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どっちに行けばいい?あとどれくらい?…山の中にもヒントはたくさん! 山の目印図鑑

山を歩いているといろんな目印を見かける。どっちに行けばいい? 山頂まではどれくらい? それぞれどんな意味があって、どう使えばいいのか。わかりやすいものから発見しづらいものまでさまざまだ。登山時の目印としての信頼度と併せて、知ると意外におもしろい山の目印のあれこれを紹介する。

登山中によく見かける“山の目印”をチェック

街や道路など、僕らが普段暮らしている場所には、さまざまなサインがあふれている。ときに目障りなくらいにだ。山に入るとどうだろう。静かな山のなかにも、じつは目印がいっぱい。人工的なものから動物や自然が作り出したものまで多種多様だが、今回は登山中によく見かけるものや現在地の確認ができるものなど、道迷い防止に役立つ目印をまとめてみた。

山の目印を見落とさないことも大事だが、それらが持つ意味を理解し、判断材料とする知識も必要だ。山を利用しているのは登山者だけではない。したがって、登山道以外の道もある。林業をはじめ、水源の巡視道などの作業道。山菜採りや釣り、クライミングのアプローチなど。それらは登山道と兼ねていたり、枝分かれしたり。それを示す目印も存在する。

また周囲の地形を把握することがリスク管理の第一歩。人工的な目印にあまり頼らず、山のほんの小さな目印を感じとれることができればもっと楽しくなる。あくまでも最終的な判断は登山者に委ねられるし、その責任も含めての登山だと僕は考える。

三角点

  • 山の目印度 ★★★★★
  • 見かける場所 山頂付近、見通しのいい場所

山頂付近で見かけることの多い石柱。タッチして登頂の証にしたりする人もいるだろう。本来の役目は正確な測量のために、経度・緯度・標高の基準として国土地理院が設置したものだ。一般的には天面に十字が刻まれており、材質は花崗岩が多い。三角点は重要度などの違いにより一等から四等まであり、側面に表記されているが、一辺の長さの違いからも判別できる。必ずしも山頂にあるわけでもなく、標高の基準点でもない。タッチして登頂の証にしたりするあくまでも測量上の水平方向の基準だ。

そして、じつは地上部分より地下に埋まっている部分が非常に大きく、一等三角点なら90㎏ほどある。それを歩荷して山の高いところまで運んだわけだから大変な労力だ。

なんにでもマニアがいるもので、三角点マニアも存在する。一等三角点をめぐったり、さらに小さな三角点を追い求めて登山している人も。通常は見通しのいい場所に設置されているはずだが、藪に覆われて朽ち果てている三角点を見つけると、年月の流れを深く感じる。

マーキング(岩)

  • 山の目印度/★★★★★
  • 見かける場所/登山道沿い(ガレ場、岩稜帯)

森林限界より高く、樹木の生えていないようなルートや岩がちなルートでは岩に直接ペイントされている。○は正しいルートを表し、→は進行方向。×はルート外へ迷いこみやすいポイントに記されている。一見歩けそうなところも、落石を起こしたりする可能性がある。植生保護の観点からもマーキングに従って歩くことを推奨する。

色はエリアによってさまざま。岩自体の色にもよるが、黒っぽい岩には白の塗料がよく目立つ。意外かもしれないが、白いペイントは、ガスのなかでも赤や黄色より発見しやすい。色によっては遠目に見ると地衣類と紛らわしいものも。ガスのなかを歩いているときは要注意だ。

定期的に確認できていたマーキングが急に発見できなくなってきたら、登山道から外れている可能性を考えよう。立ち止まって周囲を観察、地形図やGPSで現在地を確認してみること。ガレ場やザレ、岩がゴロゴロしているような登山道では、人がよく歩いているところは足元の石が動きにくいが、ルートから外れて踏まれてないところの石は動きやすく歩きにくい。これらも判断材料となる。

ピンクテープ

  • 山の目印度/★★★☆☆
  • 見かける場所/登山道沿い(樹林帯)

登山道脇の木の枝や幹などに付けられている目立つ色のテープ。発色のいいピンク色のマーキングテープが使われていることが多い。登山道に沿って結わえられているのだが、必ずしも登山道の目印ではないケースもある。林業や水源管理、電力会社などの仕事関係のものや、山菜採りや源流釣りなど、山をフィールドとしているのは登山者だけに限らないからだ。山域にもよるが、判断材料のひとつ程度に考えておいたほうがいい場合もある。疑わしいときは、地形図やGPSなどで確認しよう。

目立つものだけに多すぎると興ざめな部分もある。迷いそうなところにだけ、目線に自然に入る高さで、それでいて登山者が迷わないように配置するのはセンスが問われるところだ。

また、冬山人気ルート沿いの木々にも付けられていたりするが、積雪期に取り付けるため、雪の多い山では木のかなり高い位置にある。その周辺の積雪量の多さがうかがい知れる。また、劣化しやすいので定期的に交換が必要。古くなって落ちているものはただのゴミなので、僕は拾って持って帰るようにしている。

ここに注意!

