テクニカルフリース、ポーラテック パワーグリッドが誇る脅威の汎用性
PEAKS 編集部
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軽くて、暖かくて、すぐ乾く――。アウトドアウエアとして理想的な特徴をもつフリース。その生みの親であるのがポーラテックであり、その特性を飛躍的に高めたのが「パワーグリッド」と呼ばれる素材だ。今季、新たにパワーグリッドを採用した製品を展開するゴールドウイン社に、その最新の性能を聞く。
文◉森山憲一 Text by Kenichi Moriyama
写真◉熊原美惠 Photo by Yoshie Kumahara
企画協力◉エスシーティージャパン
TEL.03-5436-6380
www.challenge-21c.co.jp
製品に関する問い合わせ◉ゴールドウイン
70120-307-560
www.goldwin.co.jp/goldwin
「通気性が高いのに保温性もある。このバランスが絶妙なんです」
「これなんですよ」
ゴールドウインブランドの製品企画を統括している新井元さんが、一着のジャケットを渡してくれた。真っ黒で外観的に目立つ特徴はなく、シンプルそのものといった感じのフリースジャケット。手に取るとおどろくほど軽い。フリースというよりも、これはベースレイヤーなのではないか? そう思ってしまうほど薄くて軽い。
薄く見えるが、裏面を見てみると、暖かそうにやわらかく起毛した山が格子状に隆起して並んでいる。グリッドフリースと呼ばれる特徴的な形状。これがポーラテック・パワーグリッドだ。
ジャケットを持ち上げて光に透かしてみると、グリッドの谷になった部分は非常に薄い。ほとんどスケスケといった感じだ。ところが同じジャケットを着ている新井さんに目をやると、下に着ているものが透けて見える感じはまったくなく、いたって普通のジャケッである。手に取ると極薄なのに、着ているとしっかり存在感がある。なんとも不思議な素材だ。
「薄いでしょう。でも、これで十分暖かいんですよ」
新井さんは言う。そう言われてもにわかには信じられない。グリッドの谷間の薄いところはまるでメッシュみたいですよ。風がスースー通って体が冷えそうに思えますが……。
「そこがパワーグリッドの優れたところで、不思議なことに冷えないんですよ。そのメッシュみたいな表面のベース生地はかなり薄くて、通気性が高くなっているのですが、裏面のグリッドの作り方がキモなんです。隙間の幅とか起毛の立ち方とかが計算されていて、薄く見えるけれども、じつはかなりのデッドエアを蓄えることができるんです。つまり、通気性が高いのに暖かさは逃がさないという、相反する機能を絶妙なバランスで両立しているんです」
一度着てみていただければわかりますよと、新井さんはニヤッと笑った。
ポーラテックが他に先駆けて開発したグリッドフリースが登場したのは20年ほど前。裏地を凹凸のあるグリッド構造にすることで、保温性を損なわない厚みを保ちながら、それまでのフリースより大幅な軽量化を実現し、フリース界にひとつの革命を起こした。以降、性能を追求するテクニカルフリースの多くはこのグリッド構造を採用している。さらにポーラテックでは、20年の間に細かな改良も重ねてきており、熟成が進んだ最新バージョンが、いま私が手にしているジャケット「ストレッチグリッドジップフーディ」に使われている「ポーラテック・パワーグリッド」というわけだ。
「ポーラテックを採用するひとつの理由は、起毛の品質がとても高いということにあります。それから、ポーラテックの素材は単体で優れているだけでなくて、レイヤリングを前提にして考えられているのも使いやすいところなんです。表面をスムーズにしているので、上にシェルやジャケットを着たときにも着心地がいいんですよね。このあたりの工夫と品質の高さは、フリースの老舗ならではという感じがします」
パワーグリッドにも生地厚やグリッドの隙間の大きさなどの違いによりいくつかの種類があり、ストレッチグリッドジップフーディに使われているのはもっとも薄いクラス。登山では、環境に応じて複数のウエアを重ねるレイヤリングが基本となるので、これくらい薄いほうがなにかと使い勝手がいいと新井さんは言う。それには私も同意だ。分厚いフリースは厳冬期にはいいが、春や秋では暑すぎるため、山で快適に着られる期間がそれほど長くない。このストレッチグリッドジップフーディくらい薄いほうが、さまざまな季節、さまざまなシチュエーションで幅広く着られると思う。
「保温性を求めるなら、いまはアクティブインシュレーションでもいいものがあるじゃないですか。でも、この薄さのアクティブインシュレーションはない。適度に暖かくて、通気性が高くて蒸れなくて、しかもストレッチして動きやすい。そういうものを求めるなら、こういったテクニカルフリースがベストだと思うんですよね」
寒い時期の行動着としてアクティブインシュレーションが注目されることが多い昨今だが、たしかにこの薄さはまだまだフリース素材の独壇場。ストレッチ性が高いため、動きやすさもフリースに一日の長がある。
