かほの登山道整備体験記 in 日向山 【後編】~山を守るために、一人ひとりができることとは~
PEAKS 編集部
- 2022年12月25日
登山ユーチューバーのかほさんが、山梨県・北杜市の日向山での登山道整備を体験。後編となる今回は実際の整備のようすをお伝えする。
*前編はこちら
登山道整備の流れ
花谷泰広さんが代表を務める「北杜山守隊」が実践しているのは近自然工法。これは自然の構造に近い状態を復元し、生態系を復元する環境を整えることを目的とした整備の方法だ。使う資材や方法は場所によってさまざまだが、今回は日向山での整備の例をご紹介。
整備に使う道具
使うのは背負って持っていけるくらいの軽量な道具のみ。実際にはカゴに入れ背負子で現場へと持っていく。小型のチェーンソーは丸太の伐採、ハンマーのような掛矢(かけや)は木柵の固定のため、バールやツルハシは土を採掘、カゴのような石みは土砂をすくうため、ロープやスリングは資材を引きずるために使用。
現場の状況や人数を踏まえて整備箇所を見極める
整備が必要な場所はたくさんあるが、状態や参加人数によって所要時間が変わるので、どこを直すのが良いか見極める必要がある。今回は合計10人、半日で整備が終えられる場所ということで、ここを補修。整備前にかほさんが歩いてみたものの、やはり「段差が急で歩きにくい……」という感想が。
STEP1 ステップの数や高さを決め必要な丸太の長さを出す
メジャーを使い補修箇所の距離と高さを計測。歩きやすい1段20㎝程度の高さのステップを作るのが基本で、今回はそれを6段分作る。必要となる丸太の長さを出すために、まずは枝を使ってシミューレーションしてみる。
STEP2 チェーンソーで丸太を切り出す
ステップに必要な丸太は現場付近の枯れ木を使用(事前に役場で伐採許可を取っておく)。倒れる場所を考えながら必要な長さをチェーンソーでカットし、現場まで持っていく。そこまで太い木ではないので、女性でもラクに持っていける。
STEP3 現場の状況に合わせて丸太を加工する
丸太は玉切りしたままではフィットしないので、水が流れても動きにくいように角を落とすなどチェーンソーで加工する。表面も足が滑りにくいように平らにカット。これは高い技術が必要なのでチェーンソーの扱いに慣れている人が行なう。
STEP4 ステップを埋めるための資材を集める
丸太のカットと並行して行なうのが、ステップを埋めるための資材調達。現場の状況によって使うものは変わるが、樹林帯であれば枝が重要な資材になる。近くでなるべく多くの枝を集め、それをステップになる部分にどんどん重ねていく。
STEP5 流出した土砂を集めステップを埋めていく
ステップが枝である程度埋まってきたら、土砂を詰めていく。土砂は現場より少し下のカーブの先、雨天時に流れたであろう土砂をバールやツルハシで掘り起こし、石みですくってカゴに集める。現場まで土砂を運んだらステップに詰めていく。
STEP6 表面を叩いて空間を埋めさらに資材を追加する
枝で埋めたステップも実際には中は空間だらけ。登山者が歩くとどんどん潰れていくので、掛矢で表面を叩き、空間を潰していく。するとどんどん表面が下がっていくので、さらに枝を追加。最後に土砂を投入して完成させる。
見違えるほどのビフォーアフター。自然なステップで進んで歩きたくなる
現場にある資材を使っているため、補修後はまるで元からこうなっていたかのように自然に見える。道が複線化している場合などはそこに丸太や枝などを置いて、新しいステップへと登山者を誘導する。
体験ツアーなどの情報は北杜山守隊のHPでチェック
北杜市の山の登山道整備を目的として立ち上げられた北杜山守隊。来年からは登山道整備ツアーが開催される。ツアーはだれでも参加可能(要参加費)。さらに関わっていきたい人のために会員制度も用意されている。ツアー開催時はHPやインスタグラムなどで告知予定。HPでは山守隊の理念や活動レポートなども紹介されているので、ぜひチェックを。
SHARE
PROFILE
PEAKS 編集部
装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。
装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。