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あこがれの白馬岳縦走登山へ! 楽しく歩きながら、しっかり学ぶ。コロンビア登山学校の「登山講座」に密着

実践的な登山をとおして、さまざまな山の学びが得られる「コロンビア登山学校(WIN THE SUMMIT ACADEMY)」。今回は夏の北アルプス・白馬岳を舞台に、2泊3日の小屋泊縦走登山に同行し密着取材させてもらった。一般的な登山ツアーとは異なるという登山学校の「登山講座」とは、いったいどのようなものなのか。
この8月に開催した登山講座のレポートをお届けしよう。

編集◉PEAKS編集部
文◉阿部 静

写真◉宇佐美博之

コロンビア登山学校はガイドツアーとはひと味違う!

一般的な登山ガイドツアーはお客さんの安全を第一に楽しんでもらうことを目的としているが、アウトドアブランド・コロンビアが主催する「コロンビア登山学校(WIN THE SUMMIT ACADEMY)」の趣旨は登山講座。年間10回にわたる実地での登山をとおしてステップアップできるように組まれた学びの場だ。

行程の短い初夏の登山からスタートし、1泊2日での小屋泊登山や夏山のテント泊、岩稜帯を交えたロックトレッキング、小屋泊縦走登山、雪山登山など、これから登山を楽しんでいきたいという初心者が山の魅力を味わいながら、段階を踏んで知識と経験を積んでいけるように組まれている。自分のレベルに合わせて途中参加や単発での参加も可能で、「個人で山に行ってみたいけど自分の経験値ではちょっと不安……」といったような人におすすめだ。参加することで次のステップへ進むための手助けとなるだろう。

また、コロンビア登山学校ではプロのガイドが講師として同行してくれる。学長を務める国際山岳ガイドの近藤謙司さんを筆頭に、主任講師で登山ガイドの伊藤伴さんなど、経験豊富なガイドに学びながら登山が楽しめるため、現場で活かせる山の知識と経験が身につくこと間違いなしだ。

2024年度の開講講座は10月時点で残すところ4講座。キャンセル待ちなども含め、まだ募集を受け付けている講座もあるので、コロンビア登山学校の公式ウェブサイトを要チェックだ。

コロンビア登山学校の公式ウェブサイトはこちら

北アルプス・白馬岳縦走登山へ

2024年度のコロンビア登山学校、第4回目の講座は白馬岳の夏山登山。2泊3日の行程で山小屋を利用しながら、夏の北アルプスの美しい自然をたっぷり堪能できるコースだ。余裕をもって歩ける行程なので、北アルプス初心者や2泊以上の登山に不慣れな人でも安心して楽しめて、しっかり学べるスケジュールとなっている。

栂池エリアの玄関口「栂池ビジターセンター」

 

白馬エリアの登山口は複数あるが、今回は栂池自然園からアクセス。栂池ゴンドラリフトと栂池ロープウェイを乗り継いで、登山口のある栂池自然園まで簡単にアクセスすることができる。栂池ロープウェイの終点には栂池エリアの情報が収集できる「栂池ビジターセンター」がある。このエリアで見られる動植物や自然環境などを知ることができ、そのほか記念撮影コーナーやクライミング体験コーナー、フリードリンクの提供もあり、ゆっくりすごせるスポットでもある。

館内にはコロンビア展示ブースも!

 

ビジターセンターではコロンビアグッズの取り扱いもある。ウエアやハットなどのコロンビア製品が購入できるので、もしもの忘れ物の際にも安心だ。

栂池自然園とのコラボTシャツはビジターセンターだけでの限定販売。旅の思い出やお土産にうれしいオリジナルグッズだ。

みんなで顔合わせの自己紹介

 

今回、登山講座の講師を務めるのは登山ガイドの伊藤伴さん。参加者は7名で全員女性だ。それぞれ自己紹介をし、呼んでほしいニックネームを名乗るのも登山学校の恒例。親近感を覚えるので参加者同士の距離がぐっと近くなり、初めましてでも、すぐに仲良くなれてしまうようだ。