ピンクテープの代わりに、その山特有の目印があったりする。赤や青など色が違ったり、写真の山には赤い札(素材は金属やプラスチック)が付けられていた。

道標

  • 山の目印度/★★★★★
  • 見かける場所/山頂付近、分岐、急坂、ランドマーク付近

決まっているわけではないが、「どうひょう」と呼ぶことが多い。広い意味ではケルンやマーキング、ピンクテープなど人工的な目印のすべてが、これにあたるのかもしれない。ここではイラストのような案内板、文字の書いてある道しるべを道標とする。簡潔で頼りになる存在だ。登山口の案内板や道中の分岐、山頂標識もそのひとつ。先の山名や地名などが表記されているものが一般的。

なにかしらの法律が適用されるわけではないので、バリエーション豊富で設置者の思惑、個性が出ていて非常におもしろい。同じルート上でも設置した時代によって違いがあり、新旧の比較もできる。「もう少し」「がんばれ!」みたいなメッセージ系のものもあったりしてほっこりする。素材も木製、プラスチック、金属とさまざま。インスタ映えするようなアーティスティックな道標に出会えるとうれしい。

「○号目」「あと〇〇m」「1 /〇」などの表記は、標高差なのか距離なのかよくわからないものも多い。勾配の強さにもよるし、どの程度信用していいのか疑問に思いながらも、ついあてにしてしまう。

ケルン

  • 山の目印度/★★★☆☆
  • 見かける場所/尾根上、山頂付近 遭難事故場所付近

石積みの塔。登山道沿いにある。単純にただ石を積んだ小さなものから、背丈を越すような立派なもの、人工的に固められた構造物まで。サイズも形もさまざまなパターンがある。泉の投げ銭のように、ただ意味もなく積まれた結果のケルンもあれば、遭難者への慰霊目的の墓標のときも。少なくともそこが、定期的に人が通る場所であることはわかる。数は少ないが地図上に記載されているケルンはランドマークの役割を果たす。

最近は、バランシングロック、スタッキングロックの類で、休憩場所などの付近に器用にバランスをとって積まれている小さなケルンも見かけたりするようになった。だが、勝手に積み上げられた石積みが、どんどんと増えていくと景観上よろしくないので好ましく思わない人もいるだろう。登山道周辺の石を移動させているため、国立公園内外にかかわらず、植生や環境へのインパクトも与えている。ただでさえ、人が多く歩くと環境に負荷をかけていることも踏まえると、一般登山道でいま以上にケルンを増やす必要性はないだろう。見かけても安易に石を積まないようにしてほしい。

赤布

  • 山の目印度/★★☆☆☆
  • 見かける場所/森林限界を越えた尾根上(積雪期)、雪渓

竹棒の先端付近に赤い布きれを付けたもの。一般的に冬山でのパーティ登山の装備とされる。ルート上に必要と思われる本数を用意し、登りで雪上に刺して下山時のルートの目印にする。夏山でも雪渓横断のルートに立ててあることもある。また山小屋に近いところでは、小屋へのルートがわかりやすいようスタッフが立ててくれていたりもする。

強風が吹けば倒れるし、雪が減ればやはり倒れてしまう。一時的なものだが、目印になるものが乏しい広く平らなルート上、雪稜では大いに助かる。視界不良時には頼りになる存在。

ただし、ほかのパーティが設置した赤布は、必ずしも自分と同じルートを目指しているわけではないので過信はよくない。また、雪庇上や雪崩地形を大胆に通過している場合もあるので注意したい。「あかぬの」「あかふ」「あかぶ」など呼び方はさまざま。山名の読み方と同じく争わないほうがいいのでは。

ここに注意!

雪山のコンディションは目まぐるしく変わっていく。いつ、だれが立てたかわからない以上、頼りきるのはむしろ危険だ。設置時の状況とは異なっていることのほうが多い。

通行止めサイン

  • 山の目印度/★★★★☆
  • 見かける場所/適宜

トラロープなどで規制してあったり、注意書きがあったり。非常にシンプルなものだと、踏み跡や旧道への分かれ道に木の枝などを積んで、登山者が安易に入り込まないようにしたものがある。

ルートの先で斜面が崩壊して通れないときや川沿いのルートが増水により通行困難なとき、より高い位置のトラバースルートに導くために設けられたりする。その旨の注意書きがある場合が多い。

また、前述した作業道や水場、山菜採り、クライミングルートへのアプローチなどで一般登山道ではないが踏み跡が続いている場合、登山者が迷い込まないようにするための注意喚起をしていたりもする。

