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5〜6月はスミレやツツジの季節!奥多摩は身近にある「野外自然博物館」

奥多摩は暮らしに近いエリアであるがゆえに、その魅力になかなか気づきにくい山域だったりします。自然公園に長年携わり、価値を追求・発信し続けてきた田畑さんの目線から、その魅力を伝えてもらいましょう。

目玉がないからこそ自ら見つける喜びがある

「都心から近くて便利だし、ある程度なんでもあります。ですが、縄文杉や槍ヶ岳のようなエース級の目玉がないのが奥多摩です」
奥多摩は日本のちょうど真ん中、中緯度に位置しているため、冷温帯から暖温帯にかけての豊富な植物が分布する山域だ。
火山がないのも特徴で、一部は石灰岩やチャートと呼ばれる硬く乾燥しやすい地質で構成されている。けっして植物にとって快適な環境とはいえないが、だからこそほかでは見られない希少な植物の隠れ蓑にもなっているのだとか。
また、標高差の大きい急峻な山が多く、登山道が季節をまたぐように延びているため、道中のどこかしらで見ごろを迎えた花々に出会えるのも、この山域ならでは。「初夏の花は高い位置に咲くので、下ばかり向いて一生懸命登っていると見逃してしまいます。余裕をもって〝ゆっくりと歩く?のが一番です。花々は森の奥よりも登山道や林道沿いの明るい場所に多いので、太陽の射し込む部分をよく観察してみましょう」
試しに、一度の山歩きでひとつずつでも、植物の名前を覚えてみよう。知っている草花が増えるにつれ、林道や植林地さえも不思議と魅力的に見え、楽しく歩けるようになる。「目玉がない反面、誰かに押しつけられたものではなく、自ら山の魅力を発見するおもしろさがあります。何度も通って徐々に理解を深めていくのが、奥多摩らしい山の楽しみ方じゃないでしょうか」

5〜6月はスミレやツツジの季節

20 種類以上も自生するスミレやツツジが見ごろを迎える季節。種類ごとに咲く時期が微妙に異なるので、長く楽しめる。雲取山の山頂周辺では6 月頭まで桜の花見も可能。初夏の花は、覆い茂った緑のなかでも虫に見つけてもらいやすいよう、白く、高い位置に咲くものが多い。6 月は、アジサイやウツギなど沢沿いの花が見ごろとなる。

あると便利な道具

双眼鏡は逆向きに使うとルーペにもなる。倍率「8 倍」が入門者向き。見かけた動植物を書き込むフィールドノートもマスト。後日見返すことで、より頭に入りやすい

 

田畑さんのおすすめルート

三頭山

「檜原都民の森」として登山道が整備されていて歩きやすく、植物が豊富。沢の花も見られる。「奥多摩都民の森」がある御前山も自然観察には最適

御岳山~ 大岳山

奥多摩三山の一部。ロックガーデンという沢に沿った登山道が魅力的で、尾根伝いもツツジが豊富なルート。下山路も含めておすすめ

石尾根( 雲取山~ 鷹ノ巣山)

標高差が1,400m もある1 泊2 日コース。木を切り開いてある防火帯「かやと」の周辺は、毎週違う種類のスミレが咲くので要チェックポイント

田畑さんおすすめのサイト

「奥多摩の山と自然」

非常に信頼度の高いサイト。なかでも『リアルタイム情報』の更新頻度とアーカイブは、とても価値の高い自然情報。登山前の情報収集にも便利

 

インタープリター 田畑伊織さん

東京都内のカモシカ調査がご専門。奥多摩ビジターセンターに勤めながら、奥多摩・奥秩父地域の自然研究や調査、専門ニーズに対するガイドなどとして幅広く活動中

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PROFILE

ランドネ 編集部

ランドネ 編集部

自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。

ランドネ 編集部の記事一覧

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