大峰山脈・大峯奥駈道|百名山の八経ヶ岳、女人禁制の山上ヶ岳を連ねる信仰の道 〜その2〜
PEAKS 編集部
- 2021年05月19日
西日本の山のなかで、もっとも奥深く、歩き甲斐があるロングコースはどこになるのか? そのひとつの答えが、大峯奥駈道。奈良県を中心とする大峰山脈につけられた歴史ある古道だ。今回は、百名山あり、女人禁制の区間ありの、この山域の最重要区間を2泊3日で歩いた。
文◉高橋庄太郎 Text by Shotaro Takahashi
写真◉矢島慎一 Photo by Shinichi Yajima
取材期間◉2016年5月19日~21日
出典◉PEAKS 2017年5月号 No.90
>>その1はこちらから
これと同じ風景を古の修験者も見ていたのか?
一方で「狭義の大峰山」といえば、一般的には山上ヶ岳となる。定義が複雑で、なにやら難しい。
ともあれ、八経ヶ岳からの景色は格別。北を見やれば、先ほど通過してきた弥山に加え、これから向かう大普賢岳や山上ヶ岳も確認できる。さすが山域の最高峰だ。
奥駈道出合でデポしておいた荷物をピックアップし、行者還避難小屋へ向かう。草地のなかを蛇行する登山道の両脇には、ほどほどの高さの木々が心地よい間隔で立ち並び、歩いているだけでなんとも心地よい。
空は青く、眼下に広がる初夏の新緑は美しすぎる。エンドルフィンなのかα波なのか、詳しいことはともかく、なにやら自分が幸福感をたっぷり味わっている状態にいることだけはわかる。
ここは本当に、厳しい修行に使われてきた奥駈道なのだろうか?
あまりにも気持ちよい穏やかな登山道がいつまでも続いている。
行者還避難小屋前のテントで一夜を明かすと、上々の天気のなか、僕は行者還岳を経て、大普賢岳へと進む。
登山道には崩壊しかけた場所やクサリを使ってよじ登る険しい箇所も出現し、昨日に比べれば僕が当初抱いていた奥駈道のイメージに近い。
しかし、それでもハードさよりも心地よさのほうが上にあるような気がしてならない。
東西を深い山々で挟まれた大峰山脈は、歩いていても現代的な異物はほとんど視界に入らず、足元にあるのは歴史を感じる古びた碑やお札ばかりで、とても雰囲気がいい。
さらに、ときおり現れるピンク色のシャクナゲが目を楽しませてくれる。古の修験者も、こんな陽気の日には少しは心が緩んでしまったかもしれない。
すばらしい眺めの大普賢岳を越えると、次第に「女人結界門」が近付いてくる。じつは、この内側こそ、今回のルートで僕がいちばん楽しみにしていた箇所。なにしろ、その先にある大峯山寺を含む山上ヶ岳一帯は、女人禁制の神域だ。
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文◉高橋庄太郎 Text by Shotaro Takahashi
写真◉矢島慎一 Photo by Shinichi Yajima
取材期間◉2016年5月19日~21日
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PROFILE
PEAKS 編集部
装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。
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