
備蓄は3日?1週間以上?/今月のレシピ【海苔の佃煮】| CAMMOCの「キャンプしてたら防災できた!」#34

キャンモック
- 2025年03月11日
INDEX
キャンプの道具や知識には、防災に役立つことがたくさんあります。この連載では、防災士資格をもつCAMMOCからアウトドア好きのみなさんへ、もしもの時に役立つちょっとしたヒントとアイデアレシピをお届けします。
3.11を忘れず、私たちができること
2011年3月11日の東日本大震災から、今年で14年。いま、私たちにできることは、この震災を決して他人ごとではなく、自分ごととして捉え続けることです。一刻の猶予もない場面から、自分の命を守るために、正しい知識と行動を知っておきましょう。今回は、よくご質問いただく「備蓄」について、続けるコツと具体例を紹介します。
備蓄が必要な理由
大規模災害後は、ライフラインが途絶え復旧には時間がかかります。救援物資もすぐには届かず、避難所にあなたが必要とするモノがあるとは限りません。店頭からは物資が消え、仮設トイレに人が殺到すれば衛生環境は悪化するでしょう。
そのような状況で、自分自身が冷静に、前向きに行動するための安心材料のひとつとなるのが「備蓄」です。その内容や量は、住んでいる地域や人により優先度が変わってきます。
まずは、自分が住んでいる地域(あるいは勤務先などよくいる場所)のハザードマップを確認します。https://funq.jp/randonnee/article/882944/
災害時に避難が必要
→「避難先での備え」を想定した避難バッグ(非常時持ち出し袋)を優先的に準備する
https://funq.jp/randonnee/article/920678/
津波や土砂災害、建物の倒壊などのリスクが少ない
→「在宅避難」を想定した備蓄を優先的に考える
https://funq.jp/randonnee/article/926639/
1週間分の備蓄が推奨される理由
過去の被災事例を踏まえ、ライフラインの復旧に1週間以上かかることから、行政では「最低でも3日分、できれば1週間分の備蓄」を推奨しています。
なぜ最低でも3日分?
人命救助のデッドラインと言われる72時間(3日間)。この間はむやみに移動をせず、安全な場所で生き延びてください。そのために、避難想定の方は「避難バッグ」、在宅避難想定の方は「自宅」、移動が多い方は「車内」「職場」などに最低でも3日生き延びるために必要な備えをしておきましょう。
1週間分も必要?
実際に東日本大震災での各ライフラインが9割程度復旧するまでの日数がこちら(日本気象協会参照)
【電気▶約6日/ガス▶34日/水道▶24日】
電気復旧が比較的早いですが、一部地域では3ヵ月以上かかったところもあり、あくまで目安としてご参照ください。避難想定の方は自宅ではなく避難先での備蓄確保を、マンションでの在宅避難でも浸水が2週間以上続くところもあるのでハザードマップで確認しておきましょう。
ここで「1週間以上の備蓄を管理するのは大変……」と思う方もいるかもしれませんが、実際に私たちの備蓄法を見たら「これならできるかも!」と、きっと前向きに取り組めるはず。無理なくできるところからはじめましょう!
4人家族マンション住まいの例
【住まい・暮らし方について】
・ハザードマップ上では色がつかない地域
・3LDKで収納が少なく、モノが多い
・基本的に在宅ワークがメイン
1週間の在宅避難を想定しつつ、マンション火災も踏まえ4人それぞれの避難バッグも準備しています。収納が少なく4人分の生活用品があるので、各部屋に分散して備蓄しています。
家族4人×1週間=140回分のトイレ
➀約140回分の凝固剤と消臭袋、1回分の携帯トイレ×約10個
➁ティッシュ&キッチンペーパー、ウェットシート、マスク、使い捨て手袋など
➂トイレットペーパー、栄養ドリンク、食品類
収納が少ないので「収納付きソファ」をリビングに設置。1人1日5回×4人×1週間=140回分のトイレは➀に収まり、ペーパー類は期限がないので基本的に入れっぱなしです。ウェットシートや食品類は、使っているものがなくなったら➁➂から使い補充するというローリングストック法で備えています。
家族4人×1週間=84Lの水
(水:飲み水、麦茶やジュース、生活用水を含む)
1人1日3L×4人×1週間=84Lを目安に、玄関には2L水を30本、寝室には500mlの水やジュースを30本常備。どちらも普段の生活やキャンプで使い次第、ここにまた補充しています。
目安まで残り9Lについては、冷凍庫に3L水、冷蔵庫に普段飲んでいる麦茶・牛乳・ジュース類が計4〜5L程常にある状態です。それでも足りないことを想定し、浄水器や給水袋、ウォータージャグなどを備えています。
家族4人×1週間=84食分の食べ物
キッチンにはパントリーのような食品庫がないので、冷蔵庫横の収納棚を活用。レトルト食品やパック米などを保管し、時間がない時やご飯を作る気力がない時に使っては補充しています。
