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波乱万丈 白馬岳温泉旅物語 〜私たちがテントを担いだ4日間・後編〜

カメラマンも含め女4人で温泉と温泉をつなぐ縦走旅に向かった2019年夏。極楽のような白馬鑓温泉から最高の稜線歩きが待っている!と思いきや横殴りの雨風に見舞われた。テント泊初体験の2人は笑顔で旅を終えることができたのか? 波乱万丈の旅物語の後編をお届け。

>>>前編はこちら

波乱万丈 白馬岳温泉旅物語 〜私たちがテントを担いだ4日間・前編〜

波乱万丈 白馬岳温泉旅物語 〜私たちがテントを担いだ4日間・前編〜

2021年07月23日

文◉阿部 静 Text by Shizuka Abe
写真◉鈴木千花 Photo by Chica Suzuki
撮影協力◉モンベル
取材期間◉2019年8月10日〜8月13日
※白馬鑓温泉小屋は本年度は営業を行ないません。 営業再開は来年度からの見通しです。

山は冷たく耐えなければならないときもあれば、喜びや感動も与えてくれる。

真っ白でなにも見えない稜線。晴 れていれば絶景が楽しめたはずなのに……。

翌朝は昨夜の雨が嘘だったかのように空はケロっとした顔をして、爽やかな風と広大な雲海が出迎えてくれた。いつの間にか雲の上にまで至っていたことにおどろかされる。すべてが包み隠されてしまった景色のなかを歩いてきたものだから、突然ワープしてきてしまったような、唐突な風景に感じた。

私たちは陽が昇り始める前に白馬岳へ向かった。昨日もいくつかのピークを越えてきたはずだが、やっと山頂に立ったという心境。

ブルーの空に赤みが射し、ゆっくりと新しい朝が始まる。昨日の辛さから一変し、心を晴れ晴れとさせる北アルプスの絶景。山は冷たく耐えなければならないときもあれば、喜びや感動も与えてくれる。だから飽きずに魅了され続けてしまうのだろう。ここまでの道のりが散々だったとしても、この景色をみんなと共有できた。それだけで十分だった。

土砂降りの翌日は清々しい朝だった。白馬岳山頂付近でみんなで眺めた朝焼けと雲海が美しかった。その先にちょこんと見える剱の穂先。ここが北アルプスであることを思い出す。
朝日にきらめく縦走路をゆく。ああ、これぞ北アルプスの山旅だ!

明るい朝の光のなか、私たちは歩き出す。光がたっぷり降り注ぐ夏の稜線。鮮やかなグリーンと可憐な高山植物。ああ、これだ。これこそ夏の北アルプスの縦走登山。こんな景色を見せたかったんだ。ふたりの楽しそうな笑顔も見える。ああ、よかった!

不帰岳をすぎると、窪地に池が現れ立ち止まる。白馬にはサンショウウオが棲息しているらしく、つい池に見入ってしまう。

「あ! いたー!」

しほみんのうれしそうな声を聞きつけて、私たちも池の淵にへばりつく。よおく見ると小さな赤ちゃんサンショウウオが、何匹も水中を泳いでいる。山の固有生物に出逢えると、とたんにうれしくなってしまう私たち。山の魅力は景色だけじゃない。山は生きものにあふれ、好奇心をそそるパラダイスだ。

我ら生きもの大好き女子。固有生物には目がない。サンショウウオを必死に探すの図。
登山道には水場がいくつか点在するので把握しておけば水には困らない。なんだか楽しそうなしほみん。
下山途中で有紀ちゃんが大好きなトカゲに遭遇。すかさず早技でつかまえた有紀ちゃんは満足げな笑顔でトカゲを愛でる。おみごと!

最後まで波乱万丈な4日間。山々が、私たちを成長させてくれた気がする。

しばらく歩いていると、カメラマンの鈴木千花ちゃんの登りのペースがぐっと遅くなってしまった。どうやら高山病かなにかで、ずっと辛かったようだ。いつもパワフルでどんなスポーツでもこなしてしまう運動神経とタフさの持ち主である彼女が、こんなに苦しそうにしているなんて、ただごとではない。無理のないようにゆっくり進みたいが、この日のコースタイムがもっとも長く、8時間を超えるルートだった。しかも、撮影しながらだとなおさらかかってしまう。私は不安になった。もしかしたら、テント場に着く前に陽が暮れてしまうかもしれない。だけど急かせるわけにもいかない。少しでも早く、暗くなる前に到着できるように祈るほかなかった。

緩やかな清水尾根を下る。池塘や柔らかな山容が牧歌的で、北欧を感じさせる景色は白馬エリアならではだと思う。真正面には剱岳がずっと見えている。

薄闇が近づいていた。まだまだ山道は続く。地図で現在地を確認すると、あと1時間以上はかかりそうだ。足元がわからなくなってしまう前に、ヘッドランプを用意しておこうと伝える。みんな、元気を取り繕っているように見えたが、心のなかは不安でいっぱいだろう。そうこうしているうちにあっという間に闇に包まれ、早くも灯りを点灯させる。真っ暗のなか、ただただ必死に下山した。しほみんが先頭をきって勇ましく下山していく姿が、本当に心強かった。有紀ちゃんもがんばってそれに付いていく。私はだれもはぐれないように後ろからフォローする。

