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ソロテントを選ぶときに注目したい6つのポイント

北アルプス・ソロトレッキングに向いたテントとはどんなものだろう? 見るべきディテールのポイントを6つ解説しよう。

文◉森山憲一 Text by Kenichi Moriyama
写真◉宮田幸司 Photo by Kouji Miyata

POINT.1 ひとりでも2人用テントを選ぶのもあり

ソロ山行だからといってソロテントばかりに注目してはいないだろうか? じつは、1人用テントと2人用テントは重量差がそれほど大きくない場合が多い。ほとんどのモデルでその差200g 前後だ。

1人用テントの室内。ひとりが横になれるスペースのみで、余裕はほとんどない(モンベル・ステラリッジテント1)。

写真のモンベルのテントの場合、わずか90g 差。となると、居住性が格段によくなる2人用テントを選ぶのは大いにありだといえる。しかも、2人用テントならふたりで使うこともでき、使用範囲が大幅に広がる。テントを選ぶ際は、2人用モデルもぜひチェックしてみよう。

同じテントの2人用モデル。横幅が40㎝増えるだけで、利用できる空間は大幅に広がる(モンベル・ステラリッジテント2)。

POINT.2 出入り口の方向違いによる使い勝手の違い

テントの出入り口は、長辺(幅の広い側)に設けられているものと、短辺(幅が狭い側)に設けられているものの2種類がある。長辺側のメリットは、出入りがしやすいことと、前室を広くとれること。短辺側は、一般に重量を軽くすることができることと、狭いスペースでも張りやすいこと。

長辺側に出入り口を設けたモデル。前室が広く、雨の日でも炊事などがやりやすいのがありがたい(ニーモ・アトム1P)。

つまり、ゆったり山行派には長辺側が向き、ハード志向派には短辺側が向いていると、大まかに分類できる。現在の無雪期用テントはどちらかというと長辺側が主流になっている。

短辺側に出入り口を設けたモデル。出入りがしづらいが、狭い場所でも張りやすい(モンベル・ステラリッジテント1)。

POINT.3 非自立式は北アルプスでは不利

張り綱を張らないと自立しないテントを「非自立式テント」という。ワンポールでも立てられるので重量的に軽くできるのが最大のメリットで、がっちり張れば意外なくらい風にも強い。ただし、北アルプスのテント場は地面が岩がちでペグが使えない場所も多い。

張り綱をしっかり張れば、居住性も耐風性もかなりのもの。

ペグを使わずに張り綱をしっかり張るのはそれなりにテクニックが必要で、場所によってはどう工夫しても難しい場合もある。使いこなす自信と技術がある人以外は、北アルプスでは避けたほうが無難だ。

しかし、張り綱にしっかりテンションをかけられないとこのようになり、一気に風にも弱くなってしまう。

POINT.4 メッシュインナータイプはありか?

インナーテントに通気性のあるメッシュ生地を使用したもの。テント重量を軽くできるうえ、樹林帯の中低山などでは涼しくすごすことができて快適だ。ただし、標高2,000 ~ 3,000m 級の北アルプスのテント場では、夏といえど日によっては寒く感じる。

通常のインナーテント

テント生地には耐水加工なども施され、薄手であっても通気性は低めで、そのぶん室内の保温性が高くなっている(モンベル・ステラリッジテント1)。

そのために防寒着や寝袋を暖かいものにしていては、軽いテントを選んだ意味がなくなってしまう。北アルプスなど標高の高い所での使用をメインに考えるなら、メッシュではないタイプのインナーテントのモデルのほうが有利だ。

メッシュインナーテント

メッシュ生地の割合が多いほど保温性は低くなる。写真は上半分がメッシュになった「ハーフメッシュ」というべきモデル(MSR・ハバNX)。

POINT.5 シングルウォールのメリットとデメリット

防水透湿素材を使用することで、フライシートを省略したモデルがシングルウォールテント。フライシートがないため軽く、設営も非常に簡単。フライシートありのダブルウォールテントに比べると、設営スピードは3分の1くらいだ。

ダブルウォールテント

フライシートで覆われた前室があるため、雨の日でも炊事がしやすく、テント内に持ち込みたくない汚れものなども置いておける。
広めの設営スペースが必要。これでもコンパクトなほうだが、シングルウォールに比べると倍の面積が必要(プロモンテ・VL-16)。

とにかく軽くしたいときや、設営場所を得にくいバリエーションルートなどでは利用価値が高い。ただし、一般に居住性・快適性はかなり下がることになるので、そこは割り切って使うことが必要になる。

シングルウォールテント

前室がないため、雨の日は非常に使い勝手が悪い。登山靴などの汚れものもテント内に入れなければいけないのがかなり不便だ。
ごく狭い場所でも張ることができる。設営場所が整備されていないバリエーションルートなどで使いやすい(プロモンテ・VB-10)。

POINT.6 重量数字ばかりにとらわれるな

ソロテントを選ぶ際に重量はかなり気になるポイントだと思うが、ひとつ注意を。現代の軽量テントは、本体生地を薄くすることで軽くしているものが多く、生地強度は昔のものより低下傾向にある。

フットプリントの重量はソロモデルでも100~ 200g。考えなしに使っていると、軽いテントを選んだ意味がないことに。

それをカバーするためにフットプリント(グラウンドシート)などのオプションが用意されていたりもするが、それを使っては、軽いテントを選んだ意味が薄れてしまう。目立つ数字ばかり見るのではなく、トータルで考えよう。

薄いフロア生地

15デニールの極薄生地。尖った石などには弱いので注意が必要だ。

丈夫なフロア生地

75デニールというかなり厚めの生地。重量は増すが、安心感は高い。

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PEAKS 編集部

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装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。

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