蓼科山頂ヒュッテで、ゆく年くる年滞在記
PEAKS 編集部
- 2020年12月23日
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山好きなら一度は行ってみたい、年越し登山。だけどせっかくの休みなら、身体を休めてのんびりすごしたい。八ヶ岳は最北端、悠然と佇む蓼科山の山頂に、ジャズの流れるランプの小屋がある。冬のあいだ、大晦日と元旦のたった2日間だけ開くその小さな小屋にくつろぎのひとときを求め、酒と肴を担いで向かった。(アウトドアライター/中島英摩)
「年越し取材に行きませんか」
声をかけたのは私のほうで、編集部の阿部さんがその誘いにのってくれた。私は数年前から、年末年始を山ですごすようになった。山小屋の年越し営業は登山愛好家に大変人気で、どの小屋もあっという間に予約が埋まる。大晦日だけは夜更かしオーケーで大宴会ができる特別感がたまらない。厳冬期にわざわざ集まってくるマニアたちとすごす年越しを経験して以来、すっかりやみつきになってしまった。今年は“どこで”年越しをしようか。
今回、私たちが向かったのは八ヶ岳最北端にある蓼科山。標高は2531m、諏訪富士とも呼ばれる円錐形の山容は山麓からも目立つ存在だ。八ヶ岳には年末年始営業を行なう小屋がほかにもいくつかある。なかでも蓼科山は駐車場のアクセスと短めのコースタイムがいい。七合目登山口の麓はスキー場で、駐車場が広く、売店や日帰り入浴の温泉もある。
スキー客で賑わう白樺高原国際スキー場の駐車場へ車を停め、ゴンドラリフトに乗りこむ。ゴンドラの山頂駅から小屋までのコースタイムは雪のない時期で約3時間。蓼科山は、初心者向けといわれることもあるが、山頂直下に長い岩場の急登があり想像よりも甘くないコースだ。雪が付いているとなればなおさら。念のため、4~5時間かかってもいいようにと朝早くから登り始めることにした。
近年、地球温暖化の影響なのかいまいち雪の具合がよろしくない。どかっと降ったかと思えば、しばらく降らない日々が続いたりと、もどかしいシーズンが続いている。でもこの日は、数日前にまとまった雪が降ったうえに2日間晴れ予報という絶好の登山日和。歩き始めて間もなく白い森が私たちを迎えてくれた。標高を上げるにつれて雪が増えていき、キュッキュッと鳴る自分の足音に聞き入る。思わずにやけ顔になり阿部さんを見るとやっぱり同じ顔をしていて笑ってしまった。待ちに待った雪山シーズンだもの。心が躍って仕方ないのだ。
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文/中島英摩 Text by Emma Nakajima
写真/荒木優一郎 Photo by Yuichiro Araki
取材日/2018年12月31日〜2019年1月1日
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PROFILE
PEAKS 編集部
装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。
装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。