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テント泊大好き野郎が山小屋泊に目覚めたワケ。

人嫌いの完全自立型のテン泊オトコが、ある日ひょんなことから山小屋に。それを機に、山と人が結びついた。「あの山にはあの人がいる」。そう認識するだけで、新たな山の魅力が浮き上がってきた。

文◉櫻井 卓 Text by Takashi Sakurai
写真◉飯坂 大 Photo by Dai Iizaka
出典◉PEAKS 2021年6月号 No.139

山と人が結びつく場所

山行はテン泊がメインだ。とくに若いころは完全自炊のテン泊オンリーだった。理由は単純。人見知りだったのだ。そんな人間にとって、知らない人に囲まれる小屋は、なんだか敷居が高かった。山小屋には独特なルールがある、なんてことも刷りこまれていて、気の小さい僕なんかは、粗相をするくらいなら、自由なテン泊をチョイスしたほうが気楽だった。

若いころにありがちな、自分すごいことやってます感に酔いしれていたというのも大きかった。ただのソロテン泊なのに気分はすっかり孤高の人。「小屋なんかに泊まったら、せっかく自然にいるのに興ざめでしょう」などとうそぶいたりして、いま振り返ると少々、いやかなり恥ずかしい。

そんな僕のテン泊至上主義が変わったのは、南アルプスにある、こもれび山荘の竹さんとの出会いが大きい。そのころ、山で会う人がことごとく山の話しかしないのに、少し辟易していた。「君のその装備、ちょっとアレなんじゃな い?」とか「俺はどこどこ行ったことある」的な山オジサンのマウンティングも、いまだったら「僕の一番高い山はエベレストですね(登ってはないけど知ってるだけ)」ってな感じでヌルッとかわせたりもするんだけど、そのころは、ただただウザったかった。でも、竹さんは違った。山男全開のその見た目とは裏腹に、山の話なんて一切しないし、説教臭いこともまったく言わない。驚くほどの博識で、本、映画、クルマ、 果ては総合格闘技談義まで、山以外の話で大いに盛り上がったのだ。自分自身、本の虫だったから知識量には自信があったんだけど、竹 さんには到底かなわなかった。

それ以降はなじみの飲み屋に顔を出す感覚で頻繁に訪れるようになった。人嫌いで避けていたはずの小屋が、いつしか人に会いに行く場所に変わったのだ。

最近では小屋の居心地が良すぎるあまり、痛飲。翌日の山行を取りやめてダラダラすごすという、自堕落な習慣も覚えてしまった。こもれび山荘をきっかけにして、ほかの小屋にもしばしば通うようになった。そうすると、小屋ごとの個性というものも楽しさのひとつだということに気付く。美味しいご飯で繋ぐ、小屋泊グルメ縦走も楽しんだ。さらには、小屋の人々と知り合うことで、山と人とが結びつき、下界にいるときに「あの山で、あの人はいま……」なんて柄にもないことを考えたりするようにもなった。

もちろん実質面のメリットも多い。小屋泊を選択肢に入れれば、装備立てやコース設定の幅も広がる。体力の低下を感じる今日このごろ、小屋泊にすることで、装備が減らせるというのもうれしい。その代わりに嗜好品ばかりが増えて、総重量が変わらなかったりもするんだけど……。さらには、ぐーたらしているだけで美味いご飯だって出てくるという実家感。土砂降りに見舞われた山行では、濡れたレインウエアを乾かせるなんていう、テン泊ではありえないぜいたくに身も心も蕩かされてしまった。純粋な宿泊場所という面以外に、登山道整備や人命救助なども担っている、日本の山小屋の山への貢献度は、世界トップクラスともいえるだろう。なんだよ山小屋、良いこと尽くしじゃんか。

いまや、山小屋滞在時には小屋のヌシのようにベンチに居座り、もっぱら読書。夜になれば若者を無理矢理捕まえて、お酒を酌み交わすようになった。気がつけば若いころにウザいと思っていたオジサンにすっかりなっている。

でも、それでいいのだ。

歳とともに楽しみ方が変わっていく。だからこそ山という趣味は一生モノなのだ。ただ、調子に乗りすぎて、山の老害とか言われないよう気をつけないとだな……。

出典

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PEAKS 編集部

PEAKS 編集部

装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。

PEAKS 編集部の記事一覧

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