出発前にワンポイントレクチャー

登山学校はすでに始まっている。まず教わったのが、トレッキングポールの扱い方について。ふだん何気なく使っているかもしれないが、講師の伊藤伴さんより疲れにくくするためのワンポイントアドバイス。

「3段伸縮式タイプの場合は上段と下段、どちらを最大値に伸ばすのが正解でしょうか?」

「……下段?」

「正解はどちらでも大丈夫です(笑)。ただ、下段を伸ばすほうがおすすめだといえます。トレッキングポールは金属の重なりで強度を持たせていますが、重なる部分はそのぶん重くなり、そこが重心となるため、より手に近い部分に重心がきたほうが疲れないということになります。つまり、下段を伸ばしたほうが先端が軽くなり、疲れづらいといえます」

続いてシューフィッターの資格を持つ、コロンビアスタッフの永山海斗さんによるレクチャー。登山靴を足にしっかりフィットさせる正しい履き方と、解けにくい靴紐の結び方を実演してくれた。

「ちゃんと履けていないと履き心地が変わってしまいます。最近の登山靴は柔らかめのものが多いので、紐をしっかり締めても大丈夫です。そうすることでシューズの機能を活かすことができ、歩きをフォローしてくれるので、疲れにくくなります」

みなさん興味津々だ。実演を見て学んだあと、各々で実践を行ない、足元の準備も万端だ。

1日目、目指すが白馬大池山荘

栂池自然園を出発し、登山開始。1日目は白馬大池山荘を目指す。序盤は登りが続くので暑くなりやすい。衣服の調整をし、各自水分補給をするようにと、伊藤さんから促される。

水分補給のワンポイントアドバイス

「ふだん汗をかいていない人は汗といっしょに塩分も出ていきやすいので、塩分チャージの飴をなめたり、スポーツドリンクを飲むのもおすすめです。水分と塩分をちゃんと摂っておくことで攣り予防にもなります」

登山中、足を攣りやすい人には必須の豆知識だ。また水分の摂り方も一度にたくさん摂るのではなく、こまめに飲むことが重要なのだそう。水分を少しずつ摂取することで吸収効率を上げられるということだ。

30分ほど登ると「銀嶺水」という湧水ポイントがある。そこで10分ほどの休憩をとることに。天然の冷たい湧き水を飲んだり、行動食を食べたり。バックパックを下ろして小休止を挟み、登りで疲れた身体を癒し、気持ちを切り替える。

「栂池自然園の由来にもなっているツガの木は、この登山道沿いにもたくさん生えていますが、ツガの木の松ぼっくりは青いんですよ。ほら、あそこに!」

 

伊藤さんが差すツガの木のてっぺんには、大きな松ぼっくり。たしかに青い色をしている。

「本当だ! こんな松ぼっくり初めてみました!」

ひとりで歩いていたら気付けないことや知らないことがたくさんあるけれど、登山ガイドと歩くことで知れること、気付けることがあるのも大きな魅力だ。

バックパックの正しい背負い方、みんな知ってる?

「バックパックがちょっと歪んでいますね」

「え、本当ですか?」

伊藤伴さんが参加者のバックパックを調整しはじめた。

「バックパックが歪んでいたり、正しく背負えていなかったりすると、疲れの原因になります」

歩きながら気づいたことをその場でレクチャーしてくれるので、わかりやすいし、身になりやすい。教えてもらったことをひとつずつ取り入れていくことでステップアップにつながっていくのだ。

天狗原が見えた!

