テント泊山行ですぐに使える!知って得するテントTips16
PEAKS 編集部
- 2020年04月26日
INDEX
テント山行で起きがちなアクシデントの対処法や家に帰ってからの簡単メンテナス方法。テント泊ですぐに役立つ情報を紹介します。
Tips1 壊れやすい道具の収納方法は?
テントで寝るとき、枕元にメガネなど壊れやすいものを置くと、誤って踏んでしまう可能性がある。だからといってわざわざメガネケースに入れるのも面倒だ。そんなときはテント内に物干し場を作るのが便利。
テント天井部にあるループに細引きをかけるだけで簡単に作れる。メガネだけでなく、濡れたハンドタオルや時計、ライトをぶら下げておいてもいい。細引きをつけたまま収納もできる。(イワタニ・プリムス広報:金牧秀明さん)
Tips2 朝露や雨で濡れたテントを手早く乾かす方法は?
濡れたまま撤収すると重たくなってしまうので、水分はできるだけ拭き取って収納したい。朝、出発までたっぷり時間をかけられるのなら太陽に当てて乾かせばいいが、すぐに出発する場合も多い。手ぬぐいや速乾タオルで水分を拭き取るよりも、手早くできるのはキッチン用品だ。
ふきんや食器用スポンジなど、水回りで使うアイテムは吸収率と速乾性に優れているし、コンパクトで軽量。ひとつあると非常に便利!(イワタニ・プリムス広報:金牧秀明さん)
スポンジはテントを傷つけずに水分を拭き取れる。台拭きよりも乾くのは速い。また、小さく潰せるため、省スペースに収納可能。
ふきん(スポンジワイプという商品がとくにおすすめ)でもOK。吸水力があり、片手でギュッと絞るだけでもすぐに乾く。
Tips3 テントが汚れたら洗濯してもいいの?
テントは家庭で洗濯OK! 汚れがついたままだと撥水性も落ちるし、劣化の原因にも。洗濯するときに注意したいのは、洗剤。撥水性が落ちてしまうので、柔軟剤などが入っている洗剤はNG。一般的な中性洗剤でもいいが、できればレインウエア用の洗剤がいい。洗濯機は使わず、風呂に水を溜めて押し洗いをする。ただ本体を洗うとなるとかなりの重労働なので、洗剤をつけたスポンジを使い、汚れをピンポイントで洗うといいだろう。
洗濯後は、入念に乾燥させるのが重要。全部を洗った場合は、しっかりと乾くまでに数時日かかかると思ったほうがいい。濡れたまま収納するとカビの原因になるので、必ず完全に乾燥させよう。
ニクワックス/Loftテックウォッシュ
撥水性を落とすことなく汚れを落とせる洗剤。洗濯する際は、ファスナーをすべて閉じよう。1ボトルでテントひとつぶん。
Tips4 撥水が落ちたら、レイン用の撥水スプレーを使ってもいい?
問題なし。テント内に雨が染みこんでくるようなら、透湿防水素材用の撥水スプレー、もしくは撥水剤を使おう。全体の汚れを拭き取るか、洗濯してからのほうが効果的だ。
撥水加工したあとすぐに収納せず、乾燥させることを忘れずに。撥水加工は、メーカーでもしてもらえる。例えばモンベルのテントなら直営店に持ち込めば有料でメンテナンスが可能。撥水性が落ちないよう、使い終わったら必ず乾かそう。
ニクワックス/TX.ダイレクトWASH-IN
浸け置きタイプの撥水剤。風呂に水といっしょに撥水剤を入れて10分ほど浸け置きし、すすぐ。水が濁らなくなるまでやろう。
トコ/テント&パック プルーフ
テントやバックパック用の撥水・耐汚スプレー。ゴアテックス素材にも使用できる。全体にまんべんなくスプレーしよう。
Tips5 山行中にテントが破れたときに便利なアイテムはなに?
