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山での『打撲・捻挫・骨折など』どうする?|医療の専門家に聞いた、山のフィジカルトラブル対処法

登山中、医療機関から遠く離れた場所で、専門知識も持たない私たちは、ケガなどに対してどのように向き合えばいいのか。救急医の伊藤 岳さんに、下山時に足首を捻った、転倒して手首を痛めたといった「打撲・捻挫・骨折など」への対処法を教えてもらった。

打撲・捻挫・骨折などへの対処法

皮膚の表面が傷つく擦り傷や切り傷と対象的に、体の深い場所にある組織が傷つくケガが、打撲や捻挫、骨折や脱臼になる。そのうち、骨に関係するのが骨折と脱臼、骨以外の筋肉や腱などに関係するのが打撲や捻挫だ。

痛みが強くない場合はとくにすることはない。しかし、内出血によって色が変わる範囲が広くなる、負傷箇所が激しく腫れてくる、押さえなくても痛くなるといった場合は、なにかしらの対処が必要だ。しかし、骨が皮膚を突き破って露出している場合を除いて、それが捻挫か骨折かなど、その場では正確に診断できない。たとえば、ひねった足首が腫れてきて痛むとき、その場で捻挫と骨折の区別をすることは、多くの場合難しいのだ。

そのため、ここではすべてのケガに対して行なったほうがいい「RICE療法」を紹介する。これは「Rest(安静)」「Icing(冷却)」「Compression(圧迫)」「Elevation(挙上)」のそれぞれの頭文字を取ったもので、いずれも炎症や患部の腫れの軽減を図るための処置になる。臨機応変にこのなかからできることを考えて実行してあげるといい。

事前対策

予防にはトレッキングポールの使用やハイカットの靴を履くことが考えられる。しかしポールの使用には知識や技術が必要で、いずれも完璧な対策にはなりえない。根本的な事前対策は、体力や技術に応じたスピードや行程での登山を心がける、ということに尽きる。無理をしなければ、疲労が原因で動きが鈍り、ケガをするといったトラブルを避けられる。

RICE療法による対処法

ICING/冷やす

水が入った水筒を患部に当てる、濡らしたタオルを被せる、雪を使う、沢のなかに患部をつけるなどの方法が考えられる。季節や気温によっては、自然と冷やされることもある。

COMPRESSION/圧迫する

腫れを抑えるために、伸び縮みする弾性包帯やテーピングテープなどを患部に巻いて圧迫する。力強く絞め上げる必要はなく、全体的に優しく圧迫してあげればOK。

REST/安静を保つ

患部のことだけを考えると、動かして良いことはない。負荷をかけないことが重要。休むだけでなく、関節を痛めた場合はグラグラしないように固定することも安静に繋がる。

ELEVATION/挙上する

バックパックなどを使い、理想は患部を心臓よりも高い位置に持ち上げる。山小屋に入れれば、横になって丸めた布団や毛布の上に脚を乗せる、腕なら枕などの上に置くといい。

固定の注意点

山で圧倒的に多い足首の負傷をした場合、安静を保つために、比較的痛みが軽いときは靴と靴下を脱いで患部を固定する。靴の上から固定する方法もあるが、靴底がテーピングテープなどで覆われてしまうと、靴のグリップ力が失われるので注意すること。固定には、適切な評価と判断、正しく固定できる知識と技術が必要。さらに間違った固定でケガが悪化することもあるため、書籍や実技を伴う講習会などで学ぶことが大切だ。

教えてくれた人:救急医 伊藤 岳さん

兵庫県立加古川医療センター救急科長。公益社団法人日本山岳ガイド協会ファーストエイド委員長。2010年から北アルプス三俣山荘診療所で、夏山診療に従事する。

※この記事はPEAKS[2021年3月号 No.136]からの転載であり、記載の内容は誌面掲載時のままとなっております。

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PEAKS 編集部

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装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。

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