伴野“レイチェル”嶺さん、母・直美さん(前編)│低山トラベラー、偏愛ハイカーに会いに行く#17
ランドネ 編集部
- 2024年02月22日
低山トラベラーの大内征さんが山好きさんと山を歩く、連載「偏愛ハイカーに会いに行く」。山の愛し方は人それぞれ、とはいうけれど。十人十色の偏愛ワールドをのぞいてみれば、これからの山の愛し方とその先の未来が見えてくる、かもね。
今回の偏愛さん
伴野“レイチェル”嶺さん 母・直美さん
よちよち歩きのころから山を歩き始め、6歳で山梨百名山を全山、小学6年生でキリマンジャロを踏破した少女と、その母。現在は日本三百名山全山登頂を目指している。行動中は景色や草花を愛でたり、ふもとでは各地の食や文化体験を堪能するなど、山+αもふたりで楽しんでいる
山梨百名山発、キリマンジャロ経由、日本三百名山行き。
山に熱中するスーパー小6と、それを支える偉大なる母!
友人が山梨で営むキャンプ場に顔を出したときに、その母娘は現れた。もともとインスタグラムで彼女たちの〝活動〞を見ていた僕は、その姿を見た瞬間に、レイチェルと直美さんだとわかった。たしかレイチェルは小学校2年生くらいだったかな。すでに山梨百名山を踏破しており、日本三百名山に挑戦し始めたころだったと記憶している。
実際に接するレイチェルと直美さんは、人懐っこくて優しいオーラに満ちていた。低山を偏愛するヒゲおじさんの心の扉をいとも簡単に開け放ち、これまでの活動やこれからの夢のことなど深い話をするまでに、そう時間はかからなかった。それぞれの〝持ち場〞は異なっても、自分の意思と脚をもって人生を歩んでいるという点で、お互いにリスペクトである。こういうことに、年齢やキャリアは関係ない。そんな経緯があったからこそ、いつか「偏愛ハイカー」に登場してもらいたいと思っていたのだった。
そして、2023年の暮れのこと。久しぶりに会ったレイチェルは小学校6年生になっていて、ますます山に熱中していた。といっても、ただ数をこなすのではない。言葉の端々に〝視点〞のようなものが育まれていて、山をとおして別のテーマや山の個性を見い出しているようだった。学校では本好きが高じて図書委員長になり、好きな本は?と聞くと「偉人伝!」と即答。ナイチンゲールを尊敬し、近年だと七大陸最高峰・北極点・南極点の到達を世界最年少で成し遂げた南谷真鈴さんが好きとのこと。
眩しいくらいに溌剌としていて、聡明で、体力も知力も向上している。4歳から本格的に登山を始めたレイチェルをずっとサポートしてきた直美さんは、もう自分のほうがついていくのがきつくなってきたと目を細めるばかり。僕の小6のころってどんなだったかな、と思わずにはいられない。偉人伝と聞いて真っ先に思い浮かんだのは、プロレススーパースター列伝の漫画本。まあ、そんなもんか……。
低山トラベラー、山旅文筆家
大内征(おおうち・せい)
歴史や文化をたどって日本各地の低山を歩き、ローカルハイクの魅力を探究。NHKラジオ深夜便、LuckyFM茨城放送に出演中。著書に『低山トラベル』など。ライフワークは熊野古道
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PROFILE
ランドネ 編集部
自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。
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