「一の越山荘」北アルプスの山小屋完全ガイド
PEAKS 編集部
- 2018年03月21日
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登山者にとって快適な山歩きを楽しむための心強い味方、山小屋。館内施設や食事、成り立ちや売店メニューなど、山小屋の膨大な情報を集約しているので、山行計画に役立つこと間違いなし!
立山参拝の最前線基地となる小屋
一の越山荘の昼間は、いつも立山の参拝客でにぎわっている。立山山頂の雄山神社までもっとも近い山小屋である一の越山荘は、室堂ターミナルから約1時間。雄山と浄土山の鞍部に位置し、室堂と黒部ダム方面、東西に展望が開けている。
山小屋が開かれたのは60年以上前。当初は大汝休憩所のような休憩小屋として建てられたが、立山黒部アルペンルートの開通により参拝者が増加したため、宿泊のできる山小屋として整備された。その後何回かの増改築を繰り返している。
アルペンルートの開通により通る人は少なくなったが、黒部ダム方面に下るタンボ平ルートは紅葉の時期が美しい。ロープウェイの真下に位置し、絵ハガキなどにもよく使われる景色だが、実際に歩くとダケカンバやナナカマドなどの色彩を間近に楽しむことができる。
ほかにも浄土山方面に足をのばせば五色ヶ原、立山山頂からその先は剱岳方面と、さまざまな方面へのアプローチができる小屋。立山参拝だけでない、一ノ越からのルートを発掘してみよう。
立山の中心にあるんです
立山をご神体とする立山信仰の総本宮が雄山神社。全国各地に広く信仰を集めている立山は奈良時代に開山され、阿弥陀浄土として拝められている。立山黒部アルペンルートの開通によりアクセスが格段によくなったため、気軽に立山参拝ができるようになった。その雄山神社にもっとも近い山小屋が一の越山荘だ。
神社のある雄山、最高峰の大汝山、そして富士ノ折立の3つの峰からなる立山を参拝したあとは、山荘を挟んだ浄土山を散策してみるのがよい。登ってきた立山と神社が間近に望め、その向こうにけわしい剱岳も見える。
山荘で1泊し、立山山頂で朝日を見るプランを組むならば、浄土山まわりで一の越山荘を目指すと静かな山歩きが楽しめる。
尾根上に位置しているので、室堂の山小屋に比べると簡単に山頂近くの山小屋の雰囲気を楽しむことができることも一の越山荘の特徴。後立山連峰から昇る朝日、富山湾に沈む夕日、夜の富山方面の夜景と、地の利を充分に生かした山小屋泊が楽しめるだろう。
雄山神社へいちばん近い
一の越山荘から稜線をたどると見える、雄山神社。急登がつづく1時間の道のり。途中に休憩所はないので補給は充分に。
立山信仰の中心地、雄山神社を目指す人たちのほとんどが通過する一ノ越。室堂からのちょうど中間地点に位置し、ここで小休止して雄山をめざす人が多い。
外の公衆トイレはバイオトイレを採用しており、環境へのダメージを少なくしている。
館内施設
雪渓からの水で清潔な水周り
水は小屋近くの雪渓から染み出した水を用い、飲用も可能。秋まで豊富な水源が残っている。
充分な広さの乾燥室
一階奥の乾燥室は10畳ほどの広さ。大きな小屋だけに雨が降ると混み合うが、譲り合おう。
明るめの2階廊下
南北に長い建物なので、廊下の南側の窓からは光が取り入れられ、明るい雰囲気だ。
2階北側の大部屋
小屋入口の上にある25畳の大部屋は、団体利用にも対応する。雄山方面を見上げられる。
食堂
一度に56人が食事できる。テレビや雑誌のバックナンバーが置いてあり、宿泊者が少ないときは休憩室も兼ねる。
食事
朝食
ごはん、味噌汁、ウインナーエッグに佃煮やかまぼこ、のりがついた、シンプルながらバランスのよい食事。食事は朝6時から。
夕食
給食を思い出させるアルマイトのトレーのメニュー。この日はシチュー、コロッケ、高野豆腐。ごはんはおかわり自由。
お土産・売店
宿泊者だけでなく、ここで飲み物などを補給してから雄山神社へと向かう参拝者も多い。そのため売店では、スナックや軽食、おみやげも充実している。立山からのパノラマをプリントした手ぬぐいが人気商品であるほか、参拝者のために軍手が売っているのも特徴。
部屋
部屋は1階に11室、2階に24室。ほとんどの部屋は6畳で、混み合わなければ相部屋になることも少ない。朝日が差し込む東向きと、室堂を一望できる西向きがある。条件がよければ西向きの部屋からは富山湾、能登半島まで一望できる。
洗面所・トイレ
大規模改修をへて、新しく水洗化された清潔なトイレ。外には、立ち寄りの登山者が使える立派な公衆トイレもある。
「一の越山荘(いちのこしさんそう)」の基本情報
※2023年8月、一部情報更新
設備
テント場:なし
水場:なし
個室:なし
自炊室:なし
乾燥室:あり
お風呂:なし
生ビール:なし
営業期間
4月下旬~10月中旬
電話・電波
ドコモ:不安定
au:不安定
ソフトバンク:不安定
公衆電話:なし
収容人数
100人
標高
2,700m
宿泊料金
1泊2食:11,000円
素泊まり:6,000円
お弁当:800円
連絡先
090-1632-4629(直通電話)
www.tateyama-1nokoshi.com
予約方法
上記電話番号より予約
※2018年2月現在の情報です。営業時間や定休日などは変更となる場合がございますので、お出かけ前にご確認ください。
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装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。
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