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モデル仲川希良の「絵本とわたしとアウトドア」#39 どんぐりかいぎ

木と動物、共生の物語

秋の山歩き、「今年はどんぐりの実が多いね」「動物たちが喜ぶだろうね」なんて会話をしたことはないでしょうか。実をつける木には、豊作な生り年と、不作な不生り年が交互にやってきますね。ではそれはなぜなのか。気象条件など複数の理由が絡み合うことが想像されるなかで、この絵本ではそのうちの一説とされる「木と動物の共生」を物語にしています。

どんぐりの木と森の動物たちは、もちつもたれつの関係です。実りの秋、どんぐりを食べながら地中にも埋める動物たち。冬の間はそれを掘り起こして食べるのですが、食べ残されたものは春を迎えて発芽し、木の子どもとなります。そうやって互いに繁栄してきたのです。なんとよくできた自然の仕組みだこと!

ところが木々がよかれと思って豊作を繰り返していたら、動物が増え過ぎた。食べ残しがなくなり、新しい木が育たなくなりました。さてどうしよう、と、どんぐりの木々は、お互いの生き残りのために会議を開いて知恵を絞ります。

▲トゲトゲの殻に包まれたブナの実もドングリの一種。たんぱく質や脂肪分が多く動物たちの大好物ですが、じつは人間にとってもおいしい。ぷっくりしたものを見つけたときは皮を剥いて、私もいただきます

新しい木が生まれないことはすなわち食糧が減っていくことを意味しますが、あればあるだけどんぐりを食べてしまうのが動物たちです。年老いた木々がなんとか食べ残しを作ろうと力いっぱい実らせてみたのに、おなかいっぱいどんぐりを食べ尽くす森の動物たち。その姿はなんだか、己の欲のままに暮らす人間とも重なるように思います。

そのうち木々は不なり年を設けることで動物の繁殖数を抑えられることに気付きますが、それまでには動物たちがわずかなどんぐりを取りあったり、空腹で死なねばならない厳しい冬もありました。

この絵本はどんぐり目線なので、共生のバランスを探る会議の結果をぶち壊す動物に対して、「どんぐりのきたちの きもちも しらずにね」と、呆れた調子のセリフが出てきます。はて、人間も、そう思われていやしないだろうか。人間は自然の一部であるとわかっているはずなのに、その巡りを壊し、自分の知恵を自分のためだけに使っていないかしら。そしてアンバランスな関係は人間たちの間でも起きています。言葉をもつ人間同士ならなおのこと、会議ができる、対話ができるはずなのに。

すべての生きものを可能な限り想像したうえで、誰もが無理をしないバランスを探ることはできないものでしょうか。つながりあう世界をふまえたうえでの、適切な数……そう考えると、我々はまずちょっと減ったほうがいいのかも、なんて、自分を棚に上げて思ったりもしてしまいます。

今回の絵本は……

どんぐりかいぎ
こうやすすむ 文
片山健 絵
福音館書店

扉絵は、まだ青いドングリを見つめる動物たちのうしろ姿。さて今年は生り年か、それとも。子孫を増やすため悪気なく一生懸命な動物たちの姿は、終始生き生きとして愛らしいけれど

モデル/フィールドナビゲーター
仲川希良

テレビや雑誌、ラジオなどに出演。登山歴は14年目。里山から雪山まで広くフィールドに親しみ魅力を伝える。一児の母。著書に『わたしの山旅 広がる山の魅力・味わい方』『山でお泊まり手帳』

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PROFILE

仲川 希良

ランドネ / モデル/フィールドナビゲーター

仲川 希良

テレビや雑誌、ラジオ、広告などに出演。登山歴はランドネといっしょの14年。里山から雪山まで幅広くフィールドに親しみ、その魅力を伝える。一児の母。著書に、『わたしの山旅 広がる山の魅力・味わい方』『山でお泊まり手帳』

仲川 希良の記事一覧

テレビや雑誌、ラジオ、広告などに出演。登山歴はランドネといっしょの14年。里山から雪山まで幅広くフィールドに親しみ、その魅力を伝える。一児の母。著書に、『わたしの山旅 広がる山の魅力・味わい方』『山でお泊まり手帳』

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