ガムテープよりも粘着力と強度が高いダクトテープがおすすめ。表面をポリエチレンでコーティングしているため、湿気と摩擦に強い。手で簡単に切れるのもポイントだ。水も通さないのでフライが破れた場合もしっかりと貼れば、そこから水が入ってこない。ポールやシューズなど多用途に使える。(モンベル広報部:設楽文昭さん)
SOL/ダクトテープ
登山用品店で購入可能。非常に丈夫なので、応急処置アイテムとして大変優秀。ひとつ携帯しておけば何にでも使える。
ポイント
裏面をライターで軽く炙ると粘着力アップ! 炙りすぎると引火する恐れがあるので注意が必要。
Tips6 テントをキレイに張る方法が知りたい
テントをキレイに張るには「張り綱を長く遠くにする」のがポイント。可能な限り、張り綱のペグダウンする位置をテントの中心から離し、自在を使ってテンションをしっかりとかけて固定すること。ペグが刺さりにくい場所では、木に巻き付けたり石を使ったりして固定しよう。
設営時に風が弱いからといって、本体のペグダウンだけで安心して張り網を張らないのは危険。本体を固定してから張り綱を張るのが基本だが、強風時は風上から先に固定するなどの工夫も必要だ(新井知哉さん)
OK!
ペグダウンする位置を離し、張り綱をたるませないこと。テンションが高ければ、フライに張りが出て、雨などが下に落ちやすい。
NG!
張り綱にたるみがあると、フライを十分に引っ張れず、テンションがかからない。また、雨水が本体に染み込みやすくなってしまう。
Tips7 抜きにくいペグを簡単に抜く方法はある?
輪っかにした細引きを使うと女性でも簡単に抜ける。テントの張り綱で抜いてもいいが、テンションがかかりすぎて、劣化する可能性もある。荷物になるものではないし、細引きはほかの用途にも使えるので、おすすめ。
V字ペグのように、テントの張り綱を引っ掛ける溝が深いものは、その溝に別のペグの溝を引っ掛けて抜く方法もある。引っ張る前にペグをグリグリと回して刺した穴を広げておくと、さらに抜きやすい。また、ペグのヘッドに穴が開いているものは、事前に細引きをつけておくといいだろう。逆に刺すときは、少し大きめの石を使うと簡単だ。
Tips8 どのカタチのペグが使いやすいの?
テント場の地面環境によって、使いやすいペグは異なる。どれかひとつよりもいろんなカタチのペグを準備して、応用するのも手。打ち込みやすいテント場でも、場所によって地面のなかに石があることもある。とくに初めて行くテント場はどんな地面なのかわからないので、応用できると重宝する。(低山小道具研究家:森勝さん)
ぼくの場合は、アライテントの「スティックペグ」と「スクリューペグ」を4本。クギのように細いペグを2本。X字を2本の基本の12本として装備。
Tips9 壊れたテントは、どこで直してもらえるの?
登山用品店もしくは、メーカーの直営店に持ち込めば基本的に修理可能。折れたポールは交換できるし、破れたテントは穴をしっかりと塞いでもらえる。新しいテントを買う前に一度、相談してみよう。テント以外にシュラフマットやシュラフも修理してもらえる。(モンベル広報部:設楽文昭さん)
Tips10 テント泊に有効なロープワークは?
テントを固定できるロープワークを覚えておくといい。アンカーするときや張り綱が切れてしまったときにも活用できる。細引きの太さは3㎜が一般的だ。長さは1mほどあるといいだろう。結び目にヨレがあると十分な強度を維持できず、逆にトラブルになることも。山で実践する前にしっかりと覚えることも重要である。
固定式(もやい結び)
固定結びの王様。強度、結びやすさ、解きやすさ、すべてにおいて優秀な結び方だ。木に固定したり、輪を作ったりできる。
①ロープを結ぶものに回し、左手ロープに左ねじりで輪を作る。
②右手ロープを作った輪の下から通して左側に引っ張る。
③右手ロープを輪より手前の左手ロープの下から上に通す。
④右手ロープを輪の上から戻す。奥に引っ張ったら、完成。
⑤奥が上回り、手前が下回りになる。右手ロープを引けば解ける。
可動式 (エンバスノット)
結び目が自在に動き、すばやく縮まる結び方。ロープにテンションをかけられ、アンカーで岩に固定するときなどに便利である。
①人差し指と中指にロープを乗せる。人差し指側を長めにする。
②人差し指側のロープを2本の指ごと右回りに巻きつける。
③人差し指側のロープを親指ごと右回りに巻いて、引っ張る。
④最初に作った輪のほうに人差し指側のロープを入れる。
⑤結び目が可動。巻きつけロープを長くすれば輪も大きくなる。
Tips11 テントをコンパクトに収納する方法はある?
