フォトグラファー/翻訳家・鈴木千花さん(中編)│低山トラベラー、偏愛ハイカーに会いに行く#8
ランドネ 編集部
- 2023年08月28日
低山トラベラーの大内征さんが山好きさんと山を歩く、連載「偏愛ハイカーに会いに行く」。山の愛し方は人それぞれ、とはいうけれど。十人十色の偏愛ワールドをのぞいてみれば、これからの山の愛し方とその先の未来が見えてくる、かもね。
今回の偏愛さん
フォトグラファー/翻訳家 鈴木千花さん
洋楽をきっかけに英語のおもしろさに目覚める。大学卒業後に自身で資金を貯めて、世界一周の旅へ。開発教育活動のかたわら、見たことのない文化や美しい自然を撮影し始める。現在はフォトグラファー、翻訳家、インスタグラマーとして活躍。
Instagram @suzuwanders
真っ直ぐに見えて実は紆余曲折。
その遠回りがめぐり合わせた数々の転機
地元は山梨県甲府市。グローバルな家庭環境に良くも悪くも大きく影響され、門限やルールの厳しさ、そして世知辛い世の中にモヤモヤする思春期だったという。羽ばたきたい自分とコントロールしたい周囲との関係から「こうなりたい、よりも、こうはなりたくない、という気持ちのほうが強かったかも」と正直に当時をふり返ってくれた。しかし、そのときに培われた独立精神と行動力とが、のちに数々のチャンスを呼び込むことになる。
好きなだけ学べて自由にできる大学には自分で稼いだ学費で堂々と通う。関心のあった教育や国際関係を目指すために英語を磨いて見聞を広げる。そんな具合にほしいものは自発的な行動で獲得していく真っ直ぐな性格。しかし、オーストラリアでのワーキングホリデーから世界一周の経験によって世界中の美しい風景を知り、国内外の社会問題も目の当たりにする。そんなときに母親から勧められたのがインスタグラムだった。
「世界中の風景をたくさん見てきたんだし、その写真出してみたらどう? くらいの軽い感じだったかな。好きな写真も活かせるし、自分にとってもいいかもって思った」
当初は日常のワンシーンが中心だったものの、思い立って訪れた谷川岳をきっかけに山をメインとしたフォトログへと変貌していく。そのときに出会った山伏たちとの会話から「導かれるままに山へ来る人もいれば、その山で修行する明確な目的で訪れる人もいる」と、人それぞれ入山の理由が異なることを魅力に感じ、以来、人のいる山の風景を撮るようになった。なるほど、その前提で千花さんのインスタを見直してみると、たしかに「山だけの絶景」は少ない。山に人がいる風景こそ、彼女の写真の真骨頂なのだ。そうか、きっと「人」が好きなんだな。
低山トラベラー、山旅文筆家
大内征(おおうち・せい)
歴史や文化をたどって日本各地の低山を歩き、ローカルハイクの魅力を探究。NHKラジオ深夜便、LuckyFM茨城放送に出演中。著書に『低山トラベル』など。ライフワークは熊野古道
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PROFILE
ランドネ 編集部
自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。
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