 

栂池自然園から1時間半ほど登り続けると、ようやく視界が開け、湿原が現れた。天狗原だ。空を覆っていたガスもちょうど抜けてくれて、爽やかな夏の青空が広がった。

 

「じゃあ、ここで休憩しましょうか」と、伊藤伴さん。小屋泊装備が詰まったバックパックから解放されてベンチに腰掛けて、おにぎりや行動食を食べ、思い思いにすごす時間。このあとはまた上り坂が待っているので、しばしのあいだ身体を休めて次に備える。

 

天狗原をすぎると、今度は登り坂なうえ、ガレ場が待っている。岩の上を歩くのはふつうの登山道と少し違って滑りやすく、体幹でバランスを取りながら歩く必要がある。歩き慣れていない人には難しいので一歩ずつ確実に、ていねいに歩く。

 

今度は雪田が見えてきた。足並みをそろえるために一旦休憩を挟む。標高も2,000mを超え、少し空気が薄くなるのを感じる。

「ふらふらしたり、空気が薄いと感じる人はいっぱい深呼吸をして水もしっかり摂ってください。呼気からも水分が出ていきます。高所障害の対策としてはたくさん水を飲んでトイレに行くことが効果的です」

さすが海外登山のガイドを得意とするアドベンチャーガイズに所属しているガイドなだけあり、伊藤さんは高所障害の知識も豊富だ。

今回ロープウェイで急激に高度を上げ、さらに2,000mを超える地点で泊まるので、高度障害が起こることも十分にあり得る。対策と対処法を知っておくことで未然に防ぎ、悪化させないことにつながるので大切だ。

休憩後は、本日の最難関ともいえるかもしれない、雪田の歩行だ。ここは例年8月ごろまで雪が残り、短い距離ではあるが雪上を登らなければならない。クランポンなどを履かずに登山靴での雪上歩行の経験がない人にとっては、なかなか高度な技術だ。

 

伊藤さんが先頭を進み、ステップを作りながら足の置き方を解説する。

「僕が足を置いたところに爪先で蹴り込むように置いてください。身体を後傾にすると滑るので注意してくださいね」

ていねいに足を置きながら着実に前進し、だれも転倒することなく登りきることができた。

 

雪田とガレ場を抜けると乗鞍岳山頂を示す大きなケルンが現れ、そこを越えれば白馬大池山荘ももうすぐそこ。一面に広がるハイマツの森を歩く。

 

ハイマツの森のなかにライチョウの親子の姿を発見! 初めて見たという人も何人かいて、とてもうれしそう。かわいらしい姿にみなさん夢中でシャッターを切っていた。

 

ハイマツを進んでいくと、目の前には大きな白馬大池が! その先には白馬大池山荘の赤い屋根が覗く。辺りを覆っていたガスもスッキリと晴れ、青空を映した濃紺の湖が美しく輝いていた。

 

そして登山開始から4時間ほど。白馬大池山荘にみなさん無事に到着。標高差619m、1日目の行程は楽しく終えられて一安心だ。

 

ひと息ついて、自由時間を挟んでから談話室に集合。コロンビアスタッフの永山さんによる、コロンビアクイズ大会だ。コロンビアにまつわる、ちょっとマニアックなクイズに正解するごとにポイントゲット。ポイントは、後日コロンビア製品が購入できるクーポンと引き換えてくれるという、なんとも太っ腹なイベントだ。クイズのなかにはコロンビア製品として定番のオムニシリーズについても触れられていて、クイズに答えながら機能性ウエアについても楽しく学べる工夫がされていて、さすが!

クイズ大会のあとは夕食まで自由時間。各々辺りを散策してすごしたり。白馬大池山荘周辺には花が咲き終わり、綿毛になったチングルマの絨毯が一面に広がっていた。とてものどかで牧歌的な風景は多くの登山者を魅了してやまない。

先ほど集まった談話室は食堂も兼ねていて、一旦夕食の準備をするために全員が外に出され、17時から第一回目の夕食。

物資の限られた高山帯に建つ山小屋では、そんな環境でも登山者においしいごはんを提供できるようにと各山小屋で工夫がなされている。白馬大池山荘の定番の夕食はおかずがトッピングされたカレーライス。カレーライスとスープはおかわりできるのがうれしい。

