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ひとり登山って、どうですか?|ソロだからこその楽しみと、その代償とは。<前編>

どこまでも自由な単独行こそが、最高の登山スタイル? いや、ソロだからこその苦労も絶えないはず。ひとりで山に行くことの意味を、3人のソロ好きに語ってもらった。

文◉編集部 Text by PEAKS
写真◉宇佐美博之 Photo by Hiroyuki Usami
出典◉PEAKS 2020年9月号 No.130

ディスカッションしてもらった三人はこちら!

カリマー プレス/大和田園子さん(左)

カリマーのプレスアシスタントの傍ら、ヨガインスタラクターとしても活動中。ヨガは山など野外での講習を中心に開催。ひとりで行って自由に歩き回る山行スタイルが好き。

登山YouTuber/イタガキ▲さん(中)

ミラーレスカメラとアクションカムを使ったライブ感の強い登山動画を制作しているユーチューバー。山行は日帰りとテント泊が主体。YouTubeチャンネル「ITAGAKI.TV」。

カモシカスポーツ 山の店・本店 スタッフ/茂垣亮馬さん(右)

2012年、カモシカスポーツ入社。トレイルランニングをしていることもあり、登山でもファストパッキング的な山行が多い。地元の東京・町田から近い丹沢がホームマウンテン。

ひとりで山に行く理由

――みなさん、山にはよくひとりで行かれますか?

大和田 休みがあって天気が良かったら、ふらっと山に行きたくなってしまうんです。そうなるとやっぱりひとりになりますよね。仲間と行くのも好きですけど、ひとりのほうが自然をよく観察できたり、写真を撮ったり、人に気を使わずにゆっくりすごせるのがいいんですよね。

茂垣 僕もひとりは多いです。休みを合わせるのが、ひとつハードルなんですよね。基本的に平日休みなので、なかなかみんなと合わせにくくて……。でも、休みを合わせられそうだったら、仲間といっしょに行きます。楽しい、気持ちいい、ご飯がおいしい、といった山でのいろんな体験を共有できるのは、仲間がいてこそですよね。もちろん、ひとりも好きです。黙々と歩いて自分と向き合うのも、気持ちいいですね。

イタガキ 僕も土日が休みにくいので、90%くらいは平日の山行。そうなるとやっぱりソロになりますね。グループで行くことはめったにないんですけど、ユーチューブをやっている山仲間と登りに行ったときは良かったです。他の人とカメラの話をしながら登るのが本当に楽しくて(笑)。みんなカメラを持って、各自が好きに撮っているんですけど、おたがい撮りあったりもして、それはすごく新鮮でした。ただ、このときの感覚としては、おのおのが好きに楽しんでいて、ソロ登山をグループでしているような気分でした。純然たるグループ登山というのは、したことがないかもしれません。僕の中で基本的に登山は、「ひとりで行くもの」という感覚なんです。

ただ、難しい場所なんかはまた別ですね。前に甲斐駒ヶ岳の黒戸尾根に登ったんですが、それはガイドさんのプライベートツアーに同行させてもらったんです。そのときは、「ガイドさんがいるから付いていけば登れるんだな」っていう人任せな気分だったんですね。その日、寝袋は貸してもらえるということで待ち合わせの場所に行ったんですが、想像以上にデカくて重たい化繊のものを渡されて「入るかな……」と思いながらもなんとかパッキングしました。行動中は事前に地図をあまりチェックしていなかったのもあり、とにかく「付いていかなきゃ」って。

あんまり主体的に楽しめる感じじゃなかったんです。そのとき、山行を人任せにしちゃうのはまずいんだなと思いました。あと、両神山に十数人のツアーで登ったこともあるんですが、それもとにかくみんなで並んで頂上を目指すって感じで、あまり楽しめなくて……。そういう体験もあって、よりソロ志向が強くなりなりましたね。

大和田「ひとりだと、静寂とか、自然との対話のようなものを楽しめるんです」

ソロだからこその失敗談

――ひとりで山に行って失敗したことはありますか?

