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ニューノーマルの発表会取材はトラブルだらけ

※冒頭写真の発表会にトラブルがあったわけではありません。むしろ、この発表会は非常に上手にオーガナイズされていました。トラブった発表会の写真は……出せません(汗)

オンラインの発表会は難しい

みなさんの生活が変わったように、我々メディアの仕事・生活も大きく変わった。

なにしろ、いろんなところから集まって、現場に行って取材するというのが大切な我々だ。『現場に行ってはイケナイ』、『集まってはイケナイ』と言われては、仕事も上がったりだ。下の写真のような、人が大勢集まる発表会は、いまや基本的には行われない。

最近、感染者数も減って、徐々にリアルの発表会も行われつつあるが、それでも再開ペースはゆっくりだ。メディアが集まるのだから「あそこの企業は感染対策が杜撰だ」などとはいわれたくない。故に発表会はオンライン主体という状態が続いている。

そんなコロナ禍の状況に、もっとも困ったのが企業の広報の方々だろう。我々メディアを集めて発表会をするのがお仕事なのに、それができない。また、オンラインで発表会をするにしても、配信の段取りをしなければならない。メディアに告知して、そのオンライン発表会に来てもらわないといけない。

実のところ、発表会のトラブルというのもまま発生する。発表会が始まったけれど、映像が配信されない、音声が繋がらない……というので大パニック……という事件は少なくない。

我々フリック!は新参者なのでおとなしく待つが、大御所のメディアの方の中には、発表会の段取りの悪さに腹を立てて席を立つ……ではなくて、オンラインミーティングを退出してしまう人もいたりする。広報の方々としては、脂汗の流れる思いだろう。実際私も毎週YouTubeをやっているので分かるが、リアルタイムのイベントでの配信トラブルというのはなかなか皆無にはできないし、実際に起こると非常にパニクるものだ。

また、取材時に我々メディアが接続しようとしたら、繋がらない……ということもある。リンクが間違ってるとか、アカウントがないとか、微妙な接続トラブルで発表会にログインできないと、非常に焦る。

今回は、そんな新しい時代のオンライン発表会の中で、実際にあったエピソードをいくつかご紹介しよう。

複数の発表会を掛け持ちする強者も

まず、新製品発表会というのは、申し込みの時点から始まる。

日々、数多くの新製品発表会にご招待いただくが、こちらの身体もひとつなので、取材できる発表会は限られていた……以前は。

以前、リアルの発表会が数多く開催されていた頃は「いやー、申し訳ありません。先に取材が決まっておりまして……」ということが数多くあった。

基本は先約優先なので、後からアポが入ったからといって、先に入ってる約束事を反故にすることはまずない(我々にとって、例外がひとつだけある。後から入ってこようがどうしようが、記事として優先しなければならないあの会社だ。しかし、この話はまた別の機会……(笑))だから、1日にできる取材は、午前、午後、各一件ずつぐらいだった。運良く会場が近かったり、夕方などにズレている発表会があれば3件……というところだ。

しかし、オンラインの発表会となると、複数入れられる。うっかりすると、5つも6つも入れられる。私はそんなことはできないが、すご腕のフリーランスライターの方の中には、複数のウィンドウやデバイスで、同時に行われる複数の発表会に出るなんていう人もいるらしい。

現状発表会にもいろいろあって、動画コンテンツが流れるだけのところもあれば、Zoomのようなオンライン会議システムで、我々メディアも顔を見せて、インタラクティブに進行するものもある。慣れてくるにしたがって、メディア側は顔出ししないパターンも増えてきた(部屋が散らかってるとか、部屋着だとか、女性だとお化粧をしていないからとかいう理由もあると思う)ので、そういう複数発表会参加という人も増えているのかもしれない。

しかし、そもそも私の体験としては、発表会に参加しすぎると、記事を書く時間の方が先に枯渇する。1日に書けるのって、1〜2本。せいぜい頑張って3本ほどだ。時間がなくなって鮮度が落ちるとニュースとしての価値も落ちるから、結局のところたくさん発表会に参加しても書けなければ意味がない。

発表会を一般公開された場合、我々メディアが書く意味がなくなる場合も……

大企業になってくると、発表会も大掛かりになってくる。たとえば、アップルの発表会のように完全に動画仕立てになった発表会も増えた。

そうなると、企業さんの方は「より多くの人に見てもらった方がいいんじゃないか?」ということで、発表会を一般の方に公開するパターンも一時増えた。これだと、メディアを通さずに情報発信できるから、曲解されることもない。

ところが、こうなると、我々メディアは記事を書く必要がなくなる。なにしろ、直接、動画で発信されている情報なんだから、いちいちそれを書いたって読む人はいない。ならば執筆時間を他の記事に使った方がいい。しかし、そうなると、ニュースとして発信される情報が減る。スマートニュースやYahoo!にも採り上げられなくなる。

そもそも、1時間とかの発表会を、仕事でもないのに見ている一般の人が退屈しないように構成するのはかなり難しい。それこそ、アップルのような一挙手一投足が注目されている企業が、莫大なコストをかけて映像を作るなら成し得ることだ。というわけで、このパターンは減っている気がする。

恐ろしい配信トラブル

ビデオ会議システムの発表会でのトラブルも尽きない。

通常、チャンネルを切り替えたり、プロモーション動画を流したりするために、一般のビデオ会議よりは複雑な仕組みで配信されることが多い。そこでトラブルが発生する余地が生れてくる。

音声が聞えない、動画が流れない、海外の出演者と回線が繋がらない……数十人のメディアを集めた発表会で、ちゃんと映像が流れない……というトラブルが発生したまま30分ほどが経った事もある。取材に来ている側も、次のスケジュールなどもあるから、延長されると困る場合も多い。ともかく、30分も「少々お待ち下さい」と言われると困る。

僕のきままなYouTubeでさえ、音声トラブルがあると血の気が引くのに、現場担当者の心痛いかばかりか……とは思うが、それでも発表会の間に適切な情報がもらえないと、我々も記事の書きようがない。誰も彼も慣れないオンライン発表会なのだから、現場の方も大変だろうとは思うが、やはり配信トラブルはなかり困る。30分のグダグダが続いた発表会は2件ぐらいしか経験はないし、現場の人に同情は申し上げるが、やはり心証はよくない。

一方、逆のパターンもある。

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PROFILE

村上 タクタ

flick! / 編集長

村上 タクタ

デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。

デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。

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