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美しい尾瀬の風景を守るために、私たち登山者ができること

いま尾瀬が抱えるトイレの課題

多種多様な高山植物が生育し、季節ごとにその景色をガラリと変える尾瀬国立公園。広大な湿原に延びる木道を歩いてみたいと、多くの登山者や観光客が5月下旬から10月下旬までのあいだ、一列に並んで歩く姿は〝尾瀬らしい〞風景のひとつになっている。

▲尾瀬国立公園内に7つある登山口からの入山者数(2022年5月~10月)は約16万3,000人。近年、幅広い年齢層のハイカーが訪れ、若者にも人気。

そんな美しさの裏側で、尾瀬内にあるトイレの維持や管理が大きな課題だと、環境省・檜枝岐自然保護官事務所 国立公園管理官の山﨑大輔さんが教えてくれる。

「尾瀬ヶ原や尾瀬沼をはじめ、下水道がなく車でアクセスすることもできない場所のトイレには、合併処理浄化槽が設置されています。浄化槽に貯められた汚水は微生物によって分解。浄化された水分は、近隣の河川等にパイプラインを通って放流。トイレットペーパーや汚物は、脱水処理し重量を減らしたのち、すべて空輸で運び出しています。その量は、尾瀬沼・見晴地区だけでも1年間でおよそ3トン、ドラム缶で約30本。日常の清掃、施設の維持管理、空輸費等、膨大なコストがかかります」

▲トイレ内に貼られたイラストでは、どのように汚物が回収され、トイレが管理・維持されているのかを紹介。

私たち登山者が山を楽しむうえで必ず利用する施設のひとつがトイレ。そして、尾瀬を訪れて感じるのは、トイレがキレイに維持されていること。そのために必要なお金を確保するため「1回100円程度の協力金」という形で、利用者にお願いをしているものの、その回収率は30〜40%程度(※)だという。

「維持・管理の予算が足りないことで、トイレを閉鎖せざるを得ないという例もありました。尾瀬を訪れるみなさんに、まずはこの環境と実情を知っていただき、理解を深めてもらえたらと。協力金は、山を楽しむ一人ひとりが自然に還元できる行動のひとつであると思っています」

(※)環境省所管のトイレで実施(2022年度)

▲山ノ鼻地区の公衆トイレの入り口に設置された、協力金の回収箱。PayPayでのデジタル決済も導入するなど、回収率アップへの施策を行なう。

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Mountain Trip OZE

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2007年に日光国立公園から分割し、国立公園に指定された尾瀬国立公園。本州最大の高層湿原「尾瀬ヶ原」や標高1,650mにある「尾瀬沼」、日本百名山にも選定される「至仏山(しぶつさん)」「燧ヶ岳(ひうちがたけ)」「会津駒ケ岳」など、何度も訪れたくなる見どころにあふれる場所をご紹介します。

Mountain Trip OZEの記事一覧

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