やっと山道を抜け、広い河原に出る。広い道こそルートから外れてしまう恐さがあるので慎重に道しるべを探し、GPSでルートにズレがないか確認をしながら歩みを進める。

ついに小屋の灯りが見える。どっと安堵した。よくがんばってきたねと、出迎えて野菜ジュースを差し出してくれた祖母谷温泉のおばちゃん。いままでの緊張の糸がぷつりと切れたのか、有紀ちゃんとしほみんは涙をぽろぽろと流しながら、怖かったよお〜と、声を漏らす。山中では強く見えたふたりも、やっぱり怖かったんだ。初めてのテント泊縦走で本当によくがんばっていたと思う。無事にたどり着けたことを喜び合い、4人で肩を抱き合った。

最後の目的地、祖母谷温泉。ここまでの道のり、いろいろなことがあって濃厚な旅だった。
旅の行程を思い出し、ウルっとまた涙する有紀ちゃん。みんな、本当によくがんばった!

冒険を終えたあとの朝は清々しかった。祖母谷温泉の湯船で疲れをたっぷりと癒して、それから河原に湧き出る野湯へと向かう。温泉と川が混じるちょうどいい温度のところを探して足湯を楽しんだ。石を組み上げて本気の浴槽を作り、裸になって入ってもよかったけど、それはまた次回の冒険で。

辛くて楽しかった女4人の山旅。辛さがあるからこそ、楽しさが倍増すると感じるのは、私だけだろうか。だけど、この旅で私たちが山に成長させてもらったことは、きっとたしかだと思う。

祖母谷温泉のテント場で、旅の締めくくり。温泉に浸かってご飯を食べてホッとひと息。
最終日には率先してテントを撤収してくれたふたり。この4日間でふたりとも逞しくなっていた。

温泉to温泉を楽しむ白馬三山縦走ルートを紹介

温泉登山好きにおすすめしたい、白馬三山の絶景とふたつの山の名湯を楽しめる縦走路。剱岳を眺めながらの稜線歩きや豊富な高山植物など、白馬エリアの魅力が詰まったルートを堪能!

ルート概要

1日目

猿倉〜小日向のコル〜白馬鑓温泉小屋

2日目

白馬鑓温泉小屋〜白馬鑓ヶ岳〜白馬岳頂上宿舎

3日目

白馬岳頂上宿舎〜白馬岳〜不帰岳〜祖母谷温泉

4日目

祖母谷温泉〜欅平

マップ

1

猿倉登山口より2時間ほど歩き進めると沢を渡るために数カ所丸太橋がかかっているところがある。

2

登山口より4時間半ほどで白馬鑓温泉小屋が見える。温泉もすばらしいがテント場も最高のロケーション。

3

小屋を出て白馬鑓ヶ岳方面に進む。ところどころ登山道の脇に雪渓が残っているのが見られる。

4

白馬岳頂上宿舎に到着。今回は女性専用ルームに泊めさせていただいた。小屋の外の見晴らしがすばらしい。

5

旭岳、清水岳と穏やかな山々の縦走路。花々が可憐に咲き乱れる。清水尾根は池塘が点在する景色が魅力。

6

「百貫ノ大下り」。最後の急坂となる。ロープも張られているので活用して無理せず下るとよい。

7

山を降りきって川沿いを進むと祖母谷温泉が見えてくる。旅の最後は温泉に浸かって全身を癒そう!

8

祖母谷温泉から40分ほど歩けば欅平にたどり着く。宇奈月温泉までのトロッコ電車もちょっとした旅気分。

アドバイス

不帰岳から祖母谷温泉までのル ートが長いうえ急坂なので、コースタイムを計算して慎重に下山したい。また、2021年は白馬鑓温泉小屋が休業のため猿倉〜鑓ヶ岳分岐までの鑓温泉ルートは通行不可となるので要注意。来年度は再開予定だ。

アクセス

猿倉までは季節運行で白馬駅からアルピコ交通バスを利用できる(所要30分¥1,000)。タクシーの場合は片道¥4,000ほど。欅平からは黒部峡谷トロッコ電車を利用し、宇奈月温泉へ。さらにアルペンライナーで黒部宇奈月温泉駅にアクセスを。

今回旅をしたのはこの3人

小誌編集部 阿部 静(左)

温泉×登山に情熱を注ぐ、自称編集部イチの温泉好き。わりとアクシデントを起こしがちだが体力とポジティブシンキングでカバーするのが得意技。大の魚突き好き。

タレント 吉野七宝実(中央)

“干物グラビア” で世界をバズらせ一躍ときの人となったグラドルアングラー。セクシーボディとは裏腹に、やんちゃで勇ましい姿も秘めている。大の釣り好き女子。

イラストレーター 藤田有紀(右)

小誌でもたびたびお世話になっている山好きイラストレーター。ふだんはおっとりした雰囲気だが、いざというときにはガッツを発揮できるド根性女子。大の爬虫類好き。

 

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阿部静

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