雪渓の状態が悪くなり、クラックが入っているような場所も規制し、安全なルートへ誘導していることがある。地図に載っていない情報だが、それなりの理由があるはずので安易に入り込まないようにしたい。

地蔵、祠、神社

  • 山の目印度/★★★★★
  • 見かける場所/山頂付近、歴史ある登山道沿

本来は信仰の表れであり、直接的な目印というわけではないが、ある種、いにしえよりの道標ともいえる。

説明するまでもないが、古くより山は信仰の対象であり、日本においても山岳信仰と仏教などが結びついた修験道がいたるところにある。それを利用して登山道となっているところは数知れず。山頂や登山道に沿って神社や祠、お地蔵さんが祀られているのは当然だろう。厳しい環境から開発の手を免れ、国定公園や国立公園内はもちろん、都市近郊の里山でも歴史の名残を色濃く残している登山道は多い。

道中の安全を祈る拠りどころとして数多くの人々を見守ってきた存在。僕も手を合わせたり、頭を下げるくらいのことはする。風化したお地蔵さんの表情には心和むし、祠で手を合わせていると神妙な気持ちになる。

基本的にはありがたい存在のはずなのだが、以前南アルプスの廃道をひとりで詰めていたとき、昼間でも薄暗い沢筋の踏み跡、藪に埋もれている朽ちたお地蔵さんと目が合ったとき、背筋の凍るような気味の悪い感じがしてしまった。これもまた日本人のDNAに刻まれたものなのかもしれない。

踏み跡

  • 山の目印度/★★☆☆☆
  • 見かける場所/神出鬼没

登山用に整備した道ではないが、なんらかの目的で人が行き交ううちに道のようになっているもの。水場や釣り、山菜採り。クライミングルートへのアプローチ。炭焼き小屋への跡。山小屋の水源確保や計測器への通路などの仕事道。トイレ化している箇所への……まるで登山道のように明瞭なものは要注意。気づいたら引き込まれてしまっているなんてことも。登山道整備がしばらく行なわれていないようなルートはとくに注意が必要だ。

低山、里山に多く、複数ありすぎてどれが正しいのかわからない、あみだくじ状態のときが厄介だ。最短距離でいちばん歩きやすい道の判断に迷い、パーティ内で意見が分かれて揉める原因になったりする。

逆にバリエーションルートや沢登り、藪山登山では強い味方。正しいかどうかは別にして、藪をかき分けて歩くより、はるかに効率的に移動できる。藪に埋もれているようなものでも、移動を妨げるような枝木が抜けていて歩きやすくペースも上がる。後述するケモノ道と重複している場合もある。

ケモノ道

  • 山の目印度/★☆☆☆☆
  • 見かける場所/全山(標高が低いところのほうが濃い)

山の住人、人間以外の生きものの通り道。シカなどの大型動物が頻繁に通る道は、比較的目立つので見つけやすいが、ウサギやタヌキ、キツネ程度の小動物の跡は、注意深く見てもわからないようなものが多い。はっきりした登山道のあるルートでは気にならない人がほとんどだと思うが、藪をかき分けるような登山やヘッドランプを頼りに暗い時間に行動していると、途端に迷い込みやすくなる。見た目には変わらなくても、足元の感触が登山道や踏み跡に比べて柔らかい。それでも大型動物の通る道は、強烈な藪漕ぎのなかでは救世主となる。

いっぽう、雪上に残された動物たちの足跡、アニマルトラックは一目瞭然だし、写欲をそそられる存在。山の住人だけに危険をうまく回避して歩いていることが多く、歩くラインの参考にさせてもらうことも。だが、カモシカは無理なトラバースをしていることも多く、実際に目の前で斜面を横切っているカモシカが雪崩を誘発して流されていったのを目撃したこともある。春先、デブリの中にカモシカの亡骸を見かけることは珍しいことではない。

道しるべだけじゃない! 自然のなかの山の目印

自然からの目印を見つけて、考えることも楽しみのひとつ。季節の移ろいや山の豊かさ。変化の履歴を知ることもできる。さらに危険から身を守るヒントにもつながることも。新しいクマ棚やクマの爪痕がある場所はクマの縄張りだろう。糞や地面を掘り返した跡からイノシシの存在を知る。目で見えるものだけでなく、沢音や風の変わり方など、感じ取れるものが増えるほど山との付き合いは深まるのでは。

教えてくれた人:杉村 航さん

山岳カメラマン。長野県在住。信州登山案内人。登山道整備や遭難救助も行なっている。登山道を行くより、沢や踏み跡をたどる山歩き、山岳スキーが大好き。食糧現地調達の沢旅を愛する。

※この記事はPEAKS[2021年2月号 No.135]からの転載であり、記載の内容は誌面掲載時のままとなっております。

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装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。

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