夏の山は日が長い。夕食後は表に出て、ゆっくりと黄昏時を堪能するのも山小屋ですごす時間の醍醐味だ。陽が沈んでからも、マジックアワーから夕闇へと移ろいゆく幻想的な湖の景色にじっくりと浸っていた。

その晩、白馬大池の真上には、無数の星がまたたき、天の川がくっきりと現れた。翌日も快晴であることを美しい夜空が約束してくれたようだ。

待ちに待った白馬岳へ

翌朝、また食堂に集まり全員で朝食を済ませ、7時に出発をする。前日に教わったシューズの履き方やバックパックの背負い方をおさらいし、着実にステップアップを遂げている。みなさん生き生きとしていて、心なしか前日よりさらに楽しそうにも見えるのは、待ちに待った白馬岳を目指しているからだろうか。

まず目指すピークは船越ノ頭。雷鳥坂を登り徐々に高度を上げていくと、右手に望めるのは雪倉岳だ。

登るごとに見える景色が変化し、また違った山の姿が望める。出逢ったひとつひとつの景色に感銘を受け、笑顔がこぼれる。その先に、さらに壮大な景色が広がっているのだから、もっと歩きたくなってしまう。縦走登山にはそんな魅力があるのだろう。

白馬大池を背に、稜線をゆく。

振り返れば白馬大池と、遙か遠くには戸隠山など新潟の山々の稜線が連なっている。伊藤伴さんが指を差しながら見える山々について教えてくれた。

小ピーク、船越ノ頭にて。背後にはこれから進む稜線が見える。目の覚めるような快晴をバックに、みなさんいい笑顔だ。

船越ノ頭にてしばし休憩し、さらに先を目指す。稜線の先のガスが抜けて、ついに白馬岳が現れた!

稜線を登る前に一度標高が下がりコルに乗る。ここで伊藤伴さんより下り坂を歩くときのアドバイス。

「身体が後傾にならないように注意してください。少し前傾気味に、膝を曲げて重心の位置を低くすると安定します。足にちゃんと体重を乗せることで靴のグリップが効いてくれて、滑りづらくなりますよ」

下り坂が苦手という登山初心者は少なくないだろう。最初は不安な足取りだったが、伊藤さんからのアドバイスを忠実に取り入れて、ちょっと下り坂が克服できたもよう。みなさん着実に前進している!

白馬岳までの稜線では、さまざまな高山植物が見られることでも知られている。今回全員女性ということもあり、みなさん花好きのよう。縦走中もところどころに咲く華憐な花々に目を輝かせていた。

こちらはタカネツメクサ。ブーケのように咲く華憐な小花がかわいらしい。そのほか、コマクサやキンポウゲ、イワギキョウなど、よく知られる高山植物もたくさん咲いていた。

小蓮華山を越え、絶景の稜線へ。空は晴れ渡り、稜線上から右手側を眺めると、連なる峰々と、その先にはうっすらと富山湾まで望むことができた。夏山は昼ごろになるとガスが上がってきてしまい眺望を隠してしまうことがよくあるが、はじめての白馬岳縦走登山で、こんなにも澄み渡った景色が見られるなんて、本当にラッキーだ。

白馬岳山頂も、もうすぐそこ。アップダウンの激しい行程ではあるが、伊藤さんが無理のないペースをつくって先導し、みなさんいい歩調で歩けている。長い距離を歩くときはバテないようにペース配分を考えて、休憩のタイミングや行動食の補給など、登山をマネジメントすることも大切だ。

標高2,932m、ついに白馬岳山頂へ! 伊藤伴さん、参加者のみなさんとハイタッチ。自分の足で登ってたどり着けた達成感と充実感に満たされる。

ガスがかかり気味だったが、ここでもなんとラッキーなことにガスが晴れた! みなさん本当にツイている。白馬岳山頂にて記念撮影。とってもいい笑顔!

