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本で振り返るフリークライミングの歴史

クライミング関連の名著の歴史を辿ってみると、その足跡がクライミングの歴史と重なることに気づくはず。業界内でも読書家で知られるガイドの笹倉孝昭さんによる解説付きで、いま読むべき8冊を紹介しよう。

文◉笹倉孝昭 Text by Takaaki Sasakura
イラスト◉田中斉 Illustration by Hitoshi Tanaka
出典◉別冊PEAKS クライムオン!!

我々はいかに「石」にかじりついてきたか −日本フリークライミング小史−

著者◉菊地敏之
出版社◉東京新聞出版局
刊行年◉2004年
カテゴリー◉歴史解説

国内のフリークライミング黎明期から現在に至るまでの人物や歴史を紹介した本。著者はフリークライマーのなかでは、ルートガイド、技術書など著作が多く、雑誌編集経験もあって人脈が非常に広い。そういった経歴から著者でなくては書けなかったフリークライミング史を学ぶことができる貴重な一冊だ。ここで紹介されているクライマー達や出来事がなければ、いまのボルダリングブームもオリンピック種目化もなかっただろう。

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フリークライミング&ボルダリング

著者◉佐川史佳
出版社◉山と渓谷社
刊行年◉2015年
カテゴリー◉技術解説とルート図

2015年に発売された、基礎知識や技術とクライミングエリアのルート紹介など、初心者が知っておきたい基本情報をわかりやすいイラストを交えて一冊にまとめた入門書。著者は他にも著作や雑誌原稿を執筆しており、技術はもとよりギアや装備など現代クライミング事情に明るい。フリークライミングを始めたばかりの人が読む本として、とてもわかりやすい内容に仕上がっている。初心者はまず手に取っていただきたい。

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クライミング・フリー

著者◉リン・ヒル/グレッグ・チャイルド
出版社◉光文社
刊行年◉2002年
カテゴリー◉クライマー自伝

ヨセミテゴールデンエイジの紅一点、リン・ヒルと多くの著書を持つオールラウンドクライマー、グレッグ・チャイルドの共著。ヨセミテにおけるフリークライミング黎明期から関わってきた彼女は多様化する流れを受け入れつつも常に自分の方向性を見失うことなく、コンペティションやビッグウォールなどカテゴリーの枠を超えて限界を押し上げ続けてきた。この本を読んでクライミングに必要な強い信念と行動力を学びたい。

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日本100岩場

編者◉北山真
出版社◉山と渓谷社
刊行年◉複数
カテゴリー◉ルート図

日本の代表的な100のフリークライミングエリアを「北海道・東北」「関東」「伊豆・甲信」「東海・関西」「中国・四国・九州」の5つに分けて紹介したクライミングルート図の決定版。各岩場の概要、アクセス、注意点などが記載され、アプローチやルート紹介も写真とトポを併用しており、とてもわかりやすい。岩場環境も変化しているご時世ではあるが、増補改訂版も発行され、その変化にも対応している。

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復讐渓谷(Angels of Light)

著者◉ジェフ・ロング
訳◉近藤純生
出版社◉光文社
刊行年◉1989年
カテゴリー◉小説

先に紹介したリン・ヒル著「クライミング・フリー」にも登場する「シエラネバダ山脈に墜落した航空機に積んであったマリファナを売って大儲けした」という逸話を元にして書かれた小説。「クライミング・フリー」と合わせて読むと虚実取り混ぜて楽しむことができるが、中古市場にしか残っていないので探すのに苦労するかもしれない。クライミングギアの訳がちょっと違ってたりするが、それを見つけるのも楽しみのひとつといえる。

フリー・クライミング入門

著者◉マイクル・ロフマン
訳◉平田紀之/戸田直樹
出版社◉山と溪谷社
刊行年◉1984年
カテゴリー◉技術書

訳書ではあるが、おそらくフリークライミングの入門書としては国内で初めてのもの。翻訳したのは平田紀之、戸田直樹という日本に「ヨセミテの波」を伝えたフリークライミング伝道者。技術や道具の一部については、さすがに過去のものといえる記述もあるが、スピリット(魂)については色あせてはいない。むしろいま読んでも再認識させられる新鮮ささえ感じる。この本も中古市場にしかないが、「原点」を知るうえでも手にしたい。

ロックス アラウンド・ザ・ワールド

著者◉シュテファン・グロヴァッツ/ウリ・ヴィースマイヤー
出版社◉山と渓谷社
刊行年◉1988年
カテゴリー◉写真集

華麗なシュテファン・グロヴァッツのクライミング、それを芸術的なセンスで切り取ったウリ・ヴィースマイヤーの写真。どれも映画のワンシーンのようで、「ここで登ってみたい」と見る人をクライミングの世界へと引き込む魅力溢れる写真集。事実、私自身この写真集を見てオーストラリア、マウントアラピリーズのケチューン(Kachoong)を登りに行った。ただし、写真のように裸足、フリーソロではなかったが……。

スポーツクライミング教本

著者◉東秀磯
出版社◉山と溪谷社
刊行年◉2017年

日本人として初めて国際ルートセッターとなった著者が満を持して刊行した最新技術書。クライミングムーブについて、かつてなかった次元で理論的に詳しく解説してあり、限界をさらに引き上げるクライマー必読の書。イラストもわかりやすいので、経験者が自分の技術を見つめ直す参考にもなる。スポーツクライミングが盛り上がっている現在、教科書となりうる一冊。

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PEAKS 編集部

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装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。

PEAKS 編集部の記事一覧

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