イタガキ 南アルプスのアサヨ峰に行ったときなんですが、北沢峠から栗沢山を通ってピストンで帰ってくる予定が、頂上から反対方面に行ってしまったんですよね。山頂で「よし帰るぞ」と歩き出したとき、その先の道を来たときと同じ道だと思ってしまったんです。気づかずしばらく進んでしまいました。でも、途中で「知らないぞ、この道。まずいかも」と思い始めて……。それで携帯の地図アプリで現在地を確認して、やっと逆方向だとわかったんです。ひとりだからこその、思い込みによるミスですよね。そもそもが方向音痴なんで、それからはスマホやスマートウォッチなどを駆使しつつ、分岐では指差し確認しながら行動するようになりました。

茂垣 僕は思いつく失敗はないですが、正直ひとりで寂しいなって思うことはありますね(笑)。平日に行くことが多いので、山に行っても人が少なくて、急に山の上でポツンとなって、「いま、ひとりだ。寂しいな……」って感じちゃうんですよね。ここでなんかあっても、週末まで気付かれないのかなと思ったり。去年ジャンダルムにひとりで行ったんですが、前も後ろもだれもいなくて、いま落ちちゃったら、いつ、だれが気が付いてくれるのかなと……。事故のリスクを考えたりして、ひとりで心細くなるときは多いですね。だから、ソロのときのほうが、行動が慎重になります。グループだと人任せになっちゃうときもありますが、ひとりで行ったら自分で全部考えないといけないですから。

ただプランニングに関しては、コースタイムで1日10時間の行動にするとか、ひとりだからこそ動きやすいという面もありますね。グループだと体力差があって、10時間のコースタイムを基本にするとか難しいですよね。でも、ひとりだとサクサク歩いてそれくらい普通に行ける。もちろん前提として、自分でしっかりルートを考えて、必要なものも忘れないようにしていきますが。

――だれかと行く場合には、行く山だったり、タイムスケジュールだったり、譲歩しないといけないこともありますよね。

茂垣 もちろん、だれかと行く場合には、その人のレベルとか体力を考えて場所や行程を考えないといけないですよね。逆にいっしょに行くのが自分よりレベルや体力が上の人だったら、レベルを下げてもらうか、場所自体を変えるか、場合によっては「心配なんで、今回はやめておきます」と言うこともあります。

――大和田さんはなにか失敗はありますか?

大和田 私もソロ登山を始めたころに道迷いをしかけました。八ヶ岳で双子池から北横岳に戻るところだったんですが、違う道を歩いちゃってたんですね。そのときは、「八ヶ岳だし、わかるでしょ。道標もこっちだったし」と過信していました。それですごく反省して、それからは地図をしっかり見るようになりました。いまは地図アプリも便利ですが、万が一のことを考えると地図が読めないといけないなと思ってるんで、読図も勉強しましたね。それからは、大きな失敗はないです。

――大和田さんは山で寂しいと思うときはないですか?

大和田 私はあんまりないかもしれないです(笑)。海外なんかもひとりで行ったりしますし。寂しいというよりは、むしろひとりだと静寂とか、自然との対話のようなものを楽しめるという感覚です。でも、もちろん友達と行くのも好きですよ。茂垣さんと同じで、思い出を共有できるのがいいなって。友達と「あのときの山、楽しかったね」とか話せますしね。ひとりで写真を見返しても、そのときの会話などを思い出すんですよね。

イタガキ 仲間との登山を思い出すたびに、山への思いも復活するんですね。

大和田 思い出が引き金となって、また「山に行きたいな」という気持ちになりますね。残念ですけど、ひとりだとそういう体験の共有はないですよね。でも、より濃厚な時間をすごせるという良さはあります。天候が荒れてきたり、なにか異変があると、相談できる相手もいないのでちょっと不安になりますが……。

大和田さんの愛用ギア

しっかり背負えるカリマーのアタックパック

テント泊ならたいてい持っていくカリマーのアタックパック。ショルダーハーネスがしっかりした作りになっていて、長時間背負っても肩が痛くなりにくい。

女性だからこその日よけグッズ

日よけのためのサングラスとアームカバー。サングラスはオークリー、アームカバーはカリマーのもの。バックパックのすぐ取り出せる位置にしまっておく。

緻密なスタッキングのクッキングツール

いつでもどこでもコレというクッキングツールのセット。ポイントはフタ代わりのコールマンのカップ。深さがあり長いカトラリーを入れてもしっかり収まる。

山を楽しむための三種の神器

右上から時計回りにフィルムカメラ、双眼鏡、ラジオ。ミノルタのカメラは山中のスナップ用。双眼鏡はおもにバードウォッチング。ラジオは夜のBGM用に。

ひとり時間のすごし方

――ひとりのとき、テント場ではどうやってすごしていますか?