2日目の宿泊地は白馬山荘

山頂を下って10分、今晩の宿泊地、白馬山荘へ。白馬岳山頂直下にありながら、日本最大級の山小屋で、最大収容人数はなんと800人。設備も整っていて快適な山小屋なので、山小屋初心者にもすごしやすい。

到着して1時間ほど自由時間。その後、再集合して、空身で丸山まで散歩に行くことに。片道30分ほどの行程だ。この日は午後もほとんどガスが湧くこともなく、空はずっと晴れ渡っていた。

丸山の山頂へ。360度大パノラマが広がっていた。目の前に見えるのは杓子岳。その先には白馬鑓ヶ岳が望める。この三峰こそが白馬三山だ。伊藤伴さんが見える山々について教えてくれた。

山小屋に戻って夕ご飯。大きな山小屋なので食堂も大きく、宿泊者も多い。この日の夕食はなんと5回に分けて提供していた。ご飯と味噌汁、お茶は各々で配膳するスタイルで、おかわりもできる。

食後はまた、この時間にしか見られない景色を堪能する。白馬山荘からの眺めは本当にすばらしく、天気が良ければ槍ヶ岳まで見えるほどだ。この景色が見れただけでも、ここまで来た甲斐がある。

この日もまた、山の向こうに沈む夕陽が見えなくなるまで眺めていた。

下界には雲海が広がり、雲上の絶景が私たちを惹きつけた。同じ景色はまたとなく、この瞬間を大切に見つめる。

夜のレイヤリング講座

雲上の絶景鑑賞がひと段落したところで白馬山荘付属のレストラン「スカイプラザ」で乾杯。20時まで営業していて、生ビールやコーヒー、ケーキなんかも食べられる、山の上とは思えないレストランだ。

ここで夜の座学が開講された。座学といっても堅苦しいものではなく、お酒を片手にくつろぎながら伊藤伴さんの解説に耳を傾ける。今回のテーマは山のレイヤリングについて。

夏山でも低体温症になりえること、そのうえでベースレイヤーが重要であること。そのほかミドルレイヤーやアウターについても説明してもらったが、登山初心者ではなかなか気を回しきれない、けれども登山するうえでとても大切なことだ。

スカイプラザ閉店とともに講座はお開き。翌日はついに下山だ。行動時間が長くなるのでよく眠ってしっかり休養したい。

日の出前の早朝。みんなで起きだして白馬岳手前の展望のいい高台まで登り、ご来光を拝みに向かった。この日は曇り予報、雨天も危ぶまれていたが、雲の切れ間から覗く朝日を望むことが叶った。

ゆっくりと昇る太陽をみんなで眺めた。夕陽と朝焼けまで見れて。こればっかりは運頼みになるが、こんなにすばらしい景色を見せてくれるなんて。いうことなしだ。

美しい日の出を堪能して山小屋に戻り、各自朝食をとって出発の時間を迎えた。天気予報はうれしいことに大外れ、最後まですばらしい快晴が私たちの足取りを後押ししてくれた。

振り返れば白馬山荘と杓子岳、白馬鑓ヶ岳。さらに奥には剱岳も見える。うしろ髪引かれながらも、私たちは青空の元、帰路へと歩んだ。

参加の動機を聞いてみた

参加者のみなさんにコロンビア登山学校へ参加した理由を伺った。どんなことを期待して参加したのか。1日目の山行を終えたところで3名の参加者に直撃インタビュー!

今回ひとりで参加された、あさこさん。いままでガイドツアーも利用したことがあるが、コロンビア登山学校への参加は初めてだという。

「白馬岳に登りたくて参加しました。自分の休みの予定と合致したのと、プランも慌てなくていいスケジュールだったのも決め手でした。ひとりだったり友だちと登るときは安全面が不安だったりしますが、ツアーに参加することで安全面をフォローしてもらえたり、わからないことを聞くことができたり。そういったことにも期待して参加しました。実際に参加してみて、いろいろ教えてもらえて楽しいし、ふだん聞けないことや知らなかったことを知れるのはおもしろいですね」

