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山のガイドに聞いた、『冬』の自然&生物によるトラブル対処法!

気温が低く、多量の積雪など危険要因が増える冬山。真っ白に雪化粧した景色には危険も多く隠れている。山のガイドたちはトラブルをどのように判断し対処しているのだろうか?

凍結

積雪がそれほど多くない低山域では、気温が低くなると路面が凍結することがある。森林限界を越えた山域では、あらゆる状況に対応するための12本爪クラスのクランポンを装備するように、低山域でも軽アイゼンやチェーンスパイクといった滑り止めを装備するのが基本だ。もし備えがないときは、少しでも石や落ち葉などがあるところを探して進む。片側が切れ落ちているような登山道では、トレッキングポールや木の枝などを支えにして通過しよう。

落ち葉や砂の下にも用心しよう(近藤)

低山では、落ち葉や砂の下がアイスバーンになっていることがあるので、勢いよく進まず、滑るようならチェーンスパイクを使いましょう。雪が少ないシーズンは、高山でも稜線の岩場などに氷が張り付いていることがあり、極低温下でクランポンの刃が効かないこともあるので要注意です。

チェーンスパイクの携行を(水野)

気温が低い朝で乾燥している場合は、氷は意外と滑らないものです。氷の上を歩くときは腰を引くと余計に滑るので、怖じ気づかないこと。足をフラットに置きながら細かくステップを踏んで小股で歩きましょう。それと、チェーンスパイクは非常に有効なので、僕はいつも持っていますよ。

チェーンスパイク

低山のちょっとした降雪や残雪期のアプローチなど、クランポンまでは必要でない状況で活躍する。

吹雪

ゴーグルをしていなければ目も開けていられないほど風が強く、自分が歩いたトレースさえも一瞬にして消え去る。こうした状況は、雪山ではつねに起こると認識しよう。稜線上に出たとたん強風が吹くようなときは、風が穏やかな稜線下などに逃げたルート取りをしたり、場合によっては登頂を諦めてそのまま下山したりすることも考えたい。また、天気予報などで悪天が予想されるときは、日を改めるなど計画を中止する勇気も必要だ。

安定期を狙おう(近藤)

天気図で冬型が強まっているとき、低気圧が近づいているときは入山しないこと。冬は西高東低の気圧配置のあとに高気圧が入ることが多く、そうした安定期を狙いましょう。吹雪のなかでの行動は危険なので、ビバーク地を探すためか、登山口が近い場合のみ速やかに移動しましょう。

凍傷にはとくに気をつけて(廣田)

吹雪のリスクで気をつけたいのは、凍傷です。とくに露出している鼻、耳、頬などは注意しましょう。激しい吹雪に打たれ続けると低体温症にもなります。視界を失ってのホワイトアウトにも注意。吹雪で積もった雪は雪崩を誘発しやすいウインドスラブという危険な雪もつくります。

雪庇

積雪期に山の稜線を歩いていると、雪が谷側に大きく張り出した雪庇が発達していることがある。風が絶えず一方向に吹くことで形成され、その上に乗っているかの判別も難しい。そのため雪庇が見えたら上に乗らないようにルートを選ぶ必要がある。森林限界下にある尾根道であれば、木が生えている内側を通るのが基本だ。また雪庇は冬だけでなく、夏山でも日の当たらない斜面などで発達していることがあるので、残雪に乗り込まないよう注意しよう。

樹木や道標の内側を歩こう(廣田)

雪庇は、雪山でもっとも危険なもののひとつです。その強度と位置が、見た目からはわからないからです。雪庇を避ける方法はひとつ。樹木や道標の内側を歩くよう注意しましょう。樹木などがない場所では、プローブを差して地面を確認しますが、不明であれば近寄らないことが原則です。

雪庇の下にも近づかないで(近藤)

大きく発達した雪庇は、気づかずに乗ってしまうことがあるので注意。雪庇が張り出した稜線を歩かないといけないときは、できるだけ雪庇から離れて歩くこと。刺激を与えると、雪庇ごと自分も崩落して大事故を起こしかねません。雪庇の下にも近づかないルートをとるべきでしょう。

