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山のガイドに聞いた、『春』の自然&生物によるトラブル対処法!

春は街なかでは気温も上昇して陽気に恵まれるが、山のなかでは真冬のような寒さが残り、まだまだ降雪もみられる季節だ。山のガイドたちはトラブルをどのように判断し対処しているのだろうか?

落水

季節を問わず、とくに登山中に気をつけたいのが落水だ。雪がまだ残る春先などには、渓流の上にできたスノーブリッジを踏み抜いてしまったという事故も起こる。スノーブリッジほどではないにしても、不安定な丸太橋や凍結した橋を渡ったり、飛び石を利用して川を越えたりするときも注意が必要だ。もし落水したら、まずは心を落ち着かせること。そのうえで、気温が低い場合には濡れてしまったウエアをすべて乾いているもの着替えて低体温症を防ぎたい。

登山靴ははじめから濡れる覚悟で(廣田)

浅瀬でピョンピョン跳ねて川を渡るようなとき、とくに運動神経に自信がない人は、濡れたくないからといって無理をして石に飛び移らないようにしましょう。足が滑って体を全部濡らすこともあるので、登山靴ははじめから濡れる覚悟でいったほうがいいかもしれません。

防水のスタッフバックを活用しましょう(近藤)

衣類など濡らしたくない装備は防水のスタッフバックなどに入れましょう。危険を感じたら、靴を脱いで渡れるところを行くことも検討したいですね。もし服が濡れたら、標高が低くて気温も暖かいならば木の枝に引っかからないように注意してパックに結んで乾かしてもいいでしょう。

天気と気温

季節の変わり目、とくに冬から春に変わるとき、秋から冬に変わるときは天候と気温の変化には十分に注意しよう。春先は、街なかと山のなかではまったく気温が異なる。夏は蒸し暑い街よりも、山のほうが快適なことが多いのだが、春の山では日向はポカポカ陽気でも、木陰に入ればダウンジャケットやグローブが必要だと感じることが多い。ぬかるんだ泥、日陰に残っている雪が登山靴の中に入らないように気をつけることも重要だ。

ウエアリングに工夫を(水野)

春はもっともウエアリングに悩む季節です。一日中晴れることがわかっている日であればいいのですが、雨が降るのか雪が降るのかわからないときは、どちらにも対応できるようなウエアとパッキングを心掛けましょう。とくに確実な防水性を備えたグローブは必ず装備しておきたいですね。

低体温症に注意(近藤)

春のアルプスでは、一瞬で厳冬期のような環境に変わります。GWに猛吹雪になると、とくに事故が多く、普段あまり登っていない人は体力を消耗して行動不能になることがあります。これが原因で低体温症になることがめずらしくありません。雪崩や雪庇、クラックにも気をつけましょう

ツエルト&エマージェンシーシート

季節を問わず、日帰りや山小屋泊登山ではツエルトの装備を。緊急時の低体温症を防ぐためにもエマージェンシーシートは必携だ。

ホワイトアウト

視界がまったく効かず、方角も、ときに天地もわからなくなってしまうのがホワイトアウト。森林限界よりも標高が高いところで湿度が高いときは、季節を問わずホワイトアウトが起こる。なかでも怖いのは、冬に強風を伴う地吹雪。積もった雪が強風で舞い上がるような状況だ。もしも強風予報が出ているときは、樹林帯までの行動で終了するなどの計画変更も必要となる。GPSやスマートフォンのバッテリーはなるべく温存しておいて、危機的状況に備えておこう。

無理な行動は禁物(水野)

行動しないほうが望ましいのですが、やむを得ないときはホワイトアウトナビゲーションが役立ちます。スタート地点から目的地までの通過点の方角と標高のリストを作ってたどっていくのですが、リストはたくさんあるほどいい。そのために地図とコンパス、高度計も必携です。

ビバークの準備も要検討を(近藤)

基本は無理に動かないこと。視界も平衡感覚も失うような状態では、まず風を除けられる場所を探しましょう。できればツエルトを被るなどして体温を温存しつつ、視界が開けるのを待つのが得策です。長時間の場合では、メンバーと離れ離れにならないようビバークの準備を始めましょう。

GPS機器

スマートフォンも便利だが、ホワイトアウトでの行動時に心強いのは、やはり専用のGPS端末だ。

イノシシ

北海道を除いた日本各地で生息しているが、とくに六甲山などの低山ではイノシシが数多く目撃されている。イノシシの縄張りには、ダニや汚れなどを落とすために泥を浴びるヌタ場と呼ばれる場所があり、登山中に見ることもまれにある。登山者のバックパックを狙ったり、食べ物を目的に小さな子どもや女性を襲ってきたりすることもあるようだ。体重は60 ~ 70kgに達することもあり、万一突進してきたときは横に逃げるなどして、噛みつかれないよう注意しょう。

とにかく落ち着く(近藤)

遭遇したら刺激を与えないこと。大きな声を出したり、走って逃げるのもNGです。とにかく落ち着いて、視線をそらさずに立ち去るのがいいようです。もちろん、餌を与えることは絶対にしてはいけません。かならず母親が側にいるので、ウリボウを見かけても近づくのはやめましょう。

遭遇しないための対策を(水野)

僕の経験では、イノシシを見つける前にまず獣臭を感じます。そんなときは、爆竹を用意しておいて鳴らすのも有効でしょう。もし襲ってきたら、戦うしかないかなぁ~(笑)。なかなか教科書どおりに行動はできないと思うので、遭遇しないように事前に存在を伝えることが大切です。

教えてくれた人

水野隆信さん

日本山岳ガイド協会認定山岳ガイド。楽しく安全をテーマにしたオールシーズンの登山、バリエーションクライミング、渓流釣り、BCスキーのガイディングに定評がある。

廣田勇介さん

日本山岳ガイド協会認定登山ガイドやカナダ雪崩協会の雪崩業務レベル2などの資格をもち、スノースポーツや登山、山岳信仰と銅像にまつわる撮影で知られている。

近藤浩子さん

日本山岳ガイド協会認定登山ガイド、信州登山案内人、応急手当普及員。南アルプスや北アルプスエリアを中心に、参加者の要望にあったガイドを行なうことで人気。

※この記事はPEAKS[2021年3月号 No.136]からの転載であり、記載の内容は誌面掲載時のままとなっております。

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PEAKS 編集部

PEAKS 編集部

装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。

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