ふだん登山仲間と山に登ることも多いが、ガイドツアーも利用することがあるというあんどうさん。アドベンチャーガイズでのガイド山行を利用したことがあるそうだ。

「白馬岳に登りたくて、アドベンチャーガイズのウェブサイトを見ていたら、ちょうど見つけたんです。仲間内はみんな白馬に登ってしまっていてだれも付き合ってくれそうになかったので(笑)。ひとりで登るのが寂しかったので参加しました。コースタイムもゆったりペースなので、ゆっくり楽しむ時間もあっていいなと感じました。いろんな方が参加されているので楽しいし、知らなかったことの発見があっておもしろいですね。いつもの仲間との山行ばかりだと、決まったペースであったり、ルーティーンになりがちなので。たまには初めての方たちと歩くのも楽しいと思っています」

長野県佐久市からひとりで参加されたゆつさん。ふだんは友人との山行とガイド山行と場所によって分けているようだ。

「白馬ルートにどうしても行ってみたくて。友人もガイドツアーで行くようだったので、私もツアーで探していたら、ちょうどコロンビアのインスタグラムで見つけたんです。お値段的にもお手ごろだったので、とりあえず申し込んじゃえ! と思って。行きたい山が合致すれば友人と行ったりもしますが、自分としてちょっと挑戦に値する場所はガイド山行を利用します。少しずつステップアップしながら、友人との個人山行で行ける山も増やしているところです。今回は比較的自分と同年代ぐらいの方が多くてすごしやすいですね。ペースも比較的ゆっくりで、途中休憩も挟んでくれるので、景色もたっぷり楽しめるのがすごく良かったです」

2日間の山行を終えて。参加してみてどうだった?

続いて、白馬岳まで登り、2日目の山行を終えたところで、参加してみた感想を、数名に伺ってみた。

今回3人で参加された、りすさん、ゆうきさん、ひとみさん。ひとみさんは以前にもコロンビア登山学校に参加したことがある。3人で白馬岳に登るためにガイドツアーを探していたところ、ひとみさんがこの登山学校の白馬山行を見つけたそうだ。

りすさん「初めて参加しましたが、バックパックの背負い方であったり、基本的なところから楽しく教えてもらえてよかったし、とても勉強になりました。北アルプスは初めてで、山小屋泊も初めて。これだけの距離を歩くのも初めてだったのでちょっと大変でしたが、自分にとっての挑戦になりました」

ゆうきさん「私も今回初参加で、北アルプスも初めてです。ふだん知れない山の情報を聞くことができて楽しかったです。ひとりで歩いているとわりと早く歩いて追い込んでしまい、登頂を目指すことを目的にしていたところがありましたが、今回はゆっくりしたペースでみなさんと歩き、景色も楽しむことができました」

ひとみさん「以前、近藤さん担当の天狗岳雪山登山の回で参加しましたが、それが楽しくて良かったので。今回も楽しかったです。靴紐の結び方だったり、基礎的なことってやらないと忘れてしまいますが、それを改めて教えてもらえるいい機会でした。行程も2泊3日でゆっくり歩けるペースで組まれていてよかったです」

3人それぞれ学びを感じながら楽しめたようだ。

東北出身のしずさん。幼少期に両親に連れられて栗駒岳や秋田駒ケ岳、蔵王などに登っていたという。東北の山にはなじみがあるが、北アルプスや八ヶ岳には登ったことがなく、ずっとあこがれだったそう。お子さんが成人され、ご主人が膝を痛めてからはひとりで登る機会が増え、最近になってガイドツアーを利用しはじめたそうだ。

「白馬岳はロープウェイで八方池まで登ったことがあるのと、以前ガイドツアーで大雪渓から登る予定だったのですが事故で中止になってしまって。中途半端な思いがあったのと、2泊3日の縦走の経験がいままでなくて、歩いてみたかったので。コロンビアさんの洋服もふだんから夫婦で長年愛用していてブランドにも愛着があったので参加できてよかったです。クイズもおもしろかったです! 今回キャンセル待ちで参加できて、ご縁があったのだと思っています」