標準装備されている収納用スタッフバッグに余裕がある場合には、小さい防水スタッフバッグに移し替え、コンプレッションをかけながら収納するといい。しかも防水なので、雨で濡れてしまう心配もない。濡れたテントをしまっても、ほかの荷物を濡らさないのだ。ただし、スタッフバッグのサイズを小さくしすぎると撤収に時間がかかる場合も。サイズ選びは慎重にしよう。
↓
標準のスタッフバッグでは縦長だったものがだいぶコンパクトに! シルナイロン素材のテントは小さくなりやすい。
Tips12 複数人のときや寒い季節には、ひとつのテントで!
仲間同士で山に行くときでも、それぞれがソロテントで行きがちだが、たまにはテントをひとつにしてみんなで泊まってみては? テントを共同装備にすれば荷物の軽量化にもつながるし、なによりひとつのテントで仲間とワイワイする時間はとても楽しいですよ!(山岳ガイド:佐藤玲奈さん)
Tips13 フライの素材もいろいろあるんです
ひと口にテントの素材といっても、モデルごとに重視する特徴に合わせて各社さまざまな素材を使い分けている。軽さを重視したモデルには薄く軽いもの、耐久性を重視したモデルにはデニール数の高い丈夫なもの、用途に合わせて各社が開発したオリジナル素材、さらに数種類を組み合わせたものまである。テントの構造と並んで個性が出る要素なので、単純にスペックや重量だけに目を奪われてテントを選んでしまわぬよう、お気をつけあれ。
厚手のナイロン
デニール数の高いナイロン素材は耐久性と防寒性を重視したモデルに多く採用される。丈夫で安心感のある反面、重量はそれなりの覚悟を。
薄手のナイロン
デニール数が低いナイロン素材は軽量モデルを中心に採用される。耐久性の低さを補うために、出入口周辺のみ厚手のものを使うこともある。
オリジナル素材
用途に合わせ自社素材が使われることも。写真はヒールバーグのケルロン。風に強いことが売りのテントに耐えられるよう強度が高い素材だ。
キューベンファイバー
この数年、ある用途に特化した素材を採用するモデルも増えてきた。写真はキューベンファイバー。超軽量、かつ強靭だが、通気性はもたない。
Tips14 岩場のテント場で、しっかり固定する方法が知りたい!
岩を使ってテントを固定する場合、張り綱だけでは長さが足りないこともある。そのときは、細引きを張り綱に接続して、長さを出す。長さがあれば、しっかりとテンションがかけられるし、大きな岩にも固定しやすくなる。いろんな長さの細引きを何本か持っていると、いざというときにいろいろと役立つ。太さも何種類かあるとよい。(低山小道具研究家:森勝さん)
Tips15 快適なテント泊の基本は整理整頓から
テント生活を快適にするには、「整理整頓」が第一! 無駄なくギアを配置することで、作業を効率よく安全に行うことや、撤収を迅速に行うことが可能になる。時計はここ、ヘッドライトはここ、と自分のなかで置く場所のルールを作って習慣にしておくといいだろう。(DECEMBER店長:菊地大二郎さん)
Tips16 「枕元に水」が安眠のポイント
夜中にトイレに行きたくないから、と水分を控えすぎるのはじつは間違い。就寝時に人間の体は軽い脱水症状になってしまう。寝る前に必ず枕元に飲み水を用意しておき、夜中に目覚めたときにひと口飲むだけで眠りが深くなるのだ。(四角大輔さん)
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文◉中山夏美 Text by Natsumi Nakayama
写真◉山本 智、落合明人 Photo by Satoshi Yamamoto, Akito Ochiai
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PROFILE
PEAKS 編集部
装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。
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