大和田 夜はラジオを聞くことが多いですね。山のなかでも現地のローカルなAMラジオが聞くのが楽しいんです。あと、朝は起きたらヨガをしています。ちなみに、行動中はフィルムカメラで写真を撮ったり、鳥が多いところだったら双眼鏡で探してみたり。あと苔があるところだったら、苔図鑑を持っていって観察したりとか。結構ゆっくりすごしていますね。

茂垣 山を100%楽しんでいますね(笑)。

大和田 私はスピードハイクとかピークハントには興味がなくて、どんな行程で登るかとか、なにを楽しむかとか、そういうことを考えているので、遊び道具をいっぱい持っていきますね。

――茂垣さんはどうやってすごしていますか?

茂垣 夜はお酒を飲んで、たいてい19時ころには寝落ちですね。で、だいたい0時回る前に目が覚めて、寂しくなって眠れなくて……。そうしたら音楽聞きながらスマホで本を読んで、眠くなったら寝て、怖い夢を見て起きるっていうのがいつものパターンです(笑)。ひとりだといろいろと心配しすぎるのかもしれないですね。

イタガキ 僕もだいたい同じ感じかも(笑)。

――大和田さんもお酒を飲みますか?

大和田 お酒は弱いので、山だとほとんど飲まないんです。その代わりコーヒーを飲むんですが、豆から挽いて淹れたりしますね。

茂垣 楽しんでますね(笑)。

大和田 わざわざミルを持っていて、槍ヶ岳を見ながらとかロケーションにもこだわったり(笑)。

茂垣 イタガキさんは夜も動画撮影ですか?

イタガキ いや~、自分だけが楽しむ時間というのもほしいので、夜はほとんど撮らないですね。僕もやっぱりお酒を飲みながらすごすんですが、僕はラジオを録音したものを聞いたりします。

茂垣「プランニングとか、ひとりだからこそ動きやすいという面もありますね」

――やっぱりイタガキさんも寂しくなりますか?

イタガキ はい、寂しいです(笑)。

――男はみんな、寂しがりなんでしょうかね(笑)。

ひとりの食事とグループの食事

――ひとりのときの食事はどんな感じですか?

イタガキ 普段は簡素なものが多いんですが、去年の夏は涸沢ですき焼きを作って食べるという目標を立てて、凍らせた肉を背負っていったんです。でもテント場に着いて出したら、すっかり溶けて肉の色が変わっていたんですよね。それで、テントを立ててすぐ、ビールも飲まずにすき焼きをガーッと作って、一気に食べました。ひとりで凝った料理をしたのはそれくらいですね。普段は撮影に時間を使いたいので、効率優先で本当にサッと済ませる感じです。

茂垣 ひとりで行くか、仲間と行くかでかなり変わりますよね。ひとりだったらフリーズドライのカレーとか、お湯で戻すくらいのものですが、グループで行ったら自分が鍋を作ったりもするし、いっしょに作るってパターンも多いです。あとは一品ずつ作ってシェアしたり。朝ごはんにはフレンチトーストを作ったりとか。

大和田 おしゃれ(笑)。

茂垣 そういうの、ひとりだったらまずやらないですよね。朝も菓子パンとか、とりあえず食べられればって感じで、とにかく時間短縮という方向になりがちですね。ひとりでおいしいものを作って食べても、その気分を共有できないですし(笑)。

――大和田さんはひとりだとどんな食事ですか?

大和田 グループで行ったときにだれかが作ってくれておいしかったものを、ひとりで行ったときに作ったりしていますね。鍋、石狩鍋とか。

一同 石狩鍋!

大和田 すごくおいしかったんです。材料はサケの缶詰、ひとりぶんのカット野菜、フリーズドライの味噌汁、あとは甘酒。それを全部入れればできるんです。超簡単ですよ。食べたあとはそこにラーメンを投入してシメですね。でも、手を抜くときは抜きます。ときにはカップラーメンだったり。食べるものは状況によってですね。あと、小屋で食事を食べられそうな場合は、積極的に利用しています。

――ただ、ひとりでも食事を楽しもうという意識は強いですよね。

大和田 すいません、なんか私だけ楽しそうですね(笑)。

茂垣 食事まで完璧とは(笑)。

 

>>>【後編】ひとり登山の安全管理は? 装備はどう変わった?

ひとり登山って、どうですか?|ソロだからこその楽しみと、その代償とは。<後編>

ひとり登山って、どうですか?|ソロだからこその楽しみと、その代償とは。<後編>

2021年07月02日

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