キッチンの食材がなくなったら、リビングのソファ下収納から補充。ホットケーキミックスやパスタ、お菓子、豆乳など、ここにも普段から食べ慣れているものを常備し、なくなったら補充しています。
寝室には、長期保存可能なアルファ化米系やカップ麺などを常備。普段開けることはほとんどなく、期限が近そうなものがあったらキャンプに持って行き消費&補充しています。
自分が管理しやすい場所に備蓄
収納が少ないからと諦めず、収納付きの家具を選んだり、食器やモノを整理してみると備蓄スペースは確保できます。自分が無理なく管理できることが、備蓄を無駄にしないポイントです。
親子2人一軒家暮らしの例
【住まい・暮らし方について】
・ハザードマップ上では色がつかない地域
・築35年、新耐震基準をクリアした丈夫な家
・在宅ワークとクルマ移動と半々な暮らし
親子2人暮らしで、子供が調理してくれることもあり、普段からホーローや木など割れにくい素材を活用。親子で管理しやすいよう、キッチン近くの押し入れを貯蔵庫として一カ所にまとめて備蓄しています。
1週間以上の備蓄
奥行きがある押し入れで、上段奥の取り出しづらいところには期限を気にしないもの(トイレットペーパー、ペットシーツ、非常用トイレなど)を保管。何があるか把握できるように、透明のケースに入れています。
出し入れしやすい真ん中には、食品や調味料、ガス缶、ウォータージャグなどを保管。下段には重たい水や野菜ジュース、豆乳など、日ごろよく飲むものをすべて備蓄の水分と考えて多めにストックしています。
親子2人1週間分の備蓄内容がこちら
★トイレ130個(10日分)
★水分60ℓ(10日分)+浄水器(複数台あり)
★食品20日〜1ヶ月分
買い物にあまりいけないときはここから消費しますが、常に最低20日分の備蓄をキープしています。
~常備している20日分のもの内訳~
★炭水化物(お米10キロ→70食/麺類2キロ→10食/パックご飯20食/インスタント麺20食)
★おかず(レトルト20食/味噌汁・スープ30食/缶詰20個)
★その他(おやつ、ふりかけ、調味料など)
★保存食(長期備蓄セット・アルファ化米・防災レトルトなどを5日分程度)
キャスター付き収納で出し入れしやすく
下段奥のモノが取り出しやすいように、キャスター付きのワゴンを活用。幅の狭いワゴンを使うことで収納量が制限される分、引き出す時に重たすぎず出し入れがスムーズになりました。
ワゴンもカゴも、蓋をせず網かけになっているので一目で中身が把握できるのもローリングストックしやすいポイントです。
クルマにも最低限の備蓄を
クルマでの移動も多く、親子で日本一周の旅に出るなど車中泊経験もあり。そのため、車内にはいつでも休憩や寝泊りできるように最低限の備えを常備しています。
備蓄を続けるコツは「見える化」
以前まで分散備蓄を取り入れていましたがうまくいかず、一か所にまとめることで管理しやすく気持ち的にもラクになりました。
備蓄はしまい込むと忘れがちなので、一目で見やすく収納することで管理がしやすくいざという時にも安心です。
私たちの方法はあくまで一例です。参考にしていただきつつ、自分に合ったやり方を見つけ、できることからチャレンジしてみましょう!前向きに備蓄を続けて、安心できる環境を整えていきましょう。
今月のレシピ【海苔の佃煮】
焼き海苔は湿気に弱く、開封後は風味が落ちやすくなります。佃煮にすることで保存が効き、しっかりとした味付けで少ない量でもご飯が進むおかずになります。実は、バターやトースト、パスタなどにも合うんですよね!とても簡単なのでぜひ作ってみてください。
材料
焼き海苔…3枚
お好みのだし汁…100ml
しょう油…大さじ1
砂糖…大さじ1
※だし汁に塩味がある場合は、しょう油を減らして下さい。
※砂糖はお好みの甘さになるよう調節してください。
作り方
①焼き海苔をちぎって鍋に入れて、その他の材料も全て入れ、弱火〜中火にかける。
②ヘラで混ぜながら煮詰めていき、焼き海苔が溶け、全体がどろっとしたらできあがり。
クリエイターズユニット
CAMMOC(キャンモック)
左から、三沢真実、三宅香菜子、内舘綾子
「キャンプのある暮らし」
HP:https://cammoc.com
Instagram:www.instagram.com/cammoc
SHARE
PROFILE

キャンモック
「キャンプのある暮らし」をコンセプトに空間やフードのコーディネート、キャンプ撮影の監修、防災講演など、多数メディアで活躍するクリエイターズユニット。無理なく無駄なく楽しくできる「SDGs防災キャンプ」を提唱。 https://cammoc.com/
「キャンプのある暮らし」をコンセプトに空間やフードのコーディネート、キャンプ撮影の監修、防災講演など、多数メディアで活躍するクリエイターズユニット。無理なく無駄なく楽しくできる「SDGs防災キャンプ」を提唱。 https://cammoc.com/