深雪

思わぬ降雪で腰まで埋まるような状況のなか、道を進まなければならないこともある。深雪をかきわけて進路を作ることをラッセルというが、体力の消耗が激しいので汗をかかないようにウエアリングを調節することが重要だ。同時に、手首からの雪の混入も防ぎ、グローブの内側を汗で濡らさないように薄手のものに換えよう。地域や状況によってはスノーシューやワカンなどを履いて行動し、雪崩の危険性も高まるため登山を中止にすることも考慮したい。

ラッセル技術を学んでからがベスト(水野)

とくに男性は、力一杯にラッセルして進もうとする傾向にあります。そのときクランポンを履いていると、太ももを大きく上げたときに怪我をしてしまうんですね。本来はラッセル技術を学んでから山に行きたいところですが、一歩一歩自分の足元を固めながらいくことを心掛けましょう。

体力消耗に気を付けて(近藤)

ラッセルは体力を消耗します。しかし、ラッセルをしている人の後ろのメンバーは、体が冷えてしまい低体温症のリスクが出てきます。メンバーが数人いるときは3分で交代するなどして、体力を消耗せず汗をかかないようにしながら、後ろのメンバーも体が冷えないように心掛けましょう。

ワカン

雪深くてトレースが見込まれない山深い地域などに行くときは、ワカンやスノーシューなどの装備も検討したい。

雪崩

衝撃的な映像から、雪山でもっとも恐れられているのが雪崩だろう。人が起こすだけでなく、自然に起こる雪崩があるが、登山者の行動やルートによって被害を防ぐことができるのも雪崩だ。雪山ビギナーがまず気をつけたいのは、雪崩が起きやすい地形を知ること。また、急な気温上昇や大量降雪、強風といった極端な気象変化についてのワードが天気予報に出たときは、急激な変化に弱い雪が崩れやすくなる。こうした状況を判断して、細心の注意をもって山行計画を検討したい。

ルートの選択肢を増やす(廣田)

雪崩は人間の行動によって避けることができます。そのため、雪崩が起きるような状況で大切なのは、「どうしても雪崩の危険箇所を通らないといけない」状況に陥らないことです。そのために、事前にルートの選択肢をふたつ、3つもって、より安全な選択肢をとるようにしましょう。

過去の天気や地図の地形を確認しておこう(水野)

事前に赴くエリアの天候を遡って調べ、雪の状態を把握することが望ましいでしょう。基本的には、暖かい日が続いたあとで雪が降るような状況はリクスが高いと考えましょう。開けた場所、木の間隔が広い広葉樹林もリスクが高いので、事前に地図上で確認しておきたいですね。

ショベル ・ビーコン ・プローブ

雪山の3種の神器とも表現されるアバランチビーコンとプローブ、ショベルは、バックカントリースキーヤーたちには必須装備になっている。しかしながら非常に高価な装備ということもあり、雪山登山者の間では普及しているとは言いがたい状況だ。

雪山登山は日帰りかツアーなどから始めよう

雪山での行動には、雪崩や深雪、雪庇などの危険性に加えて、体力を消耗する低気温下であるということも忘れてはならない。雪で登山道が覆われ、自分が歩いたトレースも消えてなくなることも多いので、確かなルートファインディングも要求される。雪山はいきなり始めるのではなく、ガイドツアーなどから始めることも考えよう。

教えてくれた人

水野隆信さん

日本山岳ガイド協会認定山岳ガイド。楽しく安全をテーマにしたオールシーズンの登山、バリエーションクライミング、渓流釣り、BCスキーのガイディングに定評がある。

廣田勇介さん

日本山岳ガイド協会認定登山ガイドやカナダ雪崩協会の雪崩業務レベル2などの資格をもち、スノースポーツや登山、山岳信仰と銅像にまつわる撮影で知られている。

近藤浩子さん

日本山岳ガイド協会認定登山ガイド、信州登山案内人、応急手当普及員。南アルプスや北アルプスエリアを中心に、参加者の要望にあったガイドを行なうことで人気。

※この記事はPEAKS[2021年3月号 No.136]からの転載であり、記載の内容は誌面掲載時のままとなっております。

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PEAKS 編集部

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装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。

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