新井さんは山だけでなく、日常のランニングでもこのジャケットを着ているという。肌寒い日のランニングで、なにか上着を着たいときに、アクティブインシュレーションでは暑すぎる。かといって薄手のウインドシェルなどでは蒸れやすい。こういう運動量の多いときに、パワーグリッドの軽さと動きやすさ、そして通気性の高さがものをいうのだ。体が温まって汗をかいてきても、高い通気性のおかげで体は適度に冷やされ、汗が溜まることがない。「とくにトレラン用として売り出してはいないんですが、じつは春秋のトレイルランニングウエアとしては最高なんじゃないかと思っています」と新井さんは言う。
ストレッチグリッドジップフーディは素材が薄手なだけでなく、作りも非常にシンプルだ。ドローコードの類は一切なし。ポケットも左胸にひとつあるだけ。カラーリングも、なににでも合わせられるようなオーソドックスなラインナップ。ただし、シルエットはよく考えられていて、体にぴったりフィットして動きやすい。パワーグリッド素材の特性もあいまって、用途を問わず、さまざまなスポーツシーンで使えそうな懐の深さをもっている。
ゴールドウインはゴールドウイン社の基幹ブランド。もともとスキーウエアから出発しているブランドで、スポーツウエアの開発には長い歴史をもっている。また、同じゴールドウイン社が取り扱っているザ・ノース・フェイスがアメリカ発のブランドである一方、ゴールドウインは純日本ブランド。開発のベクトルが日本国内に向いているだけに、サイズ感やフィッティングもより日本人に合わせた型で設定できる。なんともしっくりくる着心地は、長年のノウハウの積み重ねとジャパン仕様ゆえでもあるのだろう。
一方で、採用している素材のポーラテックはアメリカの会社。ゴールドウインでは、このストレッチグリッドジップフーディに限らず、全体にポーラテック製素材の採用率が高いブランドなのだという。その理由には、前述したメリットだけでなく、もうひとつ重要なポイントがあった。
「ポーラテックのよさは、耐久性が高いことにもあるんです。これは個人的にも実感するところで、私物で20年モノのポーラテックフリースをもっているんですが、いまでも問題なく着られるんですよ。特別なケアなんかしていないのに風合いが変わらないし、型崩れもしない。新品時の性能が長く続くという点でも、ポーラテックは信頼感が高いですね」
同時に、「長持ちするということは、買い換え需要が減ってしまうということなので、ウエアメーカーとしては儲からなくなってしまうんですけど」と笑う。しかしそれがウエアとしての正しいあり方だとも新井さんは言う。とくに現代は、頻繁に買い換えるよりもひとつのものをできるだけ長く使うことが奨励される時代。耐久性の高さは、こうした面からも時代に求められている機能のひとつといえる。ポーラテックの素材価格はほかと比べると高いので、ウエアの製品価格も必然的に高めになってしまうのだが、この耐久性の高さがあれば、長期的スパンで考えればむしろ安いともゴールドウインは考えている。
「最新の機能性だけでなく、耐久性の高さという普遍的な品質まで、総合的にポーラテックはやはりレベルが高い。フリースの歴史を作ってきたメーカーだけのことはあると感じています。実際に自分で使っていても満足感が高くて、私自身がポーラテックの素材が好きなんですよ。だからコストがかかっても結局、ポーラテックを採用することにしています。私が感じている満足感は、ユーザーの方も使ってみればきっと感じていただけるはずなので」
そう言って新井さんはウエアの出来に胸を張る。その使い心地はどんなものなのだろうか――。
ゴールドウイン/ストレッチグリッドジップフーディ
¥21,450
素材:ポーラテック・パワーグリッド
サイズ:S~XL
重量:240g(L)※編集部調べ
ポーラテック・パワーグリッドを全面に採用したジャケット。シンプルに徹した作りで非常に軽量・コンパクト。身頃と同素材の薄手なフードはバラクラバのように頭部をすっぽりカバー。
【インプレッション】寒くないのに暑くない。体温維持機能が絶妙だ。
「メチャクチャ調子がよい」というのが、実際に山で使ってみた感想である。着心地がとにかく軽い。フリースを着ているという感覚はなく、長袖Tシャツを着ているくらいの感覚しかない。体にフィットするシルエットで動きやすいため、長袖Tシャツより着心地は軽いくらいだ。
この薄さと軽さにもかかわらず、じっとしていても体が冷えない。長袖Tシャツと比べて保温性の高さは明らかである。一方で、行動中に着ていても体がオーバーヒートしない。通気性がよいので、ウエア内に適度に空気が通って暑くなりすぎないのだ。快適な範囲に体温を保ってくれる案配が不思議なくらいに絶妙で、着たままですごせる時間が非常に長い。これなら山行中に脱ぎたくなることはほとんどないのではないだろうか?
通気性が高いぶん、冷たい風が吹き付けると寒く感じるが、薄いウインドシェルを着れば解決。このジップフーディとウインドシェルの組み合わせは春や秋のウエアリングとして最強ではないか――というくらい気に入った。
※この記事はPEAKS[2021年10月号 No.143]からの転載であり、記載の内容は誌面掲載時のままとなっております。
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装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。
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