1時間ぐらいは通知を見ないことはあるのだから、1時間通知を見なかったとしてもさほど困りはしないのだ。日々気にしてしまうが)。
iPadの場合、さらに、この集中モードと、ウィジェットを連動させることができる。
仕事の時は、仕事用のウィジェットばかり表示したホーム画面を、プライベート時にはプライベート用のウィジェットばかり表示したホーム画面を表示するように設定できるのだ。やってみると、これがiPadの使い勝手を大きく変化させる。
マルチタスクも、これまでより使いやすくなる
次に大きな変化はマルチタスクの『見える化』だ。
みなさんは、これまでのiPadのマルチタスク、つまりSplit ViewやSlide Overを使いこなしてらっしゃっただろうか?
たしかに、便利な機能ではあるが、アイコン操作などが複雑で、どうも『Split Viewをするぞ!』というところに意識を集中せねば画面分割などをスムーズに行うことができなかったのではないだろうか?
新しいマルチタスクでは、小さい操作用の目印や、アイコンが表示され、どうすればマルチタスクを使えるかを視覚的に表現してくれている。これにより、タスクの内容に神経を集中させていたとしても、スムーズにマルチタスクに移行することができる。
アプリスイッチャーなども表示に扱いやすくなり、画面下部には最小化されたウィンドウを表示し、操作を簡単にしてくれている。マルチタスクの『見える化』が今回の大きなテーマなのである。
iPad単体で、アプリの開発が可能になった
その他にも、Safariのタブグループ、FaceTimeの機能改善、クイックメモの採用、ショートカットの視覚化など、機能向上は枚挙にいとまがない。
マップの機能向上も、iPadにとって大きな変化だ。
さらに、もうひとつ大きなエポックが、iPad単体でSwiftのコーディングを行い、アプリをローンチし、Apple Storeへの公開まで行えるようになること。これまでは、iPadのSwift Playgroundsでコーディングを学んでも、実際に公開できるアプリを開発するためにはMacを買わなければならなかった。
また、iPad単体で、Macなしでできることがひとつ増えたということだ。
ますます、iPadの機能を拡大してくれるiPadOS 15のローンチが楽しみだ。
(村上タクタ)
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flick! digital 2021年8月号 Vol.118
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PROFILE
flick! / 編集長
村上 タクタ
デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。
デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。