山での『足のトラブル』どうする?|山のフィジカルトラブル対処法
PEAKS 編集部
- 2022年03月17日
登山中、医療機関から遠く離れた場所で、専門知識も持たない私たちは、ケガなどに対してどのように向き合えばいいのか。救急医の伊藤 岳さんに、足の指や踵に水膨れができた、歩行中に爪が剥がれたといった「足のトラブル」への対処法を教えてもらった。
INDEX
足のトラブルへの対処法
水膨れができた、爪が剥がれたなど、足のトラブルは注意していても起こり得る。実際、筆者も過去に靴擦れの経験があり、歩くたびに痛みが走り、トレッキングポールを使いながら家路についたほどだ。下山直後に痛み出したので運が良かったが、そこが山奥だったら下山が遅れていた可能性も十分に考えられる。
対処法は擦り傷・切り傷で紹介したのと同様で「洗浄」「被覆」が基本となる。使う道具も防水手袋、穴を開けたキャップ、洗浄に使う水、傷口を覆うガーゼや、それを固定するテーピング、防水フィルムなどと共通している。
事前対策は自身の足のサイズと形に合った登山靴を履くこと。さらに、靴下の厚みや素材に気を使い、場合によってはインソールの使用も検討する。そして、いずれも専門店の店員に相談しよう。
これらの対策は、登山靴を選ぶ際の注意点として、登山に関する専門書を読めば必ず書かれており、登山専門店に行けば売り場に張り出されていることもある。登山の基本を忠実に押さえること、それがケガを予防する最善策になる好例といえるだろう。
事前対策
サイズと足に合った登山靴を履く
価格やデザインで登山靴を選ばす、必ず何足か試し履きする。そのうえでサイズと足の形に合った靴を見つけよう。登山専門メーカーの登山靴を履くことはいうまでもない。
靴下の厚みや素材に気を使う
素材にコットンが混じる靴下は避ける。化学繊維かウールを使い、つま先と踵にクッションがあるものがいい。別売のインソールでもフィット感やクッション性を調整できる。
登山用品専門店で相談する
登山靴も靴下もインソールも迷うほど種類がある。ひとりで選ばす、まずは専門店にいる知識を持ったスタッフに相談すると良い。最適なアイテムを紹介してくれるはずだ。
具体的な対処法
水膨れ
被覆する
水膨れを破かず、そのまま被覆する。小さな水膨れ用のフィルム製剤も売られている。破かないほうが治りは早い。破れた場合は洗浄後に被覆する。
爪の剥離
洗浄して固定する
爪が剥がれかけている場合、洗浄後に爪を元の位置に戻し、テープでしっかりと固定する。完全に剥がれてしまった場合には洗浄して被覆する。
教えてくれた人:救急医 伊藤 岳さん
兵庫県立加古川医療センター救急科長。公益社団法人日本山岳ガイド協会ファーストエイド委員長。2010年から北アルプス三俣山荘診療所で、夏山診療に従事する。
※この記事はPEAKS[2021年3月号 No.136]からの転載であり、記載の内容は誌面掲載時のままとなっております。
Info
- BRAND :
- PEAKS
- CREDIT :
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文◉吉澤英晃 写真◉増川浩一、樋口勇一郎、野口祐一、落合明人、宇佐美博之、武部努龍
イラスト◉藤田有紀、森 朗 監修◉伊藤 岳
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PROFILE
PEAKS 編集部
装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。
装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。