担当講師、伊藤伴さんに聞いてみた

白馬岳登山の講師を務めた伊藤伴さんにも、コロンビア登山学校でガイドする際に意識していることや、今回の山行で意識したこと、また登山学校の今後の展望について伺ってみた。

▲1995年生まれ、日本山岳協会認定登山ガイド。中学3年でヨーロッパアルプス・モンブラン、高校3年でヒマラヤ・ロブチェイーストに登頂。大学3年では当時最年少でエベレストに登頂。同時に世界第4位のローツェにも連続登頂を果たす。現在はアドベンチャーガイズなどで登山ガイドを行なっている。

―――コロンビア登山学校ではどんなことを意識していますか?

「学長にもいつも言われていますが、コロンビア登山学校では“学び”を意識しています。参加したことでなにかを学び、知識を得られてよかったと思えるような話を山行中にも盛り込むようにしたり。歩き方であったり、海外の山の話や、ときには山に関係ないことも話したりします」

「たとえ天気が悪くても登山学校は基本中止にしません。先日もテント泊の回のときに雨だったのですが、雨天のときの撤収の仕方だったり、そのシチュエーションに応じて学べることを伝えられるように意識しています。そこがほかのガイド山行と差別化しているところですね」

―――今回の山行はどんなことに意識しましたか?

「基本的な道具の扱い方であったり、靴紐の結び方、バックパックの背負い方、下りの歩き方など、ふだん無意識にやっていることを言語化し、どうしてこのようにしたらいいのかという理由も含めて掘り下げて、ていねいに説明し、より理解を深め、自分で考え行動に起こせるようにしてもらえるようにと意識しました。ふつうのガイドツアーであれば、目的が違うのでそこまで伝えませんが、登山学校ではそこが重要だと思っています。通常のツアーで1泊2日で行けてしまうところを2泊3日にしているのも、そういった説明の時間をたっぷりとっているためでもあります」

―――参加者にはどういったことを学び、感じてほしいですか?

「これから自身で登っていきたいのであれば、経験や知識を積み上げていくためにガイドがどういう動きをしているのか観察していただきたいですし、悪天候時の状況判断など、自身の安全管理をしっかり学んでもらいたいですね。ガイドから学べることはたくさんあります。日本ではガイド山行はまだまだメジャーではないですが、山の知識を持ったプロと山に登ることでおもしろい話が聞くことができて、自分ひとりでは挑戦できない難しい山にも挑めます。ぜひこの場を利用して挑戦し、ガイドから得られるものを吸収してほしいですね」

「自分で判断して自分で山に行けるように。道具選びであったり、靴紐の結び方ひとつをとっても大切なスキルです。靴選びに失敗して靴擦れができてしまったり、ペース配分がうまくいかず、バテてしまって全然楽しめなかったり。スキルや知識がなければ、山を嫌いになってしまうこともあります。『山のスキルを磨けば、山頂はもっと近くなる』というキャッチコピーをかかげていますが、まさにそれが大切ですね」

―――コロンビア登山学校を今後どのように発展させていきたいですか?

「当初は高みを目指すことを目標にしていましたが、ちょっと山をやってみたいけど、どこに行ったらいいかわからない、どうやって始めたらいいのかわからない、といった登山者予備軍をもっと増やしていきたいですね。登山学校はその窓口として、エントリー層がさらに入ってきやすい場所であったらいいのだと思います」

「いままで僕自身、ガイドとして難しい山を案内したいという気持ちが強くありましたが、登山学校の講師として関わってから、これから始める登山者ももっと増やしていきたいという思いも芽生えました。登山人口を増やして、ゆくゆくはそこから高みを目指す登山者がもっと増えてくれればうれしいと思っています。単純に、このキレイな景色を見てほしいじゃないですか。アウトドアを楽しめる人がもっと増えたらいいですよね」

 

コロンビア登山学校の公式ウェブサイトはこちら

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PEAKS 編集部

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装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。

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