北の大地で道産チーズとワインの夜「ヘッポコ」(北海道北見市)【グルメトラバース】#003
川名 匡
- 2022年03月30日
山に登り、麓の食を堪能することをライフワークとする、とある山岳ガイドの彷徨旅=グルメトラバース。
今回は雪山からのチーズとワインで身体と心をリトリートする北海道・道東旅へ。
スノーシューで登れる雪山入門的な藻琴山
道東(北海道の東部)は大好きで、とくに北海道がいちばん北海道らしい真冬に毎年通っている。北の大地というと、大雪山や十勝岳、利尻山などのメジャーな山を思い出すが、さほど気張らずに登れる手軽な山も好きだ。
そんな私が道東に行くたびに登っている山の中に、藻琴山(もことやま)がある。屈斜路湖を眼下に眺められるだけでなく、山頂周辺からは、晴れればオホーツク海の流氷群(2月)や知床連山、大雪山系、近くには阿寒の山々、煙を上げる硫黄山、そして、惚れ惚れするカッコ良さの斜里岳など、その眺めは最高なのだ。
メインルートは藻琴峠から稜線をピストンするルートだが、私はキャンプ場から樹林を登る変化のあるコースが好き。もちろん悪天候時は登れないが、晴れていて条件が良ければ、山頂往復で2~3時間。下れば屈斜路湖畔で藻琴山と白鳥を眺めながら温泉も味わえる。
※『PEAKS 2022年2月』のP85「雪山登山入門ルート」にて本ルートのガイド記事を掲載
路地に佇むチーズとワインの店
道東への旅はオホーツク側の網走と北見の中間点にある女満別空港か、釧路湿原や阿寒へのアクセスができる釧路空港の二者択一となるが、利便性と知床まで足を延ばすことを考えれば女満別空港が一番だろう。その場合、前泊地は道東のオホーツク地域で一番大きな町である北見がベスト。ここに前泊すれば、翌日、日帰りで山頂往復できる山は多い。
北見と言えば焼肉の町として有名だ。毎年2月には「北見厳寒の焼き肉まつり」という野外イベントが開催されている(2022年は新型コロナウイルスの状況を考慮して中止)。しかし、今夜の店は焼肉ではない(北見の焼肉屋マップはまた別の機会に紹介しよう)。
北見駅から続く北見銀座通りから北5条通りを左に曲がり、さらにに左側、狸小路という路地に入ると、「HEPPOCO(ヘッポコ)」という看板が目に入る。昔あった狸小路の看板もなくなり、一見さんにはちょっとわかりにくい場所だが、路地の角にあるドロラーメンのだるまやが目印だ。
ヘッポコはおしゃれなチーズとワインのお店。北見に通うようになり、はや十年がすぎたが、ヘッポコを知ったのは4年ほど前。人気でいつも混んでいて、何度か入れなかったこの店に初めて入店したときに「いい店」だと直感。それは店内の明るさと、その店の雰囲気をそのままつくり出しているような明るくて気さくなマスターの人柄からだろう。
チーズは北見の北西にある興部(おこっぺ)町産のもの、ワインもマスター厳選の数種類がグラスで提供されている。なので、最初はチーズもワインもおまかせが良い。確実にマリアージュされたチーズ&ワインがいただける。事前予約をすればチーズフォンデュやラクレットなども出してもらえるが、基本、ワインとおつまみのチーズがメインのお店なので、お客さんは焼肉などを食べた後の2軒目の人が多いようだし、私も寝酒の1杯(2杯?)での訪問が多い。
オープンから今年で6年目。マスターは地元・北見出身の佐々木朋志さん。もともと東京のイタリア料理店に勤めていたそうだが、当時、北海道の「オホーツク」という名前を周りのだれも知らなかったことから、オホーツクを広められるお店を作りたかったそうで、将来的には東京でオホーツクの店を出すのが夢とのこと。「オホーツク・ヘッポコ」という名前だろうか?
今夜の酒とアテ
未来ファーム キャンベル・アーリーロゼ(辛口)/興部産のチーズ3種盛り
未来ファームは地元・北見市のワイナリー。余市産ぶどう(キャンベル・アリー)を使用し、ジューシーな香りが特長。
HEPPOCO(ヘッポコ)
北海道北見市北5条西3-7-8 狸スクエアビル2F ※狸小路奥の2階
TEL.0157-26-6333
営業時間:19:00~3